決心に突き刺さる棘


-『分かった。じゃあ、手続きなどが完了したら

また連絡するから。』


「はい、承知しました。突然の電話にも関わらず

ご対応頂きまして、有難うございました。」


-『はーい』


「失礼致します」



ツーツー…。



「はぁ…なんがっ!!」



これで4年間勤めた職場を辞めたんだ。


電話では合わないと言ったが


私には合っていた職場だった。


だけど、このタイミングで辞めないと


周りの人に甘え続けてしまう。


例えば…家族とか。



自分を変えるなら今年なんだ。


まだ見ぬ未来さきに対しての不安をかき消す為

意気込む。



新しいスタートの始まりだ!!



メールチャットを開き、今までお世話になった人達の連絡先を削除する。



店長はまだ残しておこう。


まだ連絡取り合わなきゃいけないしね。



削除のボタンをタップ、タップ



他のパートさんやバイトの子達とは

もう連絡を取ることはもうないし


どこかで会ったとして挨拶するかどうかは


自分次第だし、相手次第。


職場の人間関係は結局 そんなもんだと思う。


人間関係のリセット。 今までもそうしてきた。



でも今回は


自分へのいましめの為でもある。



ポロン♪



「あ…。」



〔どうしたの?〕



届いたメッセージ それは


私がとてもお世話になったパートさんからだ。




「どうしよう。…なんて返信しよう。」




めんどくさい性格をしている私は、


どこか物事を俯瞰的ふかんてきに見ていながらも


何も特技もなく、いつも仕事に自信が持てず


諦めて泣いたり逃げたりした私を


幾度も叱ってくれて、時には話を聞いてくれた人で


‘’尊敬していた人”



〔店長から電話があって聞いたよ。

何かあったの?〕



一見すると、何でも知りたがりの様な人にも見え


極々、普通のメッセージで何気ない文章だが


実の詰まった果実のように


‘’ 優しさ ”と‘’ 温かさ ” が


ぎゅっと詰まっているように私は感じた。



このパートさんとの時間おもいでの中に残る


沢山の叱責と沢山の励ましの言葉達が


棘のようにチクチクと


私の‘’ 決心こころ ” に 突き刺さる。



ポロン♪



〔何があったかは知らないけど

私はずっと奈央ちゃんと働きたかったし

また楽しく働けると思ってたから

相談して欲しかったなと思います。


新しい道を歩く

奈央ちゃんを応援しています。 またね]



「…っ」



自分の決心が間違っていたのではないか。


本当に辞めて良かったのか。


果たして、私は後悔しないのだろうか? と 問い



溢れ出す感情を押し殺す間もなく大粒の涙が頬を濡らした。



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リセットライフ__冴えない私の日記のようなもの 夏目アオ @Ao_Natume_

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