第3話
でもその時私は25歳で付き合っている人もいた。
「ごめんね、貴央くん。私、付き合っている人がいて……それに貴央くん、10歳下だし……悠希の親友だし」
「……」
「そういう対象には見れないっていうか……」
「好きか嫌いか」
「え」
「どっちですか」
「……」
「僕が好きか嫌いか───どっち?」
「……」
この時の貴央の視線に心が揺らいだ。
好きか嫌いの二択しか許さないといわんばかりの強い眼差しに困惑しつつも、どちらか答えなければこの場から去ることが出来ない状況。
だとしたら選ぶのは──……
「どっち」
「………す、き」
「そうですか、分かりました」
彼はそれだけをいって私の前から去って行った。
──それっきりだった
あの告白から私はおかしくなってしまった。
付き合っている彼氏とデートしていても、体を重ねていても、考えてしまうのはあの幼い彼のことばかりで、何故か見えない細い糸が年月を増す毎に何重にも巻き付いて私を縛り上げて行くような感覚があった。
ついには
「柚希、結婚しよう」
「……」
27歳の時に彼氏から受けたプロポーズに即答出来なくて、散々悩んだ挙句私が出した答えは──……
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