第4話 初夜の後

「本当に可愛いな・・」


「んっ、温かい・・あ、殿下!?」


小さな声が聞こえ、目が覚めると

目の前に殿下がいたことに驚いた瑶は

勢いよく飛び起きた。


「もう少し寝顔を見ておきたかったが

 仕方がない。体は大丈夫か?」


「・・はい、大丈夫です」


「女官を呼んでおいた、湯に浸かるといい。

 ・・そなたと少しでも離れたくたいと

 思ってしまう。こんな感情初めてだ」


後ろから抱きしめられ、殿下は瑶の左手の薬指を

ゆっくりと擦って


「瑶に似合う指輪を作らせている。

 楽しみに待っていてくれ」


「ありがとうございます、殿下。

 楽しみです」


初夜を迎えた後、皇帝と皇太子は指輪を渡す

慣習となっている。宝石の色に階級はないが

赤い宝石の指輪だけは一番寵愛を受けた者が

与えられる。そのため後宮の者は皆初夜に

全てを掛けるといっても過言ではない。

皇帝と皇太子合わせて108人が後宮にいる

ものの、1人として赤い宝石を得た者はいない。


「殿下、瑶才人の女官が到着しました」


「・・分かった。明日の夕刻陛下と食事を

 することになったんだ是非、瑶にも

 来て欲しい。苦手な物はないか?」


「承知しました、殿下。苦手な物はありません。

 お気遣い感謝します。」


一般的に陛下に謁見するのは高1品から3品

となっているため、瑶は内心驚いていた。

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