2.老師、曰く

紹介状を手に次に向かった病院はけっこう大きなところで、待合室は混んでいました。

先生も何人かいるようで、アナウンスで呼ばれます。

ネットの予約枠は埋まっていてできなかった。予約しても待つことがあるそうなので、こうなったら待つしかない。

性懲りもなくやなぎは午前中に来院。大丈夫、昨夜は排便あったし……どうにかなる。


本を読みつつ待つこと一時間。

呼ばれた診察室にはおじいちゃん先生が。

前回の病院でもらったデータ、画像写真を確認しながら「出身はどこだい」などと親しみやすい調子で世間話をはさむ先生でした。


まぁ診ようかと検査台へ。

「下着を下ろして横を向いて寝ていてくださいね~」と看護師さん。

今回は自分で脱ぐよう。なんだろう、これはこれで恥ずかしい。

検査台はカーテンで囲まれていて、大公開!感はないのでそこは安心していただきたい。


前回同様、ひんやり感触をお尻に覚える。

「んー、うーん。んんー?」

見えにくいのか、おじいちゃん先生の手がやなぎの尻の肉をぐわしっと掴み上げる。開くねぇ。


はいはい、と先生。今回はカメラによる検査はしないよう。

その後先生から、どんな場所にポリープがあって、どんな方法で切除するのか、手術による後遺症の可能性(腰に打つ麻酔薬によるもの、出血が止まらないなど、ごくわずかだがいくつかあるそう)を説明してもらい。


ついでに便秘の症状や過敏性腸症候群についても質問してみた。


「女性の便秘が急増している」

「便秘にはね、歩くんだよ。これがとにかく大事」

「世の中に出回っている便秘薬はおすすめできないものが多い。どうしてもってときは、安心できる成分のものを選ばないと」

「おならを我慢する、それがイッッチバン悪いの」

「麦茶!!!歩く!!!」

「過敏性腸症候群……ありゃ下痢型がほとんどだね。医者ってもんは、名前をつけたがるもんでさぁ」


たいへんアツく語ってくださいました。

便秘、ガスに悩むやなぎは過敏性腸症候群ではない可能性も浮上。

こじらせすぎた便秘の人ということか。

(なにぃぃ……それならリンゴとかキノコとか納豆とか……食べてOKってこと?)


過敏性腸症候群の人には食べるのを避けた方がいい食品があります。

フォドマップという、小腸で吸収されにくく、大腸で発酵する性質を持つ糖類を含んだ食品群です(AIによる概要から引用)。


よかれと思って積極的に食べていた納豆やりんご。

確かに、一番ひどいときのお腹の状況はまさに「腸内がフツフツと発酵している感じ」。煮えたぎる魔女の鍋みたいな。

でも避けることで症状がマシになっていたのも事実でした。


採血や心電図、尿検査などの検査をして手術の日程を決定。

まず大腸内視鏡検査(大腸カメラとよく呼ばれるやつ)をして、大腸にポリープなどの異常がないかをしっかり確認。

同日に手術はできないので、翌日に小腸のポリープ切除。

翌日、麻酔の副作用の強烈な頭痛が起こらなければ退院、あればまた一泊。という予定に。


部屋は二人部屋、ひとり部屋、特別室から選べ、料金も違います。

やなぎは二人部屋。最長の3泊4日になった場合の入院費の目安は15、16万円だそうで。

(大腸にポリープがあってその場で切除などの追加治療、加入している保険などによって変動します)


ある程度大きな病院では、治療費の支払いにクレジットカードが使えるのですね。昔は病院といえば現金のみでした。助かります。

高額療養費制度という舌を噛みそうな制度もあります。

同月(1日から末日まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される、というもの(全国健康保険協会HPより引用)。


ただし、同じ医療機関である場合に適用されます。

同じ肛門科でも、病院が違えばだめ。同じ病院なら合算できます。

限度額は収入によって変わります。

マイナンバーカード、事前申請による証明書があれば、払い戻しではなく、窓口清算の時点で適用される。


医療費にブルっていたやなぎ、調べたし電話もした。これは本当に助かります。

しかし入院費用のうち、ベッド代(部屋代)は医療費扱いにならないのでご注意です。


受けたいと思っていた大腸内視鏡検査をついにやることに。

症状があり、お医者さんが必要と判断した場合、大腸内視鏡検査はお安く受けられます。


――うむ、時が来たようだ。ここですっきり清算しよう。

過去の「どっちが先か」問題に終止符を打ち、お尻も自分の状態に対する疑問も解決し、新たな輝かしい生活――ビューティフォーワンダフォーなエヴリデーへと向かうのだ!!!


希望を胸に病院を後にしたやなぎ。

薬局へ寄って、処方された便秘薬――(手術までの一か月、試しに飲んでごらんといわれた。便を柔らかくし、排出しやすくするもので腹痛などは起きないとのこと)重カマ「ヨシダ」パントシン細粒を買い帰路についたのだった。






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