第4話 アイズと少女

 少女の部屋にノックの音が響いた。それと同時に扉が開き、アイズが入って来た。


「入るぜー? 」

「あっ…どうぞ…」

「はあ…他のやつに押し付けられて、アタシがアンタの世話係になっちまってな。 まあ…よろしく。 」

「よ、よろしくお願いします。 」

「アンタ小さいな…いくつだ? 」

「14です…」

「若っ! なんか…悪いな。 」

「…あの 」

「? なんだ? 」

「貴方の名前を聞いてもよろしいでしょうか…」

「…アタシはアイズ。 見ての通りの魔族だよ。 」

「あの…ここには他にどんな方がいるんですか? 」

「…どうしてそんな事を聞く? 」

「た、単純な疑問です! 」

「…アタシに言うぎりはないね。 悪いけど。 」

「…ごめんなさい。 」

「あ? なんでアンタが謝るんだよ。 」

「人間を代表して、です。 きっと…魔族の方々にとって酷いことをしたんですよね。 もしよろしければ…その理由、聞かせていただけませんか? 」


 そしてアイズは少し黙った後、ゆっくり話し始めた。


「…昔、人間と魔族は共存してたんだ。 でも人間側が勝手に『魔族が人を襲った』ってデマを広げ始めて、そこから険悪になってんだ。 しかも最初に仕掛けてきたのは人間だったらしいんだ。 」

「そんなことが、あったんですね。 改めてお詫び申し上げます。 」

「…アンタは、素直に受け止めてくれるんだな。 」

「はい。 だって…嘘をついているようには…見えないので。 」

「…そうかよ。 それはありがとうな。 」

「…もしかしてですが、世界を滅ぼそうとしているのは…」

「ああ。 人間皆殺しにして、アタシらの敵を消すためだ。 少なくともアタシはずっとそれを願ってる。 」

「そうでしたか。 ごめんなさい、"私"が生まれてきてしまって…」

「…アンタ、優しいんだな。 アタシが魔王に頼んで、アンタだけは殺さないように頼んでおくよ。 」

「いえ…その時は私も殺してください。 でないと他の方が満足しないでしょう。」


 シュルティは儚い笑顔でそう言った。アイズは軽く頭を撫でた。


「名前、聞いてなかったな。 」


 するとシュルティは笑顔で答えた。


「ジアーロ・シュルティです! アイズさん、これから宜しくお願い致します。 」


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