第12話 鍵はポケットに!

「鍵が閉めれないって?」


 これも、社長の甥っ子の話。


 社長の甥っ子のポケットは、いつもパンパンに膨らんでいる。財布に、免許証から保険証に各種診察券、タバコにライター、家の鍵に車の鍵と、とにかくポケットに全てのものを入れている。


 だから、動きが遅くなる。名刺を取り出そうとして、色んなものがポケットから落ちる。


『あのさあ、ロッカーがあるんだから、使わない物はロッカーに置いておいたら?』


「ボクは、持ってないと落ち着かないんです」


『でもね、毎日ポケットから落としてるよ。その内、何か失くすんじゃないかな?』


「ボクは、誰も信用してません」


『信用しないのは仕方ない。だから、ロッカーには鍵がついてるんでしょ』


「鍵をロッカーに入れたら、鍵が掛けれないじゃないですか」


 こんな会話のある会社は、きっと幸せなんだと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る