乙女ゲーに転生しましたが恋愛とか二の次です

@tkn0214

ドキッワクッ入学式

私の人生も少しで終わりか…

高校生になりたい人生だった、健全な女子高生になれたら彼氏とか好きな人とか2,3人居たのかなぁ

いや彼氏2,3人はヤバいか、、、(笑)


私と繋がった機械音声がピーと大きく鳴り響いた


⭐︎


「ちょっと!あんた今日から高校生なんだから朝くらい一人で起きなさい!」


そんな怒号に起こされる

え??何事ですか??私寝てるんですけど!

イライラしながらも声の方を見る

あれ…てか高校生って言った?私病室で寝たきりだから高校とか通えないんですけど、嫌味?てか誰?


『…ん?』


沢山の管に繋がれた腕。質素な病院服。辺り一面真っ白な病室

頑張って目を開けた先にあるのはいつもそれだった

はずなんですけど…?

今私の目の前に広がるのはピンクを基調とした女の子らしい可愛い部屋に整えられた長い髪、血色感のある綺麗な腕に足。

ちらりと横目に部屋を見渡すと壁には可愛いセーラー服がかかっていた

どこかで見た事あるぞ…と見つめていると「起きたなら支度してご飯食べなさい!」とまたもや怒号を浴びてしまった

それに驚いて肩をくすめたあとはぁいと小さく返事をし、とりあえず制服を手に取ってみることにした


『あ、これ昔やってたゲームの…』


うーん?と頭を捻っていると私が一時期ドハマリしてた乙女ゲームのヒロインが通ってる制服であることに気がついた

コスプレ?とも思ったけど裏地まで凝ってるしなんだかちゃちくもない。

制服なんて一、二度しか袖を通したことはなかったがなんとなくこれは本物の制服だと感じた


これが乙女ゲームのヒロインの制服だとしたらこの部屋も合点がいく

確か自由にカスタムできてこんな部屋にしたのだ

じゃあもしかしてこれって…転生ってやつ?!

もしかしてだけど高校生活送れちゃうの?

そうなれば話は別だ、このまま二度寝でもかまそうと思っていたがこの制服に袖を通してご飯をいただくとしよう

…ただ口からご飯なんて何時ぶりか分からないので上手く食べられる保証はない。



『い、行ってきまぁす…』


腑抜けた声を上げドアを開けた

今日は入学式なんだそうで母も同行している。ので道には迷わないと思う

電車に乗って揺れること三駅

電車なんて初めてで見よう見まねで乗った。外の景色は病院から見えた景色とは180°違って新鮮だった


「あ、ここからお母さん別だわ。頑張って」


学校について母が一言。

それだけ言うとそそくさどこかへと消えてしまったのでもう言及はできない

これからどうしろと?こういう時って先生が困ってる生徒を見つけて…とかしてくれるよね、私こんな可愛いし


てかこれ全員新入生なのかな。そうだったらこの人波に着いていけば辿り着けるよね

なーんだ、学校ってSO easyですね


⭐︎


組を確認してその後指定の席に座って、一息

周りを見渡すと結構な人数がいて、わぁと声が出る

本当に高校生になったんだ。という実感が湧いてきて涙が出そうになったけどぐっと堪えて苦し紛れにスマホを取り出そうとする


「ねぇねぇ、お名前は?どこ中から来たの〜?」


そんなところで目の前に座っていた女の子が私に向かって喋りかけてくる

最初は別の人にと思っていたけど顔を上げてみるとぱっちり目があったのであ、私か。と理解した


『私星野みつみっていうの。金田中出身、貴方は?』


スラスラと出てきた単語は出来すぎていて自分のものとは思えなかった

いやまぁ間違えた!と思うところも何も無いのでいいのだけど…


「えっ、金田中なの?私の従兄弟も金田中なんだよね〜」


それに続けて自己紹介をしてくれた女の子

ボブカットの良く似合う子で名前をみやびというらしい。

他にも他愛のない話をして、LINEを交換してよろしく。なんて送りあって…


「はい、皆さんおはようございます」


ガラッと扉を開けて入ってきたのは赤い名札を提げている先生らしかった

席にたっていた生徒は全員そそくさ自分の席に戻って行って、それを見終えから先生は口を開けた


「今日から貴方たちの担任を務めます、草村です。一年間よろしく」


その方は年配の方のようで、貫禄が身体中から溢れ出ているようだった

めっちゃイケおじだ…そう思ってしまってからは先生の話はそっちのけで所作やらなんやらに見蕩れてしまった

すると、皆が急に立つので慌てて私も席を立つ

それから廊下に出て先生が一言


「ではこれから入学式のホールに行きます。が、くれぐれも騒がないように。保護者の方々もいらっしゃいますからね」


そう釘をさし、指示を出す先生

それにはいと返事をする生徒たち

どうやらこれから入学式だったらしい


えぇ!?入学式!?

なんにも話聞いてなかったからなんも分かんないよ?これ結構ガチね

でもまぁ、私は出席番号最後の方だし前の人に倣ってれば大丈夫大丈夫…どうせ大丈夫だから、大丈夫ったら大丈夫……


そう自分に言い聞かせ、入学式に望むのだった


入学式、というのは案外簡単で早過ぎず遅すぎず歩いては席に座るだけだった

聞いた話ではこの後呼名があるらしいがそれも名前を呼ばれたら返事をするだけなのでめちゃくちゃに簡単ですね、勝ち組きたこれ


呼名も無事終わり、校長先生のありがたい(笑)お話が呪文のように流れてくる

ゲームと違って割愛されるわけでも飛ばせるわけでもない話に疲れてきた体はこくんと頭が下がりそうになる


あ、やば…寝そう


「ちょ、大丈夫?もうすぐ終わりそうだから起きなよ」


がくんっと大きく船を漕いだ私を隣の子が小さく叩く

それにはっとして目が覚める


『あ、…ありがと』


「はい、どういたしまして。また寝てたら起こしてあげるよ」


ありがとう、とお礼を言おうと顔を上げると結構見られてるらしいよ?とイタズラに笑う彼と目が合った

どっかで聞いたことある声だなぁと思ったらこの人攻略キャラの堀江功くんだ…

うわぁ、こうして目の前にいるとド迫力すぎるしイケメンすぎる、惚れちまうよ…



『今日の放課後駅寄ってこ〜』


「いいじゃーん!いこ〜」


かれこれございまして数日後

楽しい。楽しすぎる。高校生活ってこんなに楽しいんだ

緩くて優しい部活の先輩に先生、それから共通の趣味やらがあるお友達。

そんな素敵な人に囲まれて楽しい学校生活を送っている内に私は思ってしまった


折角ヒロインなんだから攻略しまくろうと思っていたけど恋愛なんて二の次だな、と。

恋の駆け引きとかよく分かんないし、まずそもそもゲームにはあった選択肢ないし、自我あるし、神様が与えてくれた絶好の機会なのだからアオハルしちゃおうと。

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