第20話 血闘

 オルクの得物は短い矛鎚(メイス)だった。ハンマーのようにも見えるその頭部には、球型の瘤と槍のような突起が両端にそれぞれついている。その凶器を握るオルクの腕の筋肉は、張り裂けんばかりに盛り上がっている。この力で矛鎚を振り回せば、それは一撃必殺の脅威となるだろう。

 対するマリオは無手だった。その握り締められた拳だけが武器である。無謀とも思える振る舞いだったが、その構えに隙はなく、過信も不安もなかった。


 何の前触れもなく、始まった。


 オルクが先手を取った。上段から素早く振り下ろされた矛鎚だったが、マリオはそれを片腕でいなしながら相手の懐に潜り込んだ。隙のできた胴に拳を繰り出す。が、オルクは横に回りこむような動きでそれを避けた。同時に、マリオの横っ腹に矛鎚の一撃を繰り出す。

 それを受け止めたマリオの腕に、嫌な衝撃音が響いた。

 踏ん張りきれずに、マリオは吹き飛ばされた。その先にはルーレット台がならんでいた。そこにマリオは頭から突っ込んだ。暴風に吹き飛ばされたかのような一撃だった。


「……こんな重てえのをお見舞いされたのは初めてだぜ」


 マリオの背を支えるルーレット台は、トラックに突っ込まれたのように破壊されていた。そして、オルクがこちらに慎重に歩み寄ってくる。

 マリオは起き上がった。何事もなかったように、再び構えを取る。


「今度はこっちの番だぜ」


 マリオは腰を低くして、前傾姿勢になった。タックルだ。オルクからしてみれば、頭を突き出して突進してくる敵など、振り下ろしの格好の標的だった。だが、マリオが相手の足腰に組み付けば、そこで戦いは決したも同然、あとは馬乗りになって止めを刺すだけだった。

 ようは、どちらが速いかの勝負だった。マリオが攻撃をかいくぐってタックルを決めるか、それより先にオルクが矛鎚を振り下ろせるかの勝負だった。

 マリオが闘牛のようにその場で何度か床を蹴った。体を前後に揺らしてタイミングをはかっている。対するオルクが選んだのは野球のバッティング・フォームのような構えだった。マリオの頭をボールに見立てて、ホームランをぶっ飛ばすつもりらしい。スパイクのついた矛鎚でホームランを飛ばせば、マリオの頭は潰れたトマトのように場外にまでぶっ飛ぶはずだった。

 距離を置いて、二人は対峙した。


一瞬ののち、マリオが突進した。


 見開かれたオルクの目はそれをしっかりと捉えていた。一歩目、マリオが床を踏み抜く。二歩目、その体が矢のように走った。三歩目、体が凶器の間合いに入りかけ――

 矛鎚が振りかぶられた。弓のように引き絞られたそれは、標的に向けて振りぬかれた。

 だが、矛鎚は虚空を切った。

 オルクの顔面にマリオの足がめり込んでいた。オルクの体が崩れ落ち、床に沈んだ。


 胴廻し回転蹴り。


 マリオの攻撃はタックルではなかった。疾走したマリオは、矛鎚の間合いのぎりぎり手前で、跳んだ。宙で前転をしながら、矛鎚を躱し、その勢いのまま敵の頭部に向けて蹴りを放っていた。信じがたい奇襲だったが、それは見事にオルクの顔面を蹴り抜いた。

 オルクは倒れ、受け身を取りそこねたマリオもまた絨毯の上に転がった。

 わずかな間を置いて、先に立ち上がったのはマリオだった。必死に起き上がろうとするオルクの頭をバスケットボールのように掴んで持ち上げる。抵抗するオルクだったが、その体にはマリオの手を振り払うだけの力は入っていなかった。マリオはそのまま、片腕だけで相手の体を引きずって歩き出した。

 向かった先はすぐそばのスロットマシーン・コーナーだった。硬質なボディを持つマシーンがずらりと並んでいる。普段ならば、その三つのボタンが紳士淑女に押されて、下の口からコインをジャラジャラと吐き出しているはずだった。だが、今夜ジャックポットを引き当てたのは、そんな上品な客ではなかった。

 マリオがオルクの頭をスロットマシーンに思いっきり叩きつけた。金属をトンカチでぶっ叩いたような音が響き渡った。オルクの額から血飛沫が飛び出し、折れた歯が下に転がった。もう一度叩きつける。鼻の骨が折れる音がして、マシーンの筐体が男の顔の形にへこんだ。マシーンから金色のコインが滝のように吐き出された。

 もう一度叩きつけようとするマリオの腕に、オルクの腕がかかった。


「っ!」


 マリオの腕にとてつもない重圧がかかった。万力のような握力で腕を締め付けられ、オルクの頭を掴む力が一瞬緩んだ。その瞬間、オルクはこちらの手を振りほどき、自らの体の自由を取り戻した。

 血塗れのオルクの顔は表情の判別もつかないほどに歪んでいた。が、その顔が確かに笑みを形作ったのを、マリオは見た。

 突然、腹部に衝撃が走った。オルクの頭突きがみぞおちに食い込んでいた。腹から押し上げられた息が口から漏れる。一瞬の隙が生まれてしまった。

矛鎚が振り抜かれるのが見えた。その鉄の瘤が耳の辺りに叩きつけられた。オルクの凶器は正確にマリオの側頭部を殴打していた。

 マリオの視界で白い光が弾けた。自分の体が傾いだのがわかった。目の前の空気がふっと揺らぐのもわかった。マリオは両腕を顔の前にかざした。その腕に重い打撃がぶち当てられた。防御が弾かれ、もう一度空気が揺らぐのを認識したとき、マリオは本能的に蹴りを前方に突き出していた。

 見えぬままに放たれたマリオの前蹴りは、オルクの体を突き飛ばした。だが、それと同時に、オルクの矛鎚もマリオの顔に命中していた。相打ちだったが、どちらの攻撃も有効打ではなかった。互いに勢いを削がれた双方の攻撃は、両者の間の距離を広げただけだった。


 再び、二人は対峙した。


 オルクは顔から血を濁流のように垂れ流していた。頭部そのものにもダメージがあるらしく、その体は揺れている。手にはしっかりと矛鎚を握りしめているが、その腕はだらりと垂れ下がっている。まるで幽鬼のような佇まいだった。だが、マリオもまた重症を負っていた。オルクの矛鎚の衝撃は凄まじく、マリオの頭と両腕を壊していた。常人ならば、頭蓋骨は砕かれ、両腕は二度と使い物にならなくなっていたはずだ。

 しかし、マリオは立っている。その二本の足で床を踏みしめ、両腕を決闘前のガンマンのように腰の辺りにぶら下げている。その顔にはわずかな笑みが浮かんでいた。

 マリオの口が開かれた。


「……やるじゃねえかこの野郎」

「てめえもな」


 オルクが切れた唇で言った。その声はしゃがれていたが、どこか余裕を感じさせる音がした。


「血を流すなんざ久しぶりだぜ」

「はっ、手下にてめえを守らせて、裏で汚えことばっかやってるからだろうが」


 マリオが血の混ざった唾液を吐いた。赤絨毯にドス黒い血の塊がへばりついた。マリオはそれを無感動に眺めながら、懐に手をやった。取り出したのは紙巻煙草の箱だった。中から煙草を一本抜き出し、口に咥える。そして、ふと何かに気づいたかのように顔を上げた。


「おまえもやるか?」

「……おう。気前がいいじゃねえか」


 マリオが投げた箱をオルクは手を上げて受け取ろうとした。が、受け止め損ねた。箱はわずかに乾いた音を立てて、床に転がった。オルクの顔に苦々しい表情が浮かんだ。箱を拾い上げたオルクを、マリオがにやにやしながら見ていた。


「虚勢張ってても、実は一服する余裕もねえってか?」


 オルクは忌々しげに舌打ちした。そして、中から煙草を取り出し箱を床に放り投げる。

 しばしの沈黙が流れた。二人の男は血が混じった煙草の味をゆっくりと楽しんでいた。どこかから剣戟の音が聞こえてくる。煙草の匂いの中に混じって、血の臭いが漂ってきた。自分たちのものではない。離れたところから漂ってくる別の者たちの血の臭いだ。

 誰の流した血かは、確認しなかった。いや、する余裕がなかった。二人は煙草をくゆらせながらも、相手の一挙一動に目を配り、自らの体の力を取り戻すことに全力を傾けていた。

 決着の時が近いのを、男たちは感じ取っていた。

 煙草の火が手元にまでやってきた。もう吸い終わる。二本の煙草が床に打ち捨てられた。


 マリオはオルクを見据えた。オルクもまた見返してきた。


 触れれば切れるような緊張の中、二人はゆっくりと歩き出した。間合いがつめられる。聞こえるのは遠く弾ける金属音のみ。二人の間は奇妙なほどの静寂に包まれていた。

 矛鎚を持つオルクの方が、その分、間合いが広かった。つまり、先に攻撃を仕掛けられる。オルクの得物が届く距離でも、マリオの拳は届かない。だが、オルクは自分の矛鎚が届く距離にまで迫ったところで、その歩みを止めた。

 オルクにはわかっていたのだろう。自分の攻撃をマリオが躱せば、それは相手にカウンターのチャンスを与えることになると。それは同時に、自分が死ぬことを意味すると。

 マリオもまた理解していた。あと一歩踏み込めば、オルクの間合いに入る。相手の矛鎚を躱し、自分の攻撃を相手に叩きつけることができるか。そこが生死の分かれ目になる。もうさっきのような奇襲は通用しない。

 右手で矛鎚を構えるオルクに隙はない。マリオがほんのわずか身を前に出せば、矛鎚が襲いかかるだろう。その軌道を予測する。上から振り下ろされるか、横からくるか、下から振り上げられるか。おそらく次の攻撃は当たれば致命傷となる一撃だ。それゆえに躱すのが至難の速さを持つはずだ。

 マリオは考えるのをやめた。

 左手を身の前にかざすように突き出し、右の拳を腰だめに構える。どちらの手で攻撃するかを読まれるが、これでいい。読ませてやればいい。

 何があっても、マリオは全力の一撃を叩き込むだけだ。

 音が消え、自分と相手の鼓動だけが響いた。周囲の空気が揺らぐ音まで聞こえる気がする。視界に入るのはオルクとその矛鎚のみ。周りの動きが急にスローモーションになった。時間が緩やかになる。神経が張り詰め、爆発しそうになる。だが、今ではない。爆発させるのは今ではない。マリオはそのときが来るのを待った。自分と相手の呼吸に集中して、待った。

 煙草の残り香が鼻に届く。

 オルクの息遣いが聞こえる。

 その顔から血がポタリと落ちる。

 矛鎚を握る手から汗も落ちる。

 空気は重く、粘ついている。

 血がまたポタリと落ちる。

 オルクの手が矛鎚を握り直す。

 動いた。


 マリオが疾駆した。


 後ろ足で地を踏み抜き、前足で駆けた。雷撃のような疾走だった。

 矛鎚が斜め上から振り下ろされた。マリオの構えからオルクは最適解を導き出していた。最短の弧を描き、最強の殴打となる軌道。それが突っ込んだマリオを迎えた。だが、マリオは避けなかった。そうしようともしなかった。マリオは左腕を上げて防御しただけだ。初めからその覚悟だった。マリオの左肩に矛鎚の棘が食い込み、その肉を食いちぎった。

 が、マリオは止まらなかった。激痛にも屈せず、その右拳が放たれた。


「……」

「……」


 オルクが笑った。その顔の前でマリオの拳はピタリと止まっていた。


 マリオの脇腹にナイフが刺さっていた。


 隠しナイフ。オルクの左袖から飛び出た小型ナイフがマリオの腹を突き刺していた。左肩には矛鎚、腹にはナイフ。二段構えのオルクの攻撃に、マリオは止められた。

 オルクが矛鎚を勢いよく引き抜いた。肉片が弾け飛び、血が滴り落ちた。オルクは再度振りかぶった。止めを刺す気なのだ。ナイフで動きを止め、もっとも信頼の置ける得物でマリオの息の根を止めるつもりなのだ。

 が、オルクの右腕は、得物を振り上げたそのままの形で動かなくなった。その腕をマリオの左手が締め付けていた。爪を牙のように突き立てている。死に物狂いの狼の牙は、中鬼の最後の一撃を食い止めていた。

 マリオが全力でオルクの腕を引っ張った。その予想外の力で、オルクの顔が驚愕の色に染まった。バランスを崩し、マリオの側に倒れこむ。その崩れかけた体に、本当の最後の一撃が放たれた。

 マリオの右拳が下方からオルクの緩んだ顎に叩きこまれた。その一撃は骨を砕き、頭部を跳ね上げ、首にまで衝撃を伝えた。何か太いものが折れる音が聞こえた。その音をマリオは知っていた。確かな手応えがあった。

オルクが崩れ落ちた。マリオが掴んでいた腕を離すと、オルクは倒れこんだ。

 その身はすでに息絶えていた。オルクの首は不自然な方向に曲がっていた。頚椎が折れている。マリオはそれを上から見下ろした。


「最後の最後でせこい手に頼るから、こうなるんだぜ」


 隠しナイフは確かにマリオの攻撃の手を止めた。だが、マリオにそんなことは関係なかった。オルクは最初から矛鎚を全力で繰り出せばよかったのだ。その一撃はマリオの防御を突き抜け、その身を突き刺していたはずだ。そうすれば、マリオが倒れ、オルクがそれを見下ろしていただろう。だが、マリオは小型ナイフごときでは止まらなかった。


 何があっても、全力の一撃を叩き込む。そう覚悟していたのだから。


 マリオの体からふっと力が抜けた。左肩からは止めどなく出血し、脇腹にはまだナイフが刺さっている。ふらつく体で、マリオは簡単な応急処置をした。やらないよりはマシだ。

 手当てを終えると、マリオはしばらくその場でオルクの死体を見つめていた。そして、そのそばにあったものに気づいた。

 マリオは煙草の箱を拾い上げ、フタを開けた。中に入っているのは残り一本だけだった。口に咥え、火をつける。深々と煙を吸い込んで吐き出す。だが、それで終わりだった。


「……今度はゆっくり一服しな、オルク・ビアード」


 マリオはオルクのだらりと開いた口に煙草を咥えさせてやった。そうしてやってから、線香のようにオルクの傍らに煙草を置いた。

 マリオはその場を立ち去った。あとには、オルクの亡骸と立ち上る紫煙だけが残されたのだった。

 マリオはそれを振り返ることはしなかった。






 紫煙が渦巻いていた。とぐろを巻くようにして、辺り一面に広がっている。

 しっとりと濡れた声がした。


「やれやれ。ちょいと逝くのが早いんじゃないかい」


 エルマが煙管の灰を、階段の手すりに打ちつけて落としていた。階段から見下ろした先に広がっているのは魔女の狩り場。正確には、その跡だった。

 ディルクとエッポ。戦棍使いの頑健な男と、背の高い毒使いの男が、煙に巻かれて倒れていた。その顔はむくみ、うっ血している。窒息死特有の青黒い死相だった。


 すでに戦いは決着していた。


 エルマのローブの片袖は引き裂かれ、覗いた腕から血が流れ出ている。傷は浅いようだったが、その腕は毒々しい色に染まっていた。それを見たエルマが舌打ちをした。


「……まあ、このエルマ姐さんに一撃を食らわしたことは褒めてやるよ」


 エルマは目を閉じて、中鬼二人の戦いぶりを思い返した。

 戦いは当初からエルマが圧倒していた。エルマは煙幕として、敵を捕らえる鎖として、マナを込めた煙管の煙を自在に操った。その動きに翻弄されたディルクとエッポはなすすべもなく、その呼吸を乱していった。エルマの紫煙は毒だった。戦棍を激しく振り回すたびに、ディルクはその毒を自ら吸い込んでいた。エッポは自分で毒を塗ったピックを投げ飛ばしていたが、それは全てエルマの煙に受け止められていた。

 敵二人の動きが完全に鈍ったところで、エルマはローブからナイフを取り出し近づいた。毒の煙ではなく、自らの手を血で濡らして命を刈り取るつもりだった。が、中鬼の体力はしぶとかった。近づいたエルマに、死力が込められた戦棍が襲いかかった。すんでのところで躱したが、エルマのローブは引き裂かれた。そして、そこにエッポの得物が投げつけられていた。そのピックはエルマの肌に突き刺さり、その身に毒を巡らせた。


「あれがなきゃ、楽に殺してやったものを。……バカなことしたもんだよ、ほんと」


 今、ディルクとエッポの亡骸を見つめるエルマの顔には憐れみの色があった。哀しげですらあった。

 思わぬ反撃を受けたエルマは、やむなく、もっとも早く安全な手段をとった。それが毒の紫煙による窒息死だった。

 苦悶の表情を浮かべる中鬼二人の死に顔を、エルマは苦々しげに見つめた。

 それから思い出したように、懐から解毒薬を取り出して一気に呷る。もう一本取り出した解毒薬は傷ついた腕に振りかける。完全に解毒できるとは思わないが、当座の処置としてはこれで十分だった。


「ディルクと……、エッポだったかねえ」


 普段は片時も離さない煙管を懐にしまい込みながら、エルマは言った。


「あんたらの名前、覚えとくよ。あたしも人のこと言えた義理じゃないがね……」


 エルマは少しだけ微笑んだ。


「今度生まれてくるときは、まっとうに生きてみな」


 辺り一帯に立ち込めていた紫煙がわずかに晴れたようだった。






「狼の子は駄犬か……」


 ジーナの血に濡れた斧槍を手に持って、トリスがつぶやいた。その視線の先には満身創痍のジーナの姿があった。

 ジーナの呼吸は乱れていた。空気を吸い込もうとするたびに濁った音が混ざり、息を吐こうとすると血がその口から流れ落ちた。崩れ落ちそうになる体を必死に支えるジーナを見ながら、トリスが淡々と言った。


「期待はずれだったな。狼の血筋というものは受け継がれないらしい。いや、おまえは確か、ルチアーノの養子だったか? ……まあ、どうでもいいことだが」

「ふざけ、るな……」


 ジーナの口からまた血がこぼれ出た。斧槍の石突で腹部を強打されたため、内臓が傷ついている。槍頭で胴体を斬られることはなんとか避けていたが、その四肢には大小無数の傷がつけられている。

 トリスは格上だった。

 繰り出す攻撃の一つ一つが致命傷となり得る鋭さを持ち、ジーナの防御を全て突破するだけの重さを持っていた。その痩躯からは想像もできないほどの腕力で、巨大な斧槍をいともたやすく操る。そして、その身に違わぬ素早さでジーナの攻撃を躱した。トリスの戦い方は玄人の狩人のようだった。一撃で相手を粉砕するだけの攻撃を持ちながらも、決着を焦らずに少しずつジーナの身を削り、その体力を奪っていく。己の力を決して過信することなく、冷静沈着な戦い方で相手を追い詰めていく、熟練の狩人。


 だが、その狩りも終わりに近づいている。


 すでに、ジーナはまともに戦える状態ではなかった。立っているのも覚束なかった。一方、トリスの方に目立った傷はなかった。ところどころから血を流してはいるものの、ジーナに比べればいかにも軽傷だった。しかし、トリスがジーナを見つめるその目に、油断はなかった。トリスは知っているのだろう、手負いの獣の恐ろしさを。

 事実、トリスはジーナの体力を奪うことはできても、その気力までもを奪うことはできなかった。それどころか、トリスの攻撃は火に薪をくべたようなものだった。

 ジーナの瞳には燃え盛る炎があった。それは最期の瞬間まで決して消えることのない炎だった。

 ジーナが剣を前方に突き出して構えた。刺突の構えだ。その獣の目で見据える先には、斧槍を隙なく構える敵の姿。距離は遠い。それに、相手の方が攻撃範囲は広い。刺突を狙って突進すれば、先に刃の餌食になるのはジーナの方だった。その先制攻撃をうまく躱して、トリスに隙ができるかと言えばそうではない。トリスの斧槍さばきは巧みだった。先端の刃を避けても、末端の石突で確実な損傷を与えてくる。それはすでにわかっていることだった。

 だがそれでも、ジーナは傷だらけの体で、刺突の構えをとった。


「ほう、最後はそれにかけるか……」

「……」


 ジーナの狙いをトリスは看破したようだった。もうジーナの体力が持たないことは目に見えているのだろう。そして、ジーナがわずかに残った力を全力で振り絞ることで、必殺の一撃を繰り出すことを見てとったのだ。


「まあ、多少は狼の血が流れているようだな。己の命をかける覚悟ぐらいはあるようだ。だが、それも結局は、追い詰められた犬っころの悪あがきだ。殺し合いの礼儀を知らない駄犬に、鬼を殺すことはできん」


 ジーナは答えなかった。ただ、己の剣のみに集中していた。

 トリスもそれ以上は口を開かなかった。男は黙って構えを変えた。ジーナの突撃に合わせた、受けの構えだった。最後まで油断することのない、狩人らしい構えだった。

 ジーナは息を落ち着かせるべく、短い呼吸を繰り返していた。そのたびに血がこみ上げてくるが、それを必死に止める。肺と内臓をなだめながら、息を吸っては吐く。そうしながらも、その目は敵から逸らさない。相手の一挙一動を伺い続ける。隙がないかを探る。

 だが、隙は見当たらなかった。トリスの構えは、徹頭徹尾、こちらの刺突に応じようとするものだった。あの斧槍の巧妙な動きは、こちらの攻撃に完璧に合わせてくるだろう。勝機は薄い。

 だが、ジーナは呼吸を取り戻しつつあった。短い息遣いが、だんだんと長くなっていく。その傷ついた四肢にも力が戻りつつあった。剣を握る手に力が込められ、地についた両足はしっかりと体を支えていた。

 ジーナは深呼吸をしていた。ゆっくりと息を吸い込むたびに、その足に力が送られていく。ためられた力は解き放たれるときは待ち構えていた。

ジーナが息を吐く。余分な緊張が体中から抜ける。

 息を吸う。全身に力が漲った。


 そのとき、ジーナは駆け出した。


 獣のように姿勢を低くし、牙を剥いたように剣を前方に突き出す。ただ相手だけを視界に納め、疾風のように駆ける。

 トリスの腕に力が込められた。その筋肉が盛り上がり、矛鎚が動いた。横薙ぎの刃が素早く襲いかかった。タイミングは完璧だった。速さも威力も申し分なかった。


 が、それは空を切った。


 ジーナは跳躍していた。ギリギリの間合いで足をバネのように使って跳ね、矛鎚を躱していた。矛鎚の刃はジーナの足をわずかに斬っただけだった。

トリスの心臓に刺突が放たれた。吸い込まれるようにその身に剣が向かっていく。

 だが、それを斧槍の石突が弾いた。トリスの顔が笑みで歪んだ。ジーナの手から剣が弾き飛ばされた。斧槍が再びジーナに襲いかかった。

 詰めの一撃だった。


「……っ」


 斧槍がジーナを捉えることはなかった。トリスのみぞおちにジーナの手刀がめり込んでいた。

 剣を失っても、なおジーナは突撃をやめなかった。捨て身での攻撃は武器を必要としなかった。その身を捧げて敵を討ち果たす覚悟は、トリスの体に攻撃を加えていた。

 矛鎚を握るトリスの手が緩んだ。ようやくできたわずかな隙をジーナは見逃さなかった。矛鎚の柄を掴み、相手の手にあるまま、それを巧みに回転させて振り回した。

 矛鎚の刃がトリスの腹に突き刺さった。トリスの口から血がごぼりと吹き出した。ジーナはさらに刃を押し込んだ。トリスの体がふらつき、その膝が地についた。

 トリスは血が溢れ出る自らの腹を押さえた。その血で手が濡れる。ジーナは荒い息をつきながら、それを見下ろしていた。

 トリスがジーナを見上げた。その目には得体のしれない光が浮かんでいた。


「お、おお……」


 何が言いたいのか、トリスは血を吐き出しながらも口を開いた。絞りだすその声には、急速に失われていく命の力が込められていた。


「お、狼だ……。き、貴様は……、お、おお」


 ジーナはそばに落ちていた自分の剣を拾い上げた。その切っ先をトリスの心臓にピタリと当てる。

 すると、トリスは笑った。


「れ、れい……」

「……」

「れ、礼儀だ……礼儀を……」


 トリスは死力を尽くして、言葉を絞り出していた。最期のときが近づいているのが、ジーナにもわかっていた。そういうときに人は何を話すのか。トリスは何を話そうとしているのか。

 それをジーナは理解した。


「私は《狼の血族》正構成員、ジーナ・ウルフルズ。《中鬼の矛鎚》幹部、トリス。おまえの名は私の胸に刻み込まれた」

「――そう。それが礼儀だ」


 その言葉は明瞭だった。トリスの最期の言葉ははっきりとしていた。トリスが息をふっと吐き出すと、その体は前のめりに倒れこんだ。

 そうして、トリスは絶命した。ジーナはそれをしっかりと見届けていた。


「……トリス」


 ジーナはトリスの体に突き当てていた剣を鞘に納めた、止めは必要なかったが、この痩せっぽちの男を殺したのは自分だった。その意味をジーナはしっかりと受け止め、理解していた。


「トリス」


 もう一度、ジーナはつぶやいた。そうすることが礼儀だというように。それが自分の責任だというように。

 一人の中鬼が死に、仔狼が生き残った。しかし、仔狼は仇なす敵の血をもって、一匹の狼になっていた。






 撒き散らされた血だまりが広がっている。

 大階段の踊り場は巨大な魔物が暴れまわったかのような惨状だった。大理石の床は破壊され、その欠片が散らばっており、その上にはペンキをぶちまけたかのように血が撒き散らされていた。

 そんな中で、距離を置いて睨みあっている者たちがいた。


「おいおい、もう息が上がってるんじゃねえのか?」

「メイソン、それはあんたの方だろう。ずいぶん血を流してるじゃないか」


 メイソンとグラスが破壊されつくした踊り場で対峙していた。どちらも無傷ではない。メイソンの体中には棘のようにナイフがいくつも突き刺さっている。そこから流れ出る血は、辺り一面を汚していた。グラスの方にそれほど目立った傷はなかったが、不自由な片足は完全にガタがきていた。もともと自由のきかなかった足は、メイソンの短槍で強打されたことによって、使い物にならなくなっていた。今、グラスは片足だけで、全ての体重を支えていた。

 それらの様子を一見すると、大量に出血しているメイソンの方が重症に見える。だが、グラスにはわかっていた。この巨漢はまさに中鬼の長にふさわしいだけの肉体を持っている。いくらナイフを投擲されても決して止まらず、その短槍を台風のように振り回して攻撃を仕掛けてくる。いくら血を流しても、決して倒れることなく動き続ける。

 グラスにはわかっていた。このまま続ければ、死ぬのは自分の方だと。片足を封じ込まれた今、これ以上は敵の猛襲を受け切れないとグラスは理解していた。


「おうおう、立ってるのもやっと、って感じだな」


 メイソンも彼我の状況を把握しているのだろう。その顔には余裕めいた笑みが浮かんでいる。それは慢心ではなかった。いくつもの敵を喰らい尽くしてきた、中鬼の長たる自信だった。


「グラスさんよう。最初の勢いはどうしたんだよ。このメイソン様を、もっと楽しませてくれよう」

「……」

「だんまりかよ。けっ、つまんねえ野郎だな。どうせやり合うんなら、もっと語ってみせえろよ。おれが憎いんだろ? そうなんだろ? 《狼の血族》っつったら、下手な義理人情を気取ってやがる、偽善者たちの集まりよ。へっ、くだらねえことさ。そういうやつらにかぎって、おれたちに楯突いてきやがる。ヤクは流すな、女を泣かせるなってな。くだらねえ、ほんとにくだらねえよ。仁義だなんだと、お題目を唱えて突っかかってくる連中はよ――」


 オルクは短槍の鋭い切っ先をグラスに向けた。


「――ぶっ殺したくなるぜ」

「……違うな」

「あ?」


 グラスの顔にはいかなる表情も浮かんでいなかった。そこにあるのは義憤でもなく、嘲笑でもなかった。あるのは、狼が獲物を見つめる炯々とした目の光だけだった。


「何が違うんだこの野郎」

「……」

「答えな、グラス!」


 もう口を開く気はなかった。グラスは黙ってその手に三本のナイフを握った。

 それを見たメイソンは首を振って、短槍を構え直した。周囲の空気が殺気で歪む。柄の中ほどを持つメイソンの構えは、どんな攻撃がくるか予測が立てづらい。それでも、グラスはじっと目を眇めた。上段、中段、下段、突き刺し、斬り裂き、払い、石突での打突――その全ての軌道を見極めたとき、グラスは得物を投擲した。

 一本目のナイフが宙を切り裂き、矢のようにメイソンに放たれる。それを短槍が弾いた。と同時に、メイソンが疾走る。短槍を半身に構えながら突っ込んでくる。それを読んでいたかのように、二本目が襲いかかった。メイソンは再び短槍で受けようとしたが、遅かった。その肩にナイフが突き刺さる。だが、メイソンは止まらない。自らの体に食い込んだ得物を意に介さず、ひたすらに猛進する。

 グラスの手から三本目のナイフが飛んだ。メイソンの太ももに刺さった。が、中鬼の長は化物だった。そのときにはすでにグラスの眼前で、短槍を高々と振り上げていた。

 上段からの斬り払い。グラスにそれを躱すことは不可能だった。片足は役に立たず、満足に動けない。一歩横に動くこともできない。跳躍して躱せない。相手の懐に飛び込み攻撃することなど、到底望めない。

それを読みきった上での、メイソンの攻撃だった。場数を踏んだ中鬼の長の選択は、理にかなっていた。


――相手が《必殺必中》でなければの話だったが。


「……は、ぁ?」


 メイソンの喉元をナイフが貫いていた。手に持った短槍は、グラスの真上、紙一重のところで止まっている。

 グラスは床に伏せるように倒れていた。その頭上には短槍の先端があった。上段からの攻撃を前にして、グラスは自分で身を投げ出したのだ。足を使って躱すことができなければ、使わなければいい。グラスは床に倒れこむことで敵の攻撃を回避していた。

 そして倒れこみながら、懐から新たなナイフを投擲していた。相手の攻撃の瞬間、そのわずかな隙をついて、ナイフはメイソンの急所を貫いた。勢いを失った短槍はグラスの身に届かなかった。


「詰み、だな」


 グラスはよろめきながら片足だけで立ち上がった。その手には最後のナイフが握られている。それまでの投げナイフとは違って、一回りも二回りも大きいものだった。投げナイフはすでに全て使い果たしていた。これは近接用のダガー・ナイフだった。

 ヒューヒューと風の鳴くような音を立てて、メイソンは息を吸い込もうとしていた。美術館の彫像のように、短槍を手に持って立ち尽くしている。しかし、その顔に浮かぶ表情は美術品にはありえない、愚かで醜悪で凄絶なものだった。

 なぜ、おれが? その目は語っていた。なぜ、おれを? その口は語ろうとしていた。なぜ、なぜ、なぜ……メイソンの末期の顔は疑問で埋め尽くされていた。


「教えてやろうか。なんでおまえが負けて、おまえが死ななければならないのか」


 グラスは大型ナイフをメイソンの喉仏に当てた。そこには、すでに先ほど投げたナイフが突き刺さっているが、あえて、グラスはその手に握りしめたナイフで止めを刺そうとしていた。

 グラスとメイソンの視線が交差した。


「義理人情を気取ってる偽善者? 仁義がお題目? まあ、おまえらがそう思うのも無理はないかもしれないな。善良な市民の皆さんだって、僕たちに対して同じことを思ってるかもしれない。僕たちは精一杯やってるつもりだが、所詮は街の厄介者だからね。実際、汚いことをやらなきゃならないときもある」


 だが――と、グラスはメイソンを睨みつけ、いつもの柔らかい物腰が嘘のような態度で言った。


「勘違いするなよこの野郎。確かにおまえらは街を汚すクズ野郎だ。前々からぶっ殺したいとは思っていた。だが、今こうして、おまえの首にナイフを当ててるのは、そういう理由からじゃない」


 ナイフを握る手に力が込められた。メイソンの目が大きく見開かれた。

 グラスは言った。


「おまえらは狼に喧嘩を売った。中鬼は狼より弱かった――おまえが死ななければいけないのは、それだけのことさ。そこには、仁義もクソもない」


 ナイフが横一文字に肉を切り裂いた。メイソンの血が噴水のように吹き出し、グラスの顔をべっとりと濡らした。グラスは瞬きもせずに、血を浴び続けた。

 血を吹き上げながら倒れたメイソンの体は、陸に上がった魚のように痙攣し続けていた。それをグラスはじっと見つめ続けていたが、やがてその体が動かなくなると、ぽつりと言った。


「《中鬼の矛鎚》ボス・メイソン。おまえらはいろいろと馬鹿なことをやってきたが、うちに喧嘩を売ったのは、その中でもとびっきりの馬鹿だったよ」






 血臭が漂う賭博場は静寂に包まれていた。戦いの音はすでに止んでいる。武器がぶつかり合う音も、鬼の雄叫びも聞こえない。ただ、血なまぐさい臭いが立ち込めているだけだった。だが、それだけではない。そこで行なわれた戦いの跡は生々しかった。一階に並ぶスロットマシーンやカードゲーム・テーブルは無残に破壊されている。巨大な鈍器が猛威を振るったような、大きな魔物が暴れまわったかのような破壊の跡だった。吹き抜けになっているホールの二階に続く階段も同じような状況だ。血もバケツをひっくり返したようにぶちまけられている。

 賭博場の一階には、四つの中鬼の死体があった。狼たちはそれを二階から見下ろしていた。

 エルマによる治療が生き残った者全員にすでに行なわれていた。手持ちの薬と間に合わせの包帯での応急処置だったが、それは効果的だった。すぐに動けるようにはならないが、あとで傷が問題になることもないだろう。とはいっても、重傷であることには変わりなかったが。

 一番傷が酷いのはジーナだった。手足に多くできた傷はさほどの問題ではなかったが、強打された腹部とその中の臓器はひどく傷めつけられていた。エルマの診断によれば、数日は絶対に安静にしていなければならないらしい。確かに、今のジーナはまともに立ち上がることもできないようだった。

 といっても、他の者も似たような具合だった。グラスは目立った傷はないものの、片足の調子を悪化させて歩くこともできなかった。エルマは片腕から回った毒を止めるために、自分の体力とマナを使い果たしていた。今は一階を見下ろせる手すりに背中を預けて、疲労で青ざめた顔をしている。もちろん、仲間の治療をした疲れもあるのだろう。

 マリオも傷を負っていた。頭部と腕部に打撲、腹部に裂傷。血は止まっているが、しばらくはベッドの上でじっとしていなければならない傷だった。

しかし、短いため息をついてマリオは立ち上がった。体がふらつくが、そうも言ってられない。


「どうしたんだい、マリオ?」


 エルマが青白い顔をこちらに向けて問いかけてきた。


「ボスのとこ、行かなきゃなんねえ」


 足を踏ん張って、マリオは答えた。

 ルチアーノは今、たった一人で三匹の大鬼を相手にしているはずだった。こっちの喧嘩はケリがついたが、戦争はまだ終わっていない。加勢に行かなければならない。


「およし、今のあんたが行ったって足手まといになるだけさ」


 だが、エルマはマリオの決意を一蹴した。グラスも同意を示すようにうなずいて言った。


「そんなボロボロの体で何ができる? おまえもファミリーの一員なら、どっしり構えてボスのことを信じろ。あの人はそう簡単にくたばる人じゃない」


 それはわかっている。自分も、エルマもグラスも、ジーナだってまともに戦える体じゃないのはわかっている。それでも、マリオはルチアーノの元に駆けつけたかった。


「気持ちはわかる。僕たちだって同じ気持ちさ。だが――」


 グラスの言葉が途切れた。その理由をマリオもエルマも、少し遅れてジーナも察した。


 誰かが来る。


 マリオたちが今いるのは、吹き抜けになっている大ホールの二階部分、カウンターやミニ・バーがあるところだ。多くの客が来ても対応できるように、それなりの広さがある。この建物の入り口からこの二階部分につながる通路は、マリオたちが通ってきた狭く急な階段だけだ。

 その暗い通路から、何者かの足音が聞こえてくる。不規則な靴音を響かせながら、誰かがやって来る。

 不安と期待が入り混じったものを抱えながら、四人はその人物を待ち構えた。


 そして、その男は姿を現した。


 ああ、ボスだ。マリオは思った。兄貴たちの言う通りだった。ボスが大鬼を全員仕留めて、ここに来てくれた。おれたちのところにやって来てくれた。ああ、ボスならこう言ってくれるはずだ。てめえら、ボロボロじゃねえか。そんなに苦労したのか。どうなってやがる――


「おい……、これはいったいどういうことだ。私のかわいい子分はどうなってる? おまえたち、いったい何をしたんだ」


 ルチアーノではなかった。


 現われたのは、一匹の大鬼だった。

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