設置開始
「大丈夫か?あの人」
田擦だけは純粋に心配している様だった。
「まー人間っていろいろ居ますからね。あ、コーヒー買ってもいいですか?」
「はあ?まあいいけどすぐ済ませろよ」
「もちろんですよ。あ」
「う」
伊達寺はまた人とぶつかった。
倒れ込んだ男性の鞄から無数の大人の本が飛び出した。
「あ~~。すみません。わあ、凄い数ですね」
「~~~!」
男性は悶絶しながら本を鞄に戻している。
男性はそそくさと逃げる様に駆け出した。
「いやあ。今日はよく人にぶつかるなあ」
田擦は溜息を吐いた。
「伊達寺。お前は喋るな。黙って歩け」
「すぅごい言い方ですね。注意して歩くんで喋ることくらい——」
どっ。
「あ」
「う」
数日後。
陀付の出没エリアの下見を終えた二人はとある作戦を開始しようとしていた。
「兎に角今はデーモン捜索だ。私たちの役割を果たすぞ。揉短班長が仰った様にデーモンは身体が薄く見つかり辛いだろう。班長達が作戦を立ててくれてる。私達はすこしでもデーモンの出没エリアを絞るぞ」
清々しい晴天の下、ビルの屋上に立った田擦は伊達寺に呼び掛ける。
吹き抜ける風が心地良い。纏わりつく残暑を攫ってくれる。
屋上の端に立つと文化の結晶と景色を一望できる。純粋に綺麗だと思った。
「探知機は持ったな?それはデーモンを感知する探知機だそうだ。効果範囲はそこまで広くない。穴が無いよう均等に配置していくぞ」
腰に装備した探知機を摩る。
小型軽量探知機。デーモンの発する熱を感知して捕捉できる。
田擦は陀付の詳細な位置を知る為、この小型探知機を用いることにした。
通常使用するには申請が要るのだが揉短班長が気を利かせ支給してくれた。
驚く程優秀である。
「私は上から設置していく。伊達寺は下から頼む。質問は有るか?」
「ないです」
耳に装着した端末越しにくぐもった声が聞こえた。
「良し。行くぞ」
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