第12話 ベガスとマリオの暗がり

 黒服が飲み物の注文を聞いて去ると、マリオは身を投げ出すようにしてソファに腰を下ろしテーブルの上に足を投げ出した。そうして腹の上で手を組み目を閉じて、《小鬼の大鎚》と《中鬼の矛鎚》の関係について少し考えを巡らせたが、どうせヤクザとチンピラ、あるいは企業とその下請けのようなものだろうと思うとそれ以上頭を使うのがバカバカしくなったので、せっかく覚えたライター魔法で煙草に火を点けてそのピリピリとした味わいを楽しんだ。


「あのー、お待たせしました」


 視界を閉じたまま、聞こえてきた女の声に少し驚く。どうやら《中鬼の矛鎚》と店がこちらを楽しませようとしているのは本当のことらしい。色仕掛けでルチアーノへの裏切りを勧めてくるのか、法外な支払いを要求して負債を負わせることで、こちらのバックである《狼の血族》とやり合うきっかけを得ようとしているのか。まあ、金なら踏み倒せばいいし、色仕掛けという低俗なトラップが理性的な自分に効くとは思えない。

 そう考えて目をゆっくりと開けたマリオの前に立っていたのは――。


「こんばんは、お兄様。本日お兄様の担当をさせてもらう、ドワーフのヒナといいます。よろしくお願いします」

「……」


 ロリだった。黒髪ロング白ワンピース少女だった。


 いや、たぶんおそらくいやきっと、ロリにしか見えない成人女性なのだろう。ジーナとの世間話の中で、ひげもじゃガチムチチビマッチョのドワーフ男性とは違って、ドワーフの女性は成人しても子どものような外見をしているとの知識は得ていた。


 ――だが仮に。


 仮に目の前の清楚系美少女が本当にブラックな年齢だったならば。


「やつらまさかおれを性犯罪者としてサツに突き出す気か……?」


 ――ウチはサツの人も使うダイジョブなお店アル。


「大丈夫じゃねえよ!」

「あの……お兄様? ビールお持ちしましたけど……?」

「あ、ああ」


 浴びるようにして冷たい黄金色の酒を一気に喉に流しこむと少しだけ頭が冷えた。


「ダイジョブダイジョブ……サツも使ってるんなら、やつらも同罪。性犯罪者としてパクられることはねえ……」


 あら一気飲みだなんてすごいですね、とあどけさの残る顔に妙に色気がある表情を浮かべる黒髪美少女。ダイジョブと思いつつも、しかし一応は尋ねておくことにする。


「ヒナっつったか。おまえ歳いくつ?」

「女性に歳を尋ねるものではありませんよ――あまり大きな声で言うことのできる歳でもありませんし」


 にっこりと天使のような笑顔を見せる黒髪美少女ヒナ。その紅い唇がほころぶ陰にマリオは悪魔めいた罠を感じた。


「そ、それはどちらの意味で……?」


 つまり、歳が行き過ぎているから言うことができないのか。それとも――。


「もうー、そんなことどうでもいいじゃないですか。それよりもヒナはお兄様とお話がしたいです」


 すっと細く小さな体をこちらに寄せてくるヒナ。気づいたときにはその白くほっそりとした手はこちらの太ももの上に置かれていた。


「は、はは……」


 なんとか落ち着こうと、震える手で二本目の煙草を口にくわえて自分で火をつけようとするが。


「あ、はいどうぞ」


 ヒナはすかさず銀色のライターで火を貸してくれた。手馴れている。


「あ、ああ悪りぃな……ッ!」


 視界に入ったものに衝撃を受けて、マリオは思わずポロリと煙草を口から落としてしまった。ヒナの白いワンピースは細い肩紐だけで支えるタイプのもので、少し体を動かすだけで簡単に形が崩れるものだった。おまけに胸元も開いているものだから、その気がなくとも見えてしまったのだ――ヒナの小さいのが。


「……出る! おれはこの店を出るッ!」

「あっ、ちょっ、ちょっと待ってお兄様! も、もうちょっとくらいいいでしょ!?」

「うるせえっ! ここにいたらおかしくなるっ! すでにおかしくなっても別にいいかなって思えてきてるのが怖えぇ!」


 ヒナの追いすがる手を振り払って出口へと向かうが、その前に先ほどの刺青の黒服が立ちはだかった。


「もうお帰りでしょうか、マリオ様。それでしたら、こちらがお会計になります」


 黒服が手渡してきた紙片に目を凝らしてみると――。


ビール中ジョッキ×1 五万イェン

チャージ料 十五万イェン

サービス料 三十万イェン

合計 五十万円イェン


「……」


 予想通りの展開すぎて呆れて何も言うことができなかった。


 おそらく、ルチアーノと《小鬼の大鎚》のマスター、ゴブラックとやらの交渉はこの一週間の間に決裂してしまったのだろう。それでゴブラックは自分の上、親分格のギルド《中鬼の矛鎚》を引っ張り出してきて事の始末を依頼したのだ。だが《中鬼の矛鎚》からしてみれば、子組の、それも下っ端の喧嘩に口を出すのは恥みたいなものだから、堂々と正面きって《狼の血族》とやり合う理由を作り出すためにマリオを引っ掛けた。だいたいそんなところだろう。


「だが、おれを店に引っ張りこんでイカレた金額ふっかけるとは――《中鬼の矛鎚》とかほざくわりにはやることがセコいんじゃねえの?」

「お支払いいただけないので?」

「いや、払わねえなんて言ってねえよ。ただちょっと高いんじゃねえのって言ってるだけで――」


 突然胸ぐらを掴まれたと同時、鋭く尖ったエモノがマリオの横っ腹に突きつけられていた。ご丁寧に他の客の目には入らないよう布まで被せられている。黒服のその動きは先日の《小鬼の大鎚》とは比べ物にならないぐらい洗練されたものだった。おまけに店内の他の黒服の目は全てこちらに向けられていた。この分では出口もすでに固められているだろう。


「……」

「私共も伊達や酔狂で《中鬼の矛鎚》を名乗っているわけではございませんので……この店はサツの旦那方にもご利用いただいていることはもうお聞きに?」

「……ああ、聞いたよ」

「ではマリオ様にはご自分のこの街での立場の弱さというものをわかっていただきましょうか。私共が少し望むだけで、あなたはこの街にいられなくなるということを」


 黒服が近くにいたウェイターの一人に顎をしゃくって合図すると、まだ少年のようにも見えるそのウェイターはすっ飛んで行って一人の男を連れてきた。


「マリオ様、こちらはガイ巡査部長。巡査部長は私共の事業にとても協力的でして、特に住民登録、戸籍の管理などの面では多大な功績を――」

「ん?」

「げッ……!」


 黒服がマリオにプレッシャーをかけるために連れてきた警察の顔はどこかで見たことがあった。


「……あ、門番のゲイ警察か」

「ゲイじゃねえよ! おれはガイだよッ! このオカマ野郎が!」


 激しく否定してきたその男は、ジーナと初めてベガスに入ったときにマリオの住民登録を担当して賄賂を要求してきた悪徳警官だった。


「へえ、あんたこんなしょうもない連中とつながってたのか」

「……まあな、似たもの同士ってとこか。いいか、ジャパング人。この街じゃな、官と冒険者ギルドはがっしりと互いの金玉を握り合ってうまいもんを食っているのさ」


 それはつまり――。


「つまり、あんたらは性的な意味でもつながってる、と?」

「つながってねえよッ! いや、つながってはいるけど、そういう意味じゃねえよ! 互いの弱みを握り合って裏の仕事で金を稼いでるってことだよ!」

「……マリオ様、ガイさんとはすでにお知り合いで?」

「ああ。おっさんの部屋でおれの大事なものを見せた仲だ。まあおっさんには大変なものを要求されたんだが、それをおれが断ってもおっさんは優しくてな。帰りには自分の服をくれたよ」

「勘違いされる言い方はやめろ!」

「えっ、あの日のことをもう忘れてしまって……」

「このモーホー野郎がッ! いい加減にしねえとぶっ殺すぞ!」

「おう、やってみな」


 マリオは馬鹿なやりとりで相手たちの気勢を削いだその隙をついた。

 黒服の手を一瞬でひねり上げてエモノを奪い自らの手中に収めると、ぎらつくナイフをガイの首筋にすっと当てた。

 その間、わずか数秒にも満たない。黒服の顔はいまだに手首の関節をねじ曲げられた痛みに歪んでおり、ガイに至っては自分の首から血が一筋流れてもまだポカンと間抜けな面を晒している有り様だった。


「てめえら動くなよ。動けば殺るぜ」


 そんな陳腐な文句がその場の者全員を凍りつかせるほどの説得力を持たせる、マリオの早業だった。ガイはマリオの言葉でやっと自分がどういう立場にあるのかに気づいたようだった。


「あんたら変なマネだきゃしねえでくれよ。この馬鹿、本気だ」


 今にも漏らしてしまうのではないかというガイの泣き声だった。だが、マリオの脅しとガイの必死な懇願にも関わらず、店内の黒服たちは懐に手をそろそろとやってジワリとマリオたちを囲もうとした。それを見たガイは店内に響き渡る程の悲鳴とともに大声を上げた。


「お、おれがこの馬鹿に殺されたら、官は《中鬼の矛鎚》をパクるぜ!」


 店内が静まり返り、ピタリと黒服たちが動きを止めた――マリオの狙い通りだった。


「たかが喧嘩をおさめるのに、ポリ公なんざ使おうとするからこうなるんだぜ」


 マリオを脅してきた黒服は自分たちと警察のつながりをちらつかせ、この街のマリオの公的な身分を潰してやるというプレッシャーをかけることだったのだろう。そうすれば、ちょっと《小鬼の大鎚》に対して粋がってしまった移民のガキなんかはこの街でまともに生きていけないことにビビって、厄介になっているルチアーノにすぐに泣きつくに違いないと考えたのだ。そうして、もともとは《小鬼の大鎚》と流れ者の間でのいざこざだったのを、《中鬼の矛鎚》と《狼の血族》の問題にすり替えようとしたのだろう。

 だが、マリオは警察と《中鬼の矛鎚》の微妙なパワーバランスを逆手に取った。連中は仲良しこよしの息ぴったりというわけではない。互いに持ちつ持たれつで甘い汁を吸いつつも、少しでも相手に隙を見つけたらそこに一気につけ込む関係のようだった。仮に警官の一人が《中鬼の矛鎚》のシマで殺されるという事態になったら、この街の警察は自分たちの仲間を殺した相手を容赦なく締め上げるはずだ。そうなれば、《中鬼の矛鎚》はドン・ルチアーノのみならず、この街の公的機関まで敵に回さなければならない。


「てめえみてえな三下にそんな戦争の引き金引く度胸があるのかい? ん?」

「……言ってくれるじゃねえか、ルーキーが」


 マリオにひねられた手首をさする黒服は今や慇懃な態度をかなぐり捨てていた。その目は冷たい無機質な光を放ってこちらの一挙手一投足を見逃さまいとしていた。


「度胸があるかだと? それはおめえに聞きてえな、マリオ。おめえは中鬼の矛鎚を喧嘩売ってるんだぜ? 《灰色狼》が出すぎたマネをした見習いをどうするかわかってんのか?」


 鬼の刺青が入った手を振りかざしながら、黒服は声を張り上げた。


「おめえは今や《狼の血族》の看板背負ってんだぜ――てめえは自分とボスの首かけてうちと戦争やる覚悟があるのかって聞いてんだよバカヤロウ!」


 対して、マリオはその怒声を受け流すようにして口元をわずかに歪めた。


「いや、ねえな。おれのだけならともかく、こんなつまらねえ揉め事にボスの首まではかけらんねえ。だからよ――」


 さっきから震え続けているガイの首を引っ張って出口に向かって目をやる。


「だから、今日のことはなかったことにしようじゃねえか」

「――は?」


 黒服の目が点になった。


「今日のことはなしにしようぜって言ったんだ。おれはこの店に来なかった。ガイのおっさんは楽しく店で飲んだだけ。あんたたちは店でトラブルなんて起こさなかった。そういうことにしてまた仕切り直そうじゃねえか――互いのボスの意向を確かめてからな」


 返事も待たずにガイを抱えたまま、出口に向かって歩き出す。その悠々とした足取りに周囲の者は全員呆気にとられていた。


「ッ! このクソガキッ!」


 唯一、マリオとメンチを切っていた黒服だけが機敏に反応したが、それもマリオがガイに当てたナイフをちらつかせると、ぐっとつまったような声を出して動きを止めた。


「じゃあまたな。なるほど、確かに楽しませてもらったよ」

「――待ちな」

「まだなんかあるのか?」


 頭だけ巡らせて振り返ると、黒服は懐に手をやって酷薄な笑いを浮かべていた。マリオがすっとガイを身の前に置いて盾にすると、黒服はおかしそうにふっと笑った。


「もうおめえとやり合う気はねえよ――今日のところはな。こいつを渡してえだけだ。取っとけ」


 黒服がゆっくりと懐から取り出したのは一枚の紙片だった。こちらに投げて寄越してきたそれを見ると、そこには黒服の名前が書かれていた。


「おれは《中鬼の矛鎚》会計役、オルク・ビアード。覚えとけ、てめえをぶっ殺すやつの名だ」

「……」

「おれのボス、メイソンさんから許可をもらったら遠慮なくてめえをぶち殺すことにするよ、ルーキー・マリオ」

「――そのときはまた楽しませてもらう」


 オルクの粘りつくような視線を背中に受けつつ、マリオはガイを引きずりながらようやく店を出たのだった。


 マリオがまだ泣きべそをかいているガイを小突きながら来た道を戻り、ピンク通りの入り口にたどり着く頃には、陽はとっくに暮れていた。もういいだろうと目で問いかけてくるガイを、しかし、マリオは建物の陰になっている暗がりに連れ込んだ。

 表の眩いネオンサインが届かない暗い路地で、ガイの恐怖と屈辱が入り混じった表情を捉えてマリオは思う。やっぱりどんな世界にも暗がりというのはあるものなのだ。


「さて、おっさんとはここでお別れだが、言っておかなきゃならねえことがある」


 ガイの体から腕を離してできるだけ静かな声で言うと、ガイはやけくそめいた調子でわめきちらした。


「わかったわかったよ! おれはあの店で飲んでただけ、あんたとは会ってもいねえ! それでいいんだろ?」

「もう一つ。妙な気を起こすなよ。例えば《狼の血族》の誰かが身に覚えのねえことで手錠かけられたなんてことになってみろ。そうなりゃおれはてめえを――」

「殺すってか? へっ、そんな脅しは聞き慣れ――ッ!」


 ガイの片方の目ン玉が飛び出したようになった。ガイの瞼にはマリオの手によって刀身の腹の部分が押し当てられ、酒と涙で充血した眼球があとちょっとでこぼれ落ちそうになっていた。


「おれ、殺しだけはやったことがねえんだ。この意味わかるか?」

「あッ……ああぁッ!」


 カエルがつぶれたような声で鳴くガイの口に手を突っ込んで、舌を指で掴んで引っ張り出す。


「殺しだけはやったことがねえんだが……おれとトラブったやつはみんな言うんだ、いっそ殺してくれってな。まあ、舌が残ってるやつに限っての話だがな」


 今度はナイフの切っ先を舌のど真ん中に突き当てわずかに刃を滑らせた。ガイの黄ばんだ舌から真っ赤な血がたらたらとこぼれ落ち地面にポトリと垂れた。


「意味わかるか?」


 ガイはもはや言葉を発することも唾を飲むことも、うなずくことすらもできないでいた。ただ腫れた眼球から赤ん坊のような涙を出すことしかできないようだった。だが、その目ははっきりとこちらの質問に答えていた。

 それで満足したマリオがナイフを離して腹に蹴りを入れてやると、味わったことのない苦痛と恐怖のためか、ガイは汚いものを口から下半身から吐き出しながら這いずって逃げていった。あの様子では家に帰る前に替えのズボンが必要になるだろう。


「でもそいつはおれにくれたんだったな。親切な野郎だったのに悪いことしちまった」


 オルクのナイフを排水口の中に隠すようにして処分してからピンク通りを出た。その猥雑な通りが見えなくなる前にもう一度振り返ってみると、それまでには見えなかったものがよく見えた。一晩の楽しみに張り切る男の腕につかまる女達の寒々しい笑顔。愚かな獲物を見定めるポン引きの浅ましい顔。何より、けばけばしいネオンサインと表の喧騒に隠された暗がり。そこではマリオがやったのと同じようなことが毎日飽きもせずに行なわれているのだろう。


「イヤな社会勉強だったな」


 この世界が以前にいたところと全く変わらないということを学んでしまった。

 ふと、ジーナの顔が頭に浮かんで早く会いたくなった。

 シアーズ商店に足早に戻ると、もう店じまいをするところだった。抱きついてこようとするサブリナをかわしながらジーナの居所を聞くと、マリオを探しに行ってしまったと言う。日が暮れるまでに見つからなければ、ギルドのホームに戻っているとの言伝を伝えられた。


「ねえ、ほんとにうちでご飯食べてかない? 別にお泊りとかそんなんじゃなくてさ、ただほんとに煙草屋のおばあちゃんのお礼したいだけなんだけど……」

「悪い、また今度誘ってくれ。今日は帰るわ」


 自然と口をついて出てきた台詞に自分でも少し驚く。いつのまにか、金色狼の宿は自分にとっての帰る場所になっていたらしい。サブリナもそれ以上はしつこく誘うことなく、笑って見送ってくれた。

 まっすぐにホームへと帰ろうとしたが、少し脇道を通って煙草屋の前を通ってみた。店はすでに閉まっていたが、その二階には暖かな光が灯っていて女の子の笑い声らしいものが路上にまで響いてきた。どうやらバアさんと孫娘は無事にやってるらしい。

 相変わらず汚く狭い裏通りからさらに一本奥の道に入って、金色狼の宿の前に立つ。中からは酔客らしい男たちの明るいダミ声とそれを叱るエルマの声が聞こえてきた。そしてそれらに混じって耳に飛び込んでくる、もうすっかり聞き慣れてしまった女の声と唯一尊敬する男の笑い声。


 扉を開ける。


「ただいま」

「おう。よく帰ったな、マリオ」

「マリオさん、どこ行ってたんですか! すっごい探したんですよ!」


 ルチアーノが酔ったようなニヤニヤ顔で、ジーナが怒ったような顔で出迎えてくる。カウンターの内側で客の相手をしているエルマは何が気に入らないのかフンと鼻で鳴らしながらも、新しい杯を棚から一つ取り出し、ルチアーノの向かいで酒の相手をしているグラスは苛立たしそうな様子で眼鏡のツルを指で押し上げてから、こちらに向かってうなずいて返事をしてきた。

そういえば、喧嘩のあとに誰かにただいまなんて言ったことは今までにないことだった。


 そこだけは前の世界と違うようだった。

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