第3話 ゲム細胞

「やぁやぁ、よう来たのぉ。」


60代後半に見えるそのおじいさんは、のうのうと話しかけてきた。

とても優しそうだ。俺はすこし緊張がやわらいだ。


「それでは説明します。…」


先程の女の人がそう言うと、「うむ。」という感じでおじいさんはうなずいた。

俺は思い出す。手紙にあったあの4文字、「国家機密」、「くれぐれも口外しないよう …」。


、お願いいたしますね。」


森宮さんのその言葉に「はっ」となる。どうやら自分が手紙の言葉を思い出してる間に、説明が進んでたらしい。聞いてなかったのがバレたかな、


「...もう一度説明します。我々は、アメリカとの共同研究で生まれたGemxect Cellゲムセクト・セル。通称ゲム細胞の研究をしています。日本名はゲノセクト細胞と言います。」


「なっ、なんで"ゲム"が"ゲノ"になるんですか?…」


「...そこ気になります?」


辛辣な表情を向けてくる森宮さん。俺だって少し疑問に思っただけなんだから、そんな目を向けなくても、と思った。

そうすると、森宮さんは軽くため息をついて説明を続けた。


「"ゲム"が"ゲノ"になるのは英語の発音的にです。英名はアメリカが付けたのでスペルの意味はよく分かりません。これで疑問はなくなりました?」


「はい…」


「それで、結局何が言いたいかと言うと...」


急に空気が変わった気がした。



続く

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