第15話

忙しいながらも充実した一日を終え、私と篤志くんは遅い夕食を済ませまったりと寛いでいた。


『お風呂が沸きました、お風呂が沸きました』


湯船にお湯が入ったことを知らせるアラームを聞いてテレビを観ていた篤志くんにお風呂に入るように促した。


「んじゃ、真子、一緒に入るぞ」

「えっ、何、いきなり」

「いいから来い」

「あっ」


グッと腕を引っ張られそのまま強引に浴室に連れて行かれた。


(どうしたんだろう、お風呂はのんびり入りたいからっていつもひとりだったのに)


結婚してから一緒にお風呂に入ったことなんてなかった。


つまり今日が初めての──……




「……」

「……」


静かな浴室内にポチャンと水音だけが響く。


(うぅ~~~背中を向けているとはいえ、恥ずかしいなぁ)


私は篤志くんに背中を向けてその体にもたれ掛る形で湯船に入っていた。


「真子」

「!」


いきなり篤志くんの掌が私の胸を揉み出した。


「あ……篤志、くん」


モミモミと揉まれる胸はお湯の中で形を変えて行った。


「あっ……こ、こんな処で……んっ」

「おまえは俺のものだよな」

「……え」

「おまえ、可愛い過ぎるからちょっとでも目を離したら何処か行きそうなんだよ」

「……篤志くん」

「なぁ、俺だけの真子だよな」

「……」


篤志くんはそんな風に思っていたのか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る