被害者

被害者を どうしてあなたは

責めるのか わたしには

被害者を 責める理由が

見当たらない 被害者を

責める時間が あるのなら

加害者を その分大きく

責めるべき


泥棒に 入られた

その人に 「施錠をしっかり

やっていたら 泥棒なんかに

入られず 済んだのでは?

施錠をしない あなたが悪い」

そうやって 被害者に

責任を 持たせたことは

そうやって いたぶって

被害者を さらに追い詰め

悲しませ つらい思いに

させたこと やったことが

ないだろうか? 被害者を

責め続ける ことになった

そうしていじめた ことはないか?


わたしの友は いじめられ

自ら命を 絶ってしまった

死人に向かって 「あなたが悪い」

あなたは死人に そう言うのか

しゃべることも できない死人に

なにを言う いじめられた

ほうが悪いと 死人を責める

意味があるのか 死人になった

彼を責める お前は卑劣だ


鍵を掛け忘れ 殺された人を

わたしは知ってる 彼に向かって

「鍵を掛け 忘れたあなたが

悪い」と言う 死人に向かって

なにを言うのか あなたの言葉は

虚しく響く 死人はなにも

学びはしない


被害者を責めて 加害者を

責めないあなたは 加害者の

罪を軽く していることに

気が付かない 加害者の

やったことを 正当化して

いることに 気がつかない

加害者を 正当化する

被害者を 責めればそれは

簡単に なせることだ

加害者は 責められず

やったことを 繰り返す

加害者を 罰さない

罪をあなたは 繰り返している

正当化して ほんとにいいのか

自分の心に 尋ねてみなさい

自分の心に 聞いてみなさい

ほんとにそれで いいのかと

正しいことか 聞いてみなさい


加害者を 責めなければ

害を加える ことはずっと

繰り返される 被害者を

責めたところで 加害者は

びくともしない 加害者は

なんとも思わん 害を加える

ことを続ける 社会に害が

加えられる ことを防ぐ

そのためには 加害者を

責めるべきだ なんのために

加害者を 責めるのか

同じことが 同じ害が

ほかのみんなに 渡らせない

ためなんだ 繰り返させない

そのために 正当化する

罰なんだ そうでなければ

罰を与える 意味などない


裁判で 鍵を閉め

忘れたがわに 罪を与える

ことがあるか 鍵を閉め

忘れた罪で 罰せられる

ことがあるか 鍵を忘れた

お前が悪いと 被害を受けた

がわに罰を 与えることに

なってもいいのか 被害を受けた

ほうが絶対 罰を受けては

いけないのだ 責めるべきは

必ず被害を 与えたほう

被害を与えた ほうへ罰を

被害を受けた ほうを救い

助けてゆくべき 救ってゆくべき

そうしなければ いけないのだ

そうならなければ ならないのだ

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