第14話
「だってあいつ、めっちゃ真剣だったじゃん。あぁいう奴にはハッキリと現実を見せつけてやんねぇと後々厄介な事になる」
「……」
(意外と人を見ているんだなぁ)
私のことは勿論、告白して来た人のことも考えて対処しているんだなと思ったら癪だけど益々篤志くんのことが好きになってしまっていけない。
「しかし本当真子ちゃん、モテるよなぁ」
「結婚してから益々綺麗になったってみんな言ってるもんな」
「ひひっ、大将~~別嬪の嫁さんじゃあいくら一日中ひっついていても気が気じゃないだろう」
「……」
(ちょっと、みんな悪乗り過ぎ!)
今に始まったことじゃない出来事にお客さんの大半はすっかり慣れてしまっていて、むしろ冷やかしモードでいっぱいだった。
「本当、それな。いっそ外に出さない様に閉じ込めちまうか」
「「「!!」」」
篤志くんが思い詰めたようにボソッと呟いた言葉に私を始め、冷やかしムードだったお客さんも一瞬固唾を呑んだ。
「あははっ、なんちてー嘘嘘~~」
お道化るようにそういった篤志くんに周りからはドッと笑いが起き、元の和みの雰囲気に戻った店内だったけれど……
(……いや、今の一瞬、本気、だったよね? 篤志くん)
私だけがいつまでも背筋をゾクゾクとさせていたのだった。
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