第3話 初夜
婚礼の衣装を纏った後、女官達を引き連れ
殿下がいる寝殿に向かった。
向かっている途中、女官や宦官などに
挨拶をされる度に自分の立場を思い知らされる。
彼等は側室が増えたことを不満に思っている。
話し方や表情で、何を考えているのか瑶は
分かってしまうため、隠せているつもりでも
感情は筒抜けだ。
「殿下、瑶才人が到着されました」
「入れ」
「失礼致します」
宦官が扉を開けると、本を読みながら
椅子に座っている殿下が見えた。
女官に支えてもらいながら隣の椅子に
座る。食事が運ばれた後、女官達は
部屋を後にした。
殿下は瑶の被っている布を取り、2人は
初めて顔を合わせる。通常であれば
「・・殿下、どうされました?
ご気分が優れないのでしょうか。
そうであれば、また後日に・・」
不安に思った瑶は、殿下の体調が悪いのかと
心配した。皇太子の公務は膨大で夜中まで
作業をすることが多いと聞いた。
疲れが溜まっているのだろうと思った
瑶は席を立ち、自分の部屋へ戻ろうとしたが
腕を引かれ、殿下は唇が軽く触れる口付けを
した。
「気分が優れぬ訳ではない。
そなたの美しさに見惚れていたのだ。
容姿だけでなく、声も美しい。
さぁ、早く夫婦になろう。父上に早く
そなたのことを紹介したい」
殿下は瑶を抱きかかえ、ゆっくりと寝所に
下ろし押し倒した。金色の幕を下ろし
周りの光が消える。急な展開に瑶は
驚き、反射で逃げようとするが殿下の
力は強く少しも動かない。
「抵抗するな、お前はもう俺のものだ。
何があっても逃がすものか」
殿下の力強い言葉と眼光に逆らうことは
できないと悟った瑶は抵抗を止めた。
それが合意の合図だと察した殿下は
甘く激しい口付けを交わし、長い夜が
幕を開けた。
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