第9話 《狼の血族》の過去

 金色狼の宿に戻ると、ホームには誰もいなかった。なんとなく寂しい感じのする酒場を通って、その奥にある一階倉庫へ行く。


「この倉庫は酒場の食材や飲み物が置いてあるんです。ギルドの倉庫は地下室にあります」

「地下室?」


 ジーナは倉庫の中心に行くと、石版に膝をついて床についていた扉を引き開けた。すると、下への暗い階段が現れた。身をかがめないと入れそうにないくらい狭い。


「気をつけて入ってくださいね」

「姐御、なんだか暗くて怖い」

「抱きつかないでください! 都合のいいときだけ姐御扱いするのもやめてください!」


 二人で騒ぎながら地下室へと下りて行く。


「暗くて何も見えないな」

「そうですね。生活魔法で灯りでもつけましょう」


 その呪文なら自分でも知っている。額に傷のある男の子の魔法学校の話で読んだ。


「ルーモス――」

「《トーチ》」


 遮るようなジーナの言葉が響くと、松明そっくりの光が辺りを照らした。

 二人がいるそこは灰色の石壁に囲まれたぽっかりとした広い空間だった。床は土になっているが、きちんと押し固められて油がまかれているのか埃は立たない。地下室といっても、ジメジメとした感じはしなかった。にもかかわらず、そこはなんとなく肌寒さを感じる空間だった。


「ここは昔から《狼の血族》の倉庫として活用されているんです。五年前からほとんど使われなくなっちゃいましたけどね」

「五年前に何かあったのか?」

「……」


 ジーナはそれには答えず、隅に置かれていたカビ臭い木箱の山を無言で崩し始めた。いくら待っても返事は返ってこない気がしたので、マリオも何も言わず手伝うことにする。


「別にマリオさんを信頼していないわけじゃないんですよ」


 ジーナが大きめの木箱を抱えて顔を隠しながら言った。


「ただ、私の中でまだ整理がついていなくて――お父さんやエルマ姐さんたちも、あの一件で狩りに出ることができなくなっちゃったし……」

それはあの三人の体の故障のことを言っているのだろうか。

「マリオさんが見習いになった以上、話しておかなければいけないとは――」

「別にいいさ」


 それ以上聞いていられなくなって、思わず言葉が出てしまった。


「おれは所詮新入りだしな。今回の《小鬼の大鎚》との一件もおれが種をまいたようなもんだ。おれはただの厄介者で、おまえらの仲間じゃないことはわかっているさ」


 ルチアーノの言葉と不思議な瞳が心をかすめたが、それらはすぐにどこかへと消えた。


「違います! そんなことは思ってないです!」

「別にだいじょうぶだ」


 気にしていない。そういうのには慣れている。

 日本では、慕ってくる連中はいても対等な友人というのはいなかったし、ましてや背中を預けて一緒に戦うような仲間なんて望むことすらできなかった。家族にしたって、小学生の頃に両親に捨てられているし、それから転々とした親戚の家でもどこでも厄介者扱いされていた。そこを飛び出して一人暮らしを始めても、訪ねてくれる者など誰一人としていなかった。

 だからだいじょうぶだ。気にしていない。


「探してた木箱はこれか? ふーん、ロープとかバッグが入ってるな」

「……マリオさん」

「いいから早く選んでくれよ。おれはこんな寒いところさっさと出たい」

「……はい」


 ジーナは何か言いたそうな顔をしながらも、黙って荷物をまとめ始めたのだった。

 ジーナが選んでくれたものを身につけて外に出る頃になっても、二人は重苦しい空気に包まれていた。まるで地下室の肌寒い空気がそのまままとわりついてきてしまったようだった。

 無言のまま、ベガスの北門に通じる大通りに出たところで、ジーナが遠慮がちに言った。


「街を出る前に商会に寄って、食料とかを買いたいんですが……」

「ああ」


 気まずそうな顔をするジーナにうなずくと、ジーナは大通りの隅っこにある小さな店へと入って行く。


「いらっしゃいませ! あら、ジーナじゃない」


 ジーナとマリオに元気よく声をかけてきたのは、赤毛の娘だった。少しそばかすがあるものの、愛嬌のある顔立ちをしている。その子の屈託のない笑顔を見て、ジーナはほっとしたように顔を緩めた。


「サブリナ。ごめんね、急に押しかけて悪いんだけど、一週間分の食料を買いたいの」


 サブリナと呼ばれた赤毛の女の子は笑いながらカウンターから出てきた。


「いいけど、そっちのお兄さんは? 彼氏?」

「まあ、そんなようなものだ。裸を見せる仲ではあるな」

「マリオさんが一方的に見せてきただけじゃないですか」


 呆れたように言いながらも、ジーナはこちらの軽口にふっと安心したような表情を見せた。


「こちらはマリオさん。サブリナ、うちのギルドの新しい見習いだよ」

「初めまして、マリオ。私はサブリナ・シアーズ。このシアーズ商会の看板娘」


 自分で看板娘などとのたまっているが、サブリナのハキハキとした物言いと明るい雰囲気は確かに人好きのするものだった。


「奥にお父さんがいるから、ジーナは向こうで買い物してきなよ。私はマリオに店を案内してるから」

「えっ、でも――」

「いいからいいから」


 サブリナはジーナの背中を押してカウンターの向こうへ押しやると、くるりとこちらに向き直った。品定めするようにジロジロとこちらを見てくる。


「ふうん、《狼の血族》の新入りねえ」

「一部じゃ、化物級の才能を持っていると注目されている」


 見せてやるわけにはいかないが。


 サブリナは訝しむように首をかしげた。


「そんなすごそうな人には見えないけどなあ。ドン・ルチアーノはなんで君を選んだんだろうね」

「……ボスの腹の内なんて、おれが知るわけがないだろ」


 なんだかまた心に冷気が忍び込んできたようだった。


「でも、《狼の血族》にルーキーが加入するなんて五年前のあの事件以来のことだね」


 また五年前か。

 自分には関係のないその言葉にはもううんざりだった。


「あのふざけた耄碌ジイさんが何考えてるかなんて、おれは知ら――」

「ちょっと、君。いくら新人で物を知らないからといっても、言っていいことと悪いことがあるよ」


 サブリナの顔は一変して、怒気をはらんだものに変わっていた。


「《狼の血族》の見習いがドン・ルチアーノのことをそんな風に言うなんて信じられない。どういうつもりなの?」


 予想外の剣幕にぎょっとする。


「どういうって――おれは別に」

「出て行って。このお店はドン・ルチアーノのおかげで守られてるの。《狼の血族》は言わずもがな、他の小さいギルドのまともな人たちもここを利用してくれてる。それもこれも、アコギな連中はこのお店に手を出したら、ドンが黙っていないってことを知ってるから。そんなこともわかってない人はさっさと出て行って!」

「……わかったよ」


 意味がわからないままに店を出ようとしたが、その前に一つだけ言いたくなって振り返った。


「……おれは口が悪いんだ」


 だから、さっきのルチアーノをけなすような発言も本気じゃない。あの人のことは嫌いじゃない。おれが初めてボスと呼んだ人なんだから。

 そう言いたかったが、普段悪口と喧嘩文句ばかりに慣れた口はうまく動いてくれなかった。


「悪い、何でもねえ」


 ドアに手をかけると、背中にまだ不機嫌そうな声が投げかけられた。


「知ってるよ」


 振り返ると、サブリナがカウンターに頬杖をついてそっぽを向きながら言った。


「本当にどうしようもないやつをドン・ルチアーノが見習いにするわけないもん。だから、君が悪いやつじゃないってことも知ってる。だけど、ドン・ルチアーノは私のゴッドファーザーなの。名付け親なの。そんな人を軽口でも悪く言われたくないから、今日は出て行って」

「……ああ」


 それ以上は何を言っても言い訳になる気がしたので、口を閉じて店を出て行く。

 こういうことは日本でもよくあった。口が思ったように動かないから、行動で気持ちを示すしかなく、それは結局暴力という形になることが多かった。

 ルチアーノへのこの燃えるような熱い感情をどうやって人に理解してもらえばいいのだろう。初めて感じた他人への敬意というものをどう表現すればいいのだろう。あの熱い手のひらに包まれたときの暖かい気持ちをなんと言えばいいのだろう。ボスと《狼の血族》に関する五年前の話を聞かせてもらえない疎外感をどこへぶつければいいのだろう。

 そういうことがマリオにはよくわからないのだった。

 シアーズ商会の前で胸の内をぼんやりと空にするように努めていると、ジーナが大きな荷物を両手で抱えながら出てきた。荷物が大きすぎるせいで顔が隠れて前が見えないようだった。


「マリオさん、手伝ってください! さ、支えられない……」

「しょうがねえなあ」


 荷物を全部持ってやると、ジーナがひょっこりと顔をのぞかせた。


「マリオさん」

「何だよ」


 今しがたサブリナとの間にあった出来事をこいつに聞かれなかったか、急に不安になってきた。そんな女々しいことで不安定になっている自分に戸惑う。でも、ジーナにはボスをバカにしたなんて誤解してほしくない。

 突然、ジーナは体当たりするようにマリオの腕に抱きついてきた、


「は? 何してんだ、てめえ?」

「あんなにはしゃぐお父さん、久しぶりに見ました」

「……」


 ジーナはなおもガシガシとこちらに体当たりをしてくる。が、その間もこちらの腕を優しく掴んでいる。こみ上げる気持ちが照れくさいというかのように、それを誤魔化すかのように、柔らかい体をぶつけてくる。


「昨日マリオさんが寝たあと、お父さんずっと楽しそうにしてました――一人で《小鬼の大鎚》に喧嘩売ろうとするとは見どころがある。おもしれえやつだって。おまけに今朝、マリオさんと立ち会った後のお父さんの様子ときたら、すごかったですよ。あんなに楽しそうにお酒を飲むのは久しぶりです」


 そうしてジーナは立ち止まると、不意にこちらを見上げて言った。


「五年前にね、お父さん裏切られちゃったんです。信頼していた弟分に」


 突然語られ始めた五年前の事情に虚を突かれる。


「この話を私からしていいのかなって思ってたんですけど、さっきサブリナから店であったこと聞いたら、した方がいいのかなって。エルマ姐さんやグラスさんが話すより、私が話した方がいい気がしたんです」

「……裏切られたって?」


 道行く人の賑わいが急に遠く感じられて、ジーナの顔と声だけが意識の内にあった。


「はい。もともと、《狼の血族》は少数精鋭のギルドだったんですが、それでも昔はかなりの名声を轟かせていました。ギルドマスターであるお父さんの功績が大きかったんでしょう。その実力もさることながら、街の人を守る姿勢が高く評価されていました。ですが――」


 ボスであるルチアーノはシマ内のカタギからは金を取らなかった。そのことに荒っぽい子分たちは次第に不満を抱くようになる。彼らは実力があるだけに、他のギルドにいるより儲からないのはおかしいと考えていた。街の中でデカい顔をして歩けないのも苛つく種だった。シロウトに手を出せば、すぐにルチアーノに粛清される。

 それでも、ルチアーノの器は普通のギルドマスターより遥かに大きかった。うまい具合に彼らをなだめ、なぜ街の人々を守る必要があるのか、その理念を説き、一人一人忠実な部下を手に入れていった。おそらく、そのままいけば悲劇は起こらなかったはずだ――一人の男さえいなければ。

 その男はルチアーノが若い頃から行動を共にしていた弟分だった。冷酷なところもあるが、目端が利き頭も回る。その男はときには信じられないほど残虐なことも行ったが、それでもその根は善であるとルチアーノは信じていた。それは結果として間違いだったわけだが。

 当時、《狼の血族》はボスであるルチアーノの舎弟衆と子分衆で構成されていた。ルチアーノが若い頃から一緒に働いていた連中が舎弟であり、弟分である。子分衆がルチアーノを親分として慕う直接の部下である。どちらもルチアーノの言うことに絶対なのはもちろんのことなのだが、舎弟衆の場合、若い頃から同じ釜の飯を食っているから、ある意味対等な部分も持ち合わせている。

 ここで問題だったのが、ルチアーノの跡継ぎ問題だ。王族や貴族の跡継ぎと一緒で、普通、ギルドの次世代のマスターは、現在のボスの子分衆から選ばれる。舎弟からではない。王様が死んだからといって、その弟が王様になれないのと一緒である。死んだ王様の冠を引き継ぐのは通常その長男だ。


「つまり、ルチアーノの弟分であるその男は《狼の血族》のボスになる資格を持っていなかったわけか」

「……はい。それが五年前のことの全ての原因でした」


 それでも、その男がルチアーノに素直であるのならば、自分のギルドを立ち上げることくらい簡単に許されたはずだ。弟分が兄貴分のギルドの運営に手を貸しながら、自分だけのギルドを持つことは一般的なことだ。

 だが、その男はそうするだけでは満足できなかった。《狼の血族》をそのまま乗っ取ろうとしたのだ。

 それは偉大なる兄弟分への嫉妬か、その裏返しか。

 弟分は巧みな話術と悪魔めいたカリスマでルチアーノの部下を一人一人懐柔していき、自らに従わない者は理由をつけて上手に始末した。そうしてルチアーノの手勢を削り、自分の手駒を手に入れていった。

 当時、ルチアーノがエルフやドワーフなどの亜人をギルドに入れ始めたことも、その男には有利に働いた。この街でも亜人奴隷解放運動が展開されつつあるとはいえ、亜人差別はいまだに強烈だった。確かに亜人の運動能力や魔術の才能は優れているから、ギルドで使ってやってもおかしくはない。だが、それは奴隷としてであって、対等な仲間としてではない。

 その男さえいなければ、そういった考えを持つ手下をルチアーノも説得できただろう。だが、自分が若いときから修羅場を一緒にくぐり抜けてきた弟分が、背信行為を行なっているとは頭の良いルチアーノも気づけなかった。

 いや、情に厚いルチアーノだからこそ気づけなかった。男は亜人をギルドに入れたルチアーノに背くよう、仲間を唆した。


「そして五年前です。あのとき、お父さんはそれまでの人生で手に入れたもののほとんどを失いました」


 その男はルチアーノの手勢の多くを引き連れて独立。自分だけのギルドを立ち上げる。と同時に《狼の血族》の縄張りのほとんどを手に入れる。

 それに飽き足らなかったのか、ルチアーノのボスとしての器が恐怖だったのか、男はわずかに残った《狼の血族》のメンバーと縄張りへの攻撃を開始する。ルチアーノが街の人々への暴力を止めるように求めても無駄だった。男は徹底的に《狼の血族》を潰そうとしていた。

 ルチアーノ率いる《狼の血族》もやむなく反撃。その抗争で、もとは同じギルドメンバーだった者同士が争い、多くの者が死ぬ。《狼の血族》もエルマ、グラスのたった二人のメンバーしか残らなかった。しかも、ルチアーノを含む三人とも、冒険者として二度と狩りに出かけることのできない体となってしまう。短時間の戦闘ならばともかく、長時間の移動と継戦を要される魔物狩りは、不自由な体ではとても無理なことだった。


「それ以来、お父さんたちは小さく残ったシマを必死に守ってきました。他のギルドにアコギな真似はさせないように、街の人が平和に暮らせるように。どんな嫌がらせをされても、絶対抗争にならないように、体を張って耐えてきて……」


 サブリナの必死の剣幕。その言葉の端々からあふれていたルチアーノへの尊敬の念が思い出される。


「お父さん、自分が弱いせいで、部下を死なせて街の人に被害を出してしまったって、毎日部屋で一人泣きながらお酒を飲んでました」


 信じられなかった。

 あの強く優しい男が泣くところなんて想像もできなかった。


「でも、お父さん、昨日と今日はすっごく楽しそうでした。無茶苦茶だが、面白いやつが入ってきた。もうそろそろ、《狼の血族》も前に進んでもいい頃合いだって。今朝はお父さんが剣を抜くところを五年ぶりに見ましたよ」


 こちらを見上げていたジーナの目が不意に涙であふれたが、ジーナはにっこりと笑ってそれを拭った。


「ありがとうございます、マリオさん」

「……」


 なんと言えばいいのか、よくわからなかった。

 捨て鉢な気持ちで日本に別れを告げてやってきたこの世界で、こんな風に誰かと触れ合って、お礼を言われるなんて思いもよらないことだった。


「なんか湿っぽい話になっちゃいましたね。さ、行きましょう」


 ジーナは話を切り上げるように、マリオの腕を引っ張った。


「ジーナ」

「何ですか? ジメジメとした話はもう終わりですよ」

「いや、そうじゃない」


 今度こそ胸の内を言葉にしようと、ゆっくりと気持ちを吐き出す。


「おれ、前にいたところじゃ、いつも一人だった」


 両親に捨てられ、親戚には邪魔者扱いされ、学園では恐れられた。自分の周りに寄ってくるやつらも結局自分の力に頼ることしか考えていなかった気がする。


「前にいたとこのことは何と言えばいいかわからないが――」


 日本のことをどう説明すればいいのかはよくわからない。

 だが、これだけははっきりと言える。


「おれ、ボスについていく」


 ルチアーノに対するこの気持ちはどう言えばいいのかよくわからない。エルマやグラスのことは一応、姐貴、兄貴と呼んではいるが、いまだにどういう人物なのかはよくわからない。ジーナのことは信用できるが、信じて頼っていいのかまではわからない。

 だが、ドン・ルチアーノが自分のことを息子と呼んでくれたその気持が本心であることは理解できた。その手の温かさと、あの人の強さを自分は知っている。


 それだけでルチアーノをボスと呼ぶには十分だった。


 どうせ一度は死んだ身。得体の知れない自分のことを家族と言ってくれたあの人のためなら、死んでもいいと思えた。


「おれは――」


 その先はうまく言葉にならなかったが、ジーナはこちらの胸の内を察したように優しく微笑んだ。


「お父さんはきっとわかってますよ、マリオさんのこと」


 その言葉だけで心の中でわだかまっていたことの全てが溶けていくように感じられた。ジーナの微笑みがすっと胸に入り込んでくるのが感じられた。


「……でも、あれだからな」


 急に目に湿っぽいものを感じたので顔を背けて軽く言う。


「何ですか?」


 ジーナがこちらの顔を覗きこむにしてきたから言ってやった。


「おれが先輩でおまえが後輩ってのは絶対だからな」


 ジーナは目をパチクリさせたが、すぐに乗っかるように言ってきた。


「だから、私がお姐さんだって言ってるじゃないですか!」

「そういうことはエルマ姐ぐらいの胸になってから言え」

「なっ――失敬な! 私だって巷じゃ男心をくすぐる魅惑ボディと有名で――」

「なるほど、確かに尻は合格だ」


 ジーナのお尻を撫でると、強烈な平手打ちを食らった。

 それからしばらくジーナは口を聞いてくれなかったが、その沈黙は先ほどまでのものと違ってなんとなく楽しいものだった。

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