第3話 朝から来た2人

 いつも通りの朝を迎える。


 目を覚ますと同時にすぐに起き上がり、カーテンを開ける。

眩い光に目を窄ませながら、少しだけ窓を開けて、気持ちの良い朝の空気を吸い込む。


 これにより、寝ぼけた頭が一気に覚醒する。


 そうして、ボサボサの頭を掻きながら、リビングに向かうと、そこには当たり前のように2人がいた。


「おはよ、ゆうくん」と、コーヒーを飲みながら爽快な笑み浮かべてそう言った花塚さん。


「お、おはようございます...ゆうくん。...ヤバい。朝から生ゆうくんは刺激が強いです...//」と、エプロン姿で照れている。


【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093090060555247


 当然、昨日あの後彼女達が泊まって行くことになったわけでもなく、朝家に来ることになっていたわけでもないし、許可もしていない。


 学生が学校に行く感覚で彼女達は俺の家に来ているのだ。


 しかし、もし断ろうものなら発狂しそうだし、仕方ないよな...。


 机にはすでに朝ごはんが作られており、こちらを楽しそうにしながら見ている。


「さて、ここに二つの卵焼きがあります。片方が私が作ったもので、もう片方は水野ちゃんが作ったものになります。どっちが好きか教えてくれますか?」と、ニコニコしながらそう質問する。


 はい、終わった。

これどっちを答えてもやばいやつじゃん。


「...えっと...そうだね...うん...」と、椅子に座り仕方なく箸をとって卵焼きを食べる。


 まずは右から...。


 かなり甘めの味のふわふわの卵焼きだった。

昔、お母さんに作ってもらったものによく似ている気がする。


「...うん。美味しい...美味しい」と、頷きながら味の感想を伝える。


 すると、嬉しそうに笑う花塚さん。

そして、花塚さんを睨む水野さん。


 いや...これ...絶対そういうことだよね。


 次に左の卵焼きをいただく。


 ややしょっぱめで作られている卵焼き。

昔、おばあちゃんに作ってもらった卵焼きに似ている。


「...うん。こっちも美味しいよ」と、頷きながら味の感想を伝える。


 すると、嬉しそうに伝える水野さん。

そんな水野さんを睨みつける花塚さん。


 2人とももう少しうまくやろうよ。


「「どっちの方が美味しい?」」と、迫られる。


 ゴクリと飲み込んでから、判定を下す。


「...えっと...その...どっちも本当においしかったよ」

「引き分けとかなしだから」

「同じく...。絶対に怒らないので教えてください」


 絶対に怒るよね?と思いながらも、渋々好みだった方を指差す。


 それは花塚さんが作った卵焼きだった。


「やったやったやった!だよねだよねだよね!」と、ピョンピョンと楽しそうにジャンプする花塚さん。


 2日連続で膝から崩れ落ちる水野さん。


「...あっ、でも水野さんのも本当に美味しかったよ。また今度作ってくれたら嬉しいな」と、フォローを入れると、「本当ですか!?嬉しいです//」と、すぐに元気を取り戻す。


 朝から騒がしい彼女達に振り回されながら、3人で家を出るのであった。

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俺を10年間ストーカーしていたのは学校1の美少女だった 田中又雄 @tanakamatao01

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