3 横浜での邂逅
岡山駅から出る横浜行きの夜行バス乗り場、出発の20分前にはもうそこそこの人が集まっていた。初めて乗る夜行バス、どんなものだろうと思っていた…うん、寝れない!、寝れるわけが無い!、おまけにバスで寝れたとて、休憩地点のサービスエリアで席の意味的に起こされてしまう!、だから仕方が無いので毎回降りてサービスエリアを見て回る、夜中だからほとんど閉まっているけど、そんな時間に見るのもなかなかに新鮮だった。あ、でも横浜に着く直前に止まった休憩地点では既に日が登っていて、店も空いてるところがあり見て回れた、巷では日本最大級の大きさのサービスエリアみたいだが、俺個人としてはよく知らないから正直なところどうでもよかった訳だが。
そうして降り立つ横浜の地、あの子と会うまで大体2時間近く時間があるため、とりあえずあの子と会うために乗る電車のホームの位置を確認、それから朝ごはんように持っていたおにぎりを食して、横浜駅周辺の散策…と行きたかったんだけど、街中だとどうにもどこに行けばいいことやらよく分からなくてね、だから予定の1時間前にちょっと早く言っておくことにした。そうして着いた場所でコンビニに入って、あんまり取れてない睡眠時間をカバーするべくモンエナを投入し準備は万端。
あの子から位置が送られてきたけど初めての地で土地感覚がなく悪戦苦闘。よくわからず困っていると「すぐ近くに居る」、とメッセージが来る。その連絡に驚き辺りを見回してみるとそれまでずっと画面の奥にいた
すぐにでも抱きつきたい衝動を抑えつつ、やぁ、と声を掛ける。やっと会えた、感動で胸が溢れそうになる。ちょっと話したら一緒にカラオケに行くって決めてたのであの子の後ろをついて行ってるんだけど…動きというか仕草が幼気があってすごく可愛いって思った。ま、恥ずかしいから言ってないんだけどね。
まあそんなこんなでカラオケを楽しんでいる最中、なんだか彼女に抱きつきたいけど恥ずかしいから言い出せずに居たら、
すこし話が逸れますが、実際会ったときには結構恥ずかしがらされたりしてます。そりゃあ実際に目の前に居たというのもあるにはありますが。自分の弱点って…体の感覚が過敏だから、実際に触られたりなどの触れ合いにめちゃくちゃ弱いんですよ、あれですコショコショにめちゃ弱いタイプです。正直言葉では何言われても動じない雰囲気を出すことが出来ますが、実際に触ってきたりされると、めちゃくちゃ恥ずかしくなるのでそこを突かれたんですよね()。まあいつもやられてばっかりで可哀想な彼女に自分の弱点を事前に教えてた俺が悪いといえばなんですがね。
とまぁ、かなり歌って、もうすぐカラオケ時間が終わるという頃、自分はこんなことを言って良いのかと言う思いを、さっきとは比べ物にならない恥ずかしさでした。キスがしたいなんて…言い出すのは…ちょっとね。でも退出10分前、自分の口で言うのが恥ずかしくスマホのメモに書いたのが見られて(意図的に見せたという方が近い)、自分の口から言ってよ!、とごもっともな指摘をされましたがキスもしました。唇を合わせるだけの初心なキスです。でも初めてだったんです。お互い恥ずかしくなって、それを紛らわすため、急ぎ足でカラオケを出たのでした。
その後はお土産を買うために恋人つなぎをして回ったり、その子の家の近くまで帰りながら話をしたり…まあその時は、そのあたりに住んでる別の知り合いも合流してるんですがまたそれは別のお話。
別に
彼女との別れ際に、本名で呼びました、またいつか会おうって…。
(まぁ叶うことはありませんでしたが)
そうして一人、あとは晩ご飯を食べて帰りの夜行バスに乗って岡山まで帰るだけです。でもなんだかとても寂しくなったんです。ほんの数時間前まですぐそこに居たあの子が、また遠いところからじゃないと話せないということに。いつか自分のところから離れてしまうんじゃないかって、泣きたくなるほど寂しかったです、でもあの子は、
「ずっと傍にいるよ」
って言ってくれたんです。その言葉にはなんの根拠もありはしません、ですがその言葉には、本当に一人じゃないんだと、寂しさを感じている俺の心を優しく包み込む、とても安心するものだったんです。
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