第3話
「おっ! イズミちゃん、今日はやけにご機嫌じゃない?」
「ふふっ、分かる~? いいこと、あったんでーす♪」
「なんだよーいいことって。さてはアッチのことかー?」
「いやだぁー。下品なこといわないでぇー」
「いやー。しっかし本当綺麗だなぁ、イズミちゃんは。実は男じゃないでしょ? 本当は」
「お・と・こですよぉー。正真正銘の~」
「おれ、イズミちゃんなら男でもいいよぉー」
「あはははっ! いやだぁ~」
………
僕は今、オカマバーでバイトしている。
小さい時から可愛いものが大好きで、母の化粧品や洋服で自分を着飾る行為に堪らない至福を感じていた。
そんな気持ち良さからいつの間にか女装するのが趣味になっていた。
女の格好になっている時だけ考え方も口調も女っぽくなる。
でもだからといって恋愛対象は男ではなく女の子だった。
純粋に可愛いものが好きで、自分を可愛くすることが好きだったのだ。
「イズミちゃん、今日も指名沢山だったわねぇ」
「あんた化粧するとそのまんま女みたいよ? まさか本当に女じゃないでしょうね!」
「違います! 僕、男だから! ただ単に女顔なだけですって」
女装趣味が高じネットでそれ関係のHPを観ていて見つけたオカマバーでのバイト。
思い切って単なる女装好きの男だけど働けるか打診したところすんなりOKをもらえた。
堂々と女装しながらもお金が稼げる今の状況は僕にとっては一石二鳥だった。
僕以外の人は正真正銘のオカマさんだけれどみんなすごくフレンドリーで優しい。
時々冗談で誘われたりするけれど僕が嫌がる様なことはしない。
本当に奇跡のようなとてもいい職場だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます