第4話 荒原玄蔵という男

「それで、結局何が言いたいかと言うと...」


森宮さんがそう言うと、さっきまで頷くだけだったおじいさんが会話を遮る。


「そこからは私が話そう。私はこの研究所の所長、荒原玄蔵あらはら げんぞうだ。よろしく康文くん。」


おじいさんがそう言うと、俺はぎごちなく返事をして握手を交わした。

玄蔵さんはゲム細胞について、色々説明をした。


「ゲム細胞とは、アメリカが主にがんなどの病気を治療するために開発した細胞であった。ただし、細胞としての在り方、治癒能力などの面から研究が滞っていた。そこでアメリカ政府の一部の下衆な野郎が人間兵器への活用なんて案を出した。それに賛同した他アメリカ政府の人間たちが核という戦力を放棄し、国防の力しかない弱小な日本を脅してきた。それに乗った日本政府に私はこの細胞の研究をさせられている。」


深刻な表情、凍りつくような空気、いろんな心情が混ざった空間の中、俺はいろんなことを考えた。なぜ招待状が自分に宛てられたのか、ゲム細胞と人間兵器の関係とは、そんなことを考えていると、玄蔵さんがまた話を進める。


「ゲム細胞には、A型とB型があってな、A型は言わば元の細胞、人間が接種しても兵器活用できるほどの戦力はもたらさない。だがB型は別だ。肉体強化、異常な再生力、他にも様々な器官に力をもたらす。そこでなんじゃ...」


ゴクリと唾を飲む。緊張が高まる中で言われた。


「君に…」



続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る