第2話 誘いのメモ――心を操る者たち
東京近郊のある住宅街で、一人の男性が失踪したとの通報が警察に入った。名前は川村達也、39歳。失踪の経緯は曖昧で、家族や友人との連絡も途絶えたまま。
捜査一課の警部補・斉藤康隆は現場に足を運び、川村の自宅に入った。室内は整然としており、争った形跡はない。ただ、机の上に一枚のメモが置かれていた。
「迎えに行く」
たったそれだけの言葉が、斉藤の警戒心を強めた。このメモは、数日前に起きた別の失踪事件の現場にも残されていたものと酷似している。連続失踪事件――そんな言葉が頭をよぎった。
「このメモ……またか。」
斉藤は眉をひそめ、現場検証を進める部下たちに指示を出したが、手掛かりとなるものは見つからない。失踪者に共通点がなく、犯人らしき影も見当たらない。途方に暮れる中、斉藤はふと引き出しから名刺を取り出した。
「心理学者探偵……芹沢孝次郎。」
以前、別の事件で芹沢に助けられた経験があった。その冷静な洞察と鋭い推理は、今の状況を打破する鍵になるかもしれない。
芹沢孝次郎の登場
都内にある芹沢の事務所。彼は薄いコーヒーを飲みながら、読みかけの心理学の論文をデスクに広げていた。その時、電話が鳴る。
「もしもし、芹沢さんか? 斉藤だ。」
懐かしい名前に、芹沢は穏やかな口調で応じた。
「斉藤さん。久しぶりですね。何か事件ですか?」
「そうなんだ。実は、連続失踪事件が起きているんだが、手掛かりがまるでない。だが、現場には必ず同じメモが残されているんだ。『迎えに行く』……これが何を意味するのか、さっぱり分からない。」
芹沢は少し考え込み、口を開いた。
「それは心理的な誘導の一種かもしれません。言葉だけで、受け取った人に強い印象を与え、行動を促す手法です。このような短いメッセージは、人間の潜在意識に強く響く場合があります。」
斉藤は興味を抱きながらも、いらだちを隠せなかった。
「つまり、これは計画的なものだと言いたいのか?」
「可能性は高いですね。それにしても、失踪者に共通点がないというのが気になります。」
「そこなんだよ。被害者は年齢も性別もバラバラだ。ただ、どの家も特に荒らされた形跡はなく、誰かが連れ去ったという感じでもない。」
芹沢は興味深そうに頷いた。
「では、一度その現場を見せてもらえませんか? もしかすると、心理的な要素が鍵を握っているかもしれません。」
事件の背後に潜む影
数時間後、芹沢と斉藤は川村達也の自宅を訪れた。芹沢は室内を丹念に観察しながら、家具の配置や物の扱い方に注意を払った。彼の視線が、机の上のメモに止まる。
「これが問題のメモですね。」
芹沢はメモを手に取り、その字体や紙質をじっくりと観察した。メモはプリントアウトされたもので、字体はありふれたゴシック体。だが、そのシンプルさがかえって不気味さを増幅させていた。
「このメモ、誰が見ても印象に残りますね。シンプルであるがゆえに、人の心に深く刻まれる。これを手に取った時点で、心理的な影響を受ける可能性があります。」
「つまり、これを見た被害者たちは、自分の意思でどこかに向かったってことか?」
斉藤が苛立ちを隠せない様子で尋ねると、芹沢は静かに頷いた。
「その可能性が高いです。ただ、それを引き起こしたのが何か……例えばカルト的な団体や、心理的支配を狙う者が背後にいるかもしれません。」
「カルト……か。」
斉藤の脳裏に、「共鳴の会」という名前が浮かぶ。これは失踪者の家族の証言で一度聞いた名前だ。だが、その実態は何も分かっていない。
読者への挑戦
ここまでの手掛かりを元に、次の行動を読者の皆さんに選んでいただきます。選択肢は以下の通りです。
選択肢と応援メッセージ
失踪者の足跡を辿るために、芹沢が次に取るべき行動を選んでください!
1.失踪者の家族や知人に会い、心理的な背景や周囲の環境を調査する
2.「共鳴の会」が開催する公開セミナーに潜入し、内部の情報を収集する
3.過去の類似事件を調べ、共鳴の会との関わりを示す手掛かりを探す
投票締切は明日7時まで!
応援メッセージで回答してください。あなたの選択が物語を動かし、真相へと導きます。
読者へのメッセージ
物語はまだ始まったばかり。今回の選択肢が、芹沢と斉藤の次の一手を決定づけます。どのルートにも、それぞれ重要な手掛かりが隠されています。
あなたの推理と直感で、この奇妙な失踪事件の背後にある真実を暴きましょう!次回のエピソードで、あなたの選択がどのように物語を進めるのかを楽しみにしてください。読者参加型のミステリーを存分にお楽しみいただければ幸いです!
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