振って飲んで美味しいメロンゼリージュース!
エリシアはその日、コンビニで見つけた「メロンゼリージュース」というドリンクに惹かれ、思わず買ってしまった。
涼しげなパッケージに心が踊り、早速ストローを刺して飲もうとする。
「ズ……ん?なんか…」
ストローを一生懸命吸い込んでも、ゼリーが全く口に入ってこない。何度試しても同じ結果で、エリシアの眉が少しずつひそめられていく。
「どういうことですの…?」
不思議に思ってふとパッケージの裏を見てみると、そこには小さく、「10回程度振ってお飲みください」と書かれていた。
エリシアはそれを見て、完全に感情を爆発させた。
「キエえぇエぇエエ〜!」
彼女の怒りの声が響き渡り、ストローを握りしめたまま、悔しそうにメロンゼリージュースを振る羽目になった。
ある日、ある飲料水メーカーでは、社内の企画会議が進行していた。
次期商品のアイデアを出し合う和やかな雰囲気が漂っていたが、突然――
バンッ!
扉がいきなり乱暴に開け放たれ、会議室内の空気が一変した。驚く社員たちの視線が扉の方に集中する。
姿を現したのは、エリシア。
その冷ややかな目つきに、会議室の温度が急に下がったように感じられた。
そして彼女の背後には、全身がメタリックシルバーで異様なオーラを放つ男――ヴァイが立っていた。サングラスに素肌の革ジャン姿、どこから見てもただ者ではない。
会議室内は一瞬の静寂に包まれるが、企画担当者が慌てて立ち上がり、戸惑いながら声を上げた。
「す、すみません!関係者以外はちょっと困ります!」
だが、その言葉が終わるか否か、エリシアは冷笑を浮かべ、すかさず一喝した。
「うっせえ!」
その一言に、室内の空気は完全に凍りついた。エリシアの声には圧倒的な迫力があり、誰一人として逆らうことができない。
社員たちは唖然としながら、彼女とヴァイが何をしに来たのか、息を呑んで待つしかなかった。
エリシアは会議室に勢いよく踏み込むと、手にしていた「メロンゼリージュース」を会議机に叩きつけるようにして突き出した。
「これですわよ!」
社員たちは驚きながら、エリシアが持ってきたジュースに目を向けた。
エリシアは激昂した表情で、振り返りもせずに声を上げる。
「よく振ってくださいって……裏面に書くな!」
社員たちが困惑している中、彼女はさらに声を荒げた。
「殺しますわよ!」
会議室内は完全に凍りつき、誰もが言葉を失った。ヴァイはエリシアの後ろで冷笑を浮かべ、腕を組んで見守っているだけだった。
エリシアは激しく息をつきながら、ジュースのパッケージを指さし続けた。
「普通に飲めると思って買ったら、このザマですの!私に手間をかけさせるなんて、どういうつもりですの!?」
企画担当者たちは顔を青ざめさせながら、どう対応するべきか思案していたが、誰一人としてエリシアに反論できる者はいなかった。
エリシアはさらに苛立ちを募らせ、声を荒げた。
「で、仕方ないからそのまま振ったら、中身が飛び出て服が汚れましたのッ!」
彼女の優雅な顔が怒りに染まり、会議室内は完全に静まり返った。社員たちは顔を見合わせ、誰もが恐怖に凍りついていた。
その瞬間、エリシアはゆっくりと背後にいるヴァイに振り向いた。
「やっておしまい!」
その言葉に、ヴァイの顔が狂気じみた笑みで歪んだ。彼は何も言わずに、テーブルの上に置かれたメロンゼリージュースを手に取ると、勢いよくストローを突き刺した。そして――
ブシュッ!
ゼリーが少し飛び散ったが、それを気にも留めず、ヴァイはその状態でカップを両手で握りしめ、狂気じみた動きで激しく振り始めた。
「ウヒョオぉ〜!夏の風物詩だぜぇ〜!涼しいなぁ!」
ヴァイは叫びながら、カップを空中でぐるぐると回し続け、中身が周囲に飛び散り始めた。
社員たちは悲鳴を上げ、逃げ惑い、会議室は大混乱に陥った。
「これが涼しさってもんだ!さぁ、味わってみろぉ!」
ヴァイは楽しそうに叫び続け、ゼリーが飛び交う中、エリシアはその光景を優雅に見つめ、満足そうに微笑んだ。
数日後、エリシアは自宅でカップ焼きそばを食べようとしていた。
お湯を注ぎ、待ち時間を経て湯切りをし、さあ食べようとしたその瞬間――
「ん?かやくって……?」
彼女はふと、湯切り口の上に目をやった。そこには、小さく書かれた説明があった。
「お湯を入れる前にかやくを取り出してください」
エリシアの顔が徐々に険しくなり、手が固まったまま、そのまま動かなくなった。
ぴ、ピキ……
彼女の表情には怒りの色が漂い始め、徐々に感情が高ぶっていく。しかし、何も言葉にせず、静かにその場で立ち尽くした。
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