第13話 段ボール箱3つは無限の可能性

 段ボール箱3つには、無限の可能性がある。


 毎月発生する、保管書類の入った段ボール箱。統一したサイズではないが、よくあるみかん箱程の大きさで3つ分。


 これを2階の書庫の棚に納めるだけの、簡単な仕事というか雑用。棚に、段ボール箱を重ねて置けるのは2段まで。だから、下に2つ並べて上に1つ重ねるか、3つ横並びにするしかない。

 10分もあれば終わる仕事なのに、何故か30分以上も帰ってこない。不安になり書庫に行ってみれば……。


「どっちがイイですか?」


『どっちって、何が?』


 もしかしてと思ったが、敢えて分からないフリをする。下の段になった2箱は、少し角度をつけてハの字に並べられている。そして、上の段の1箱はセンターへの配置。


「ハの字より全部右に向けた方が、カッコいいかもって思って」


 指示するって、想像以上に難しい。これが、初めての私の部下の話。

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