第2話 ある飲み会

何もやる気が起きない。

昼間の畑仕事で掌の皮膚が捲り上がり、手を洗うことすらままならぬ激痛が襲う。「これだから嫌なんだよ!今時機械もなくこんな畑耕作する奴なんて居ねぇだろうに!」と、自身に八つ当たり逆ギレ状態を施し、あははしゃーないうちは貧乏何より自分は傷病手当貰いつつお国の為に働いている皆々様にご迷惑お掛けしながら生きている身分。そんな奴が怒りを吐露すること自体間違い罪深い。掌の皮膚が捲り上がろうが文句も言えん身分。機械欲しい等と口が裂けても言えぬ身分。身分なりに生きていくしかない。

そんな事を考えていると、スマホが鳴った。「今日、どうよ?久しぶりに」役所に勤める旧友のケー君から飲み会の呼び出しである。う~む、いましがた身分なりの生き方を考え実行していかなければならぬと思っていたところ。もう少し前なら快諾していただろうが、心に決めた事を翻して、ま、いっか等と軽い気持ちで快諾することが出来ているのであれば鬱になどなっておらぬ。どうしようかなぁと迷っていると、奢りで!という言葉にそれならば甘えようかなとぐらりと一転して快諾。夜6時いつもの煙草屋で待ち合わせということになった。


天気は私の気持ちの鏡写しなのか。

昼間の快晴が嘘のように一転して雨である。若干めんどくさいなぁ断りたいなぁと思っても、奢りでという一言に一転快諾した私にそんな権限はない。思った以上に早く着いたので、ただひたすら煙草屋で待つしかないと思った。


二吹かし程してケー君が来た。1度帰宅して風呂に入って来たという。帰ったら寝るだけにしたい気持ち丸出しであるが、各言う私もその通り寝るだけの格好で来ている。むしろ、飲む為に着替える事程無駄なことはなく、全国と言わず世界中全てのヒトは寝るために酒を飲んでるようなもんだと思っているので、むしろ、寝巻きで集まりたいと思うが、めんどくさいことに社会という概念がそれをさせない。その概念そのものを下らないものだと切り捨てられるほど度胸が座ってるわけでもなく、パンク精神があるわけでもない。なんとも情けないパンク精神であるなと思いながら、煙草を吹かして苦い顔をして、なんとなく生きているこの中年男は、おう!とケー君を迎えたのであった。

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