第6話
「真子、悪かったな話の途中で」
通話を終え篤志くんが何事もなかったように私の傍に来た。
「──るの?」
「ん?」
「結婚……するの?」
「結婚?」
「篤志くん、結婚するの?!」
「!」
自分でも信じられないくらい大声で叫んでいた。それと同時に涙がポロポロと零れた。
「ま、真子? どうしたって──」
「あ、篤志くん、里佳子さんと結婚するの?! ジューンブライドって……六月に? すぐそこじゃん! そんなに話が進んでいたの?!」
「……真子」
「やだ……やだよ、やだやだやだやだ!」
「……」
「やだよぉぉぉ──!」
「真子!」
その瞬間、篤志くんにギュッと抱きしめられた。
「?!」
「落ち着け、真子」
「……」
「俺は結婚なんてしない」
「……え」
「結婚するのは里佳子だ」
「だ、だから……篤志くんと里佳──」
「俺と里佳子はずっと昔に別れている」
「───え?」
「もっとも付き合っていたといってもたかだか三か月程度のことで、里佳子はすぐに俺の友だちと付き合い始めたんだけどな」
「な、何……それ」
「元々里佳子にゴリ押しされて付き合っていただけで里佳子は可愛い妹分にしか思えなかった」
「……」
「里佳子と彼氏──俺の友だちでもあるんだけど、ふたりとも仲がいいから今まで三人で色んなことでつるんでいたってだけだ」
「じゃ、じゃあ……今度結婚するのって」
「里佳子と俺の友だち。交際九年目にしてやっとゴールインだとさ」
「………な」
「真子?」
「なぁんだぁぁぁぁ~~~」
真実を知って一気に気が抜けてその場にへたり込んでしまった。
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