旅立ちと決心
寒い日々から心地よくなり始め
凍え震えていた季節を乗り越えた木は
桃色の花びらを咲かし
多くの人々が、旅立ちと出会いの狭間にいる季節。
そして、まさに今 私もその1人だ。
[Make a Phone Call…]
スマホに表示される英字。
スピーカー音で流れる音。
じわじわ際立つ、緊張感を抑え画面を眺める私は、
もう決心している。
「スー…はぁ…」
上がる心拍を深呼吸して落ち着かせ
頭の中で伝える言葉を並べ、その瞬間を待つ。
-『はい。お電話ありがとうございます。花椿店 店長の若松です。』
出た。
机に置いたスマホのスピーカーからは
嫌という程、聞き慣れた声。
「おはようございます。高木です。」
-『おはよう。どうした?』
「突然で申し訳ありませんが
本日付で辞めさせて頂けないでしょうか?」
-『何で?』
聞かれると思ったこの質問。準備万端だ。
「先月から続く体調不良でパートさんや学生のバイトさん達や店長に、大変ご迷惑をお掛けしたのと
以前から私には花椿店での仕事内容は向いていないと思っており
このタイミングで
辞めさせて頂きたく思いました。
本来なら前もって直接お伝えしなければいけない事を電話でお伝えし申し訳ございません。」
-『うん。あのさ、今どこ?』
「家です。」
-『俺からも良いかな?』
え、長くなる?…まぁどうせ私の勤務態度などをチクチク言われるんだろうなぁ。
以前から私は、店長に辞めたいと言っていた。
だけど時期を延ばしていたのか
中々、辞めさせて貰えなかった。
「はい。構いません。」
__これで辞められるなら。
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