第5話
だけどここを超えないと私の望みは叶えられないだろうと思ったら自然と力が湧き、真っ直ぐにご主人様を見つめていた。
「私は何も要りません。今までと変わらずご主人様のお世話がしたいのです」
「なんだ、玉の輿でも狙っているのか」
「!」
「残念だが俺の妻になったからといって財産全てを相続出来るなどと考えるな。俺の財産は全て行く先が決まっている。妻に残す金など一銭もない」
「お金なんて要りません! 私はご主人様の傍にいたいだけです! 働くならご主人様の元で働きたい!」
「……」
「私が此処を出て行ったらご主人様はまた新しいメイドを雇うのでしょう?」
「……」
「そんなのは……私は嫌です!」
「……」
「ご主人様のメイドは私だけで……どうかこれからも私だけで我慢なさってください!」
「……」
ご主人様と結婚だなんて大それたことは考えていない。
立派な立場のご主人様と身よりもない私とでは身分違いもいいところだ。
ただ私はご主人様のお世話をこれからも続けたいだけ。
今までのように寝食を共にして、ご主人様から与えられる快楽に溺れ、そしてご主人様が私で安らいでくだされば……ただそれだけで私は幸せなのだから──
「お願いします!」
自然とご主人様の前で土下座した。額を床に擦り付け、泣きながら懇願した。
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