第7話
そしてご主人様は静かに語り出した。
何故行くあてのない女の子をメイドにして一年で開放するのか。
それはご主人様が身を置く環境と妻となった奥様との馴れ初めから始まったことだった。
資産家の跡取りとして生まれたご主人様は幼少期から大人ばかりに囲まれ莫大な資産を管理するために必要となる勉強しかしてこなかった。
子どもらしい遊びや付き合いなど一切なく、ただ親から敷かれたレールの上を走り、気がづけば無感情な大人になってしまっていた。
周りから結婚を薦められてもそのどれもが明らかに財産目当てだと解るものばかりで、結婚に対する嫌悪感から長く独り身だった。
ご両親が相次いで亡くなり誰もご主人様に逆らえなくなった頃、経営していた孤児院でひとりの少女と知り合った。
彼女が18になり孤児院を退所後行くあてがないと知り、それならばとご主人様は彼女をメイドとして雇うことになった。
その時は純粋に屋敷のこと、家事のこと、ご主人様の身の回りの世話をするだけのメイドだったけれど、いつしかご主人様もメイドとなった彼女もお互い惹かれ合い、彼女がメイドとなってから一年後、結婚に至ったそうだ。
それがご主人様の奥様──香さんとの馴れ初めだった。
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