第3話 マンション高層階にて【未確認生物?怖い話】
(本話の分量は、文庫本換算2P程です。)
コンサルタント会社を経営するDさん(33歳)。
会社も軌道に乗ってきた現在、自宅として、東京都内にマンションを購入した。
東京湾の入り江のような場所、その畔に位置するマンション。さらに33階。ベランダからの眺めは壮大。視界手前には揺らめく東京湾、視界奥には向こう岸に林立する高層ビルたち。朝は東京湾と大空の群青、夕方はビル群に沈む夕日のオレンジ、夜は煌めくビル灯り、色彩も豊かだ。
自身の部屋に満足しているDさんだったが、或る日に、奇妙な存在に気が付いた。
その日は休日。Dさんは、ベランダ窓の前に立って景色を眺めていた。晴れた日の朝。高層ビルからの眺めは、まさに青空のただ中に立っているよう。今日、出前を頼んで、映画を見て、マンションから出るつもりは無い。
景色を眺めていたその時。幅30cm程のシャボン玉のような透明の玉が一つ、向かって右の方からフワフワユラユラとゆっくり浮遊して来た。
Dさんは、近隣の部屋でシャボン玉遊びをしている子どもでもいるのだろうと思いつつ、ゆったりと浮遊する透明の玉に何となく癒しの気持ちを感じながら、ただ目で追っていた。透明の玉は、そのまま左の方へと通り過ぎて見えなくなった。
Dさんは、出前を取るため、窓から目を切ろうとした。
と思ったら、透明の玉は戻って来て、窓に再登場した。窓際の机に有るスマホへと手を伸ばして身体をよじっていたのを、窓に正対し直して透明の玉を目で追う。透明の玉はDさんの正面辺りまで戻って来ると、今度は上昇した。透明の玉に意思のようなものを感じ、癒しの気持ちはすっと消えて、正体不明のものに抱くような警戒や好奇心が強まった。
透明の玉は、今度はゆっくりと下降をはじめる。そして、ベランダの手すりへと着地した。割れる様子もない。
Dさんは、不気味だとは思いつつ、好奇心も有った。
近くで透明の玉を見ようと、ベランダ窓を開けて、進み出た。
脚を踏み出したその時、透明の玉は、Dさんを察知した結果のように、さっと宙へ舞い上がる。
Dさんは、透明の玉が舞い上がる瞬間に一瞬しぼんだのを感知。ジェットのような要領で飛び立ったのかもしれないと、冷静に分析した。
Dさんは、その後も時々、ベランダ窓から、透明の玉が浮遊しているのを目撃した。
好奇心から、Dさんは、エレベーターや玄関ホール等でマンション住民に会った時に、「シャボン玉のようなものが飛んでいないか」と尋ねるようになった。
十人くらいに尋ねた辺りから、一つの傾向に気がづいた。高層階に暮らす者ほど目撃例が多いこと、20台前半以下の階に暮らす者の目撃例が無いことだ。
違うマンションでの目撃例はどうなんだろう?Dさんの好奇心は続いている。
以上「第三話:マンション高層階にて【未確認生物?怖い話】」。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます