2章 新たなる戦剣の誕生2

父が病院で母の戦友たちに田原市の姫島へ同行してほしいと依頼したのは、翌日からの調査の準備を整えるためだった。

母の戦友たちは二つ返事で承諾し、さらに父は研究機関に連絡を取り、島の調査計画を報告した。

同時に政府との交渉を行い、定期的に食料や寝具を支援してもらう手配をつけた。


出発の日、父と母の戦友二人は、地元のマリーナから小型ボートに乗り込み姫島へと向かった。

父は、島での生活に必要な一週間分の食料や装備を自ら背負い、緊張感を胸に秘めながら上陸した。

島の荒れた空気は変わらず、3人は警戒を怠らずに進んだ。


父は前回の調査で島の地形を把握していたため、道案内を担当しながら慎重に進んだ。

一方、戦闘に関しては素人であるため、敵が現れると母の戦友たちに任せた。戦友たちは戦闘のプロとして即座に状況を把握し、息の合った連携で敵を撃退していく。

父は食料や調査道具を守りつつ、進行ルートの確認に専念し、チームとしてそれぞれの役割を果たしながら、目的地を目指した。


島の中央には直径30メートル、深さ100〜150メートルに及ぶ巨大な縦穴が開いている。

父は前回の調査時に、組織や民間業者の協力で昇降階段を設置していたため、今回の探索で再び活用することに。

縦穴に降り立つと、父は石を確認し、それを胸ポケットにしまいながら進んだ。最深部に到達したが、

4日間にわたる探索の結果、特段の進展は得られず、地上に戻ることを決断した。


父たちが縦穴の探索から戻ると、自衛隊が設置したプレハブ小屋が待っていた。

小屋にはソーラー発電による電力供給が可能で、通信機やGPS発信機5台が完備されている。

さらに、水属性の疑似戦剣ぎじせいけんが置かれていたので、2人が使えることを確認。飲料水関係はその場に残し、必要に応じて活用できるようにした。

外にはシャワー設備もあり、疲れた体と心を洗い流した。

父はサバイバル経験を活かし持ち物を整理し、冷蔵庫もあるので料理を作って3人で食事を済ませ、明日に備えて就寝した。


次の日、父たちは再び縦穴を降りて探索を続けた。

1時間ほどが経った頃、母の戦友の一人がライトを向けた先で、父の胸ポケットが光を吸収するように暗く見えない状態になっていることに気づいた。

父は胸ポケットから黒い石を取り出し、慎重に確認する。その後、リュックを壁際に寄せようとすると、リュックが壁をすり抜けた。

それが切っ掛けで、壁の奥に隠されていた新たな道が姿を現した。


父は黒い石を胸ポケットに戻し、一行は慎重に進んだ。

10分ほど歩くと、前方に多数の敵を発見する。だが敵は襲う気配を見せず、ただ歩いている状態だった。

父は危険と判断し、母の戦友たちと相談する。母の戦友たちは速やかに敵を排除する決断を下し、父は少し離れて見守った。

敵は襲ってこなかったため、10分ほどで全て片付く。


陣形を整え直し、先頭に母の戦友、中央に父、後方にもう一人の戦友という形で進む。

1時間ほど進んだところで、後方の戦友が父を一瞬見失う。。2人に呼びかけ、確認を進めた後、父がライトを調べるが問題はなかった。

父の冒険者としての直感が働き、父はその場にGPS発信器を1つ置き、さらに警戒を続けて歩き続けた。


一本道を進み続け、ついに奥の壁に行き当たった。全員で休憩をとり、ここで一旦戻ることを提案する。

父はついでに壁の近くにもGPS発信器を置いて小屋へ戻る、通信機を使ってGPSの位置を確認してほしいと言った、「了解しました」と聞き、次の連絡を待った。


連絡が来たのでGPSの位置を確認する。地図を広げ、3つのGPSポイントが姫島から佐久島の直線上に並んでいることを確認した。

また、最初に設置したGPSの正確な位置を地図上で確認し、それがちょうど2点の真ん中に位置していることを把握する。

次の日に備え、父は必要な支度を整えてから料理を作り、戦友たちと共に食事をとった。

その後、明日の探索に備えて全員が眠りについた。


父と戦友たちは最初に置いたGPSの位置に到着した。父が全身暗くなる場所を探し始め、その周囲を調べることに集中する。

特に壁の表面を手で触れながら調査していく中で、父が何かを発見した。2人をその場で待たせ、光を吸収して見えないため、父は手探りで奥に進む。

慎重に5歩ほど進むと手が壁に触れたので表面を確認した後、少し削り取る。


父は2人の元に戻り、リュックから研究用ツールを取り出して調べ始めた。その結果、削り取った物質が何らかの鉱石であることが判明する。

父は暗闇に再び潜り込み、道具を使って鉱石をさらに削り取り、母の戦友たちに投げるから拾ってほしいとお願いした。

2人は父の指示に従い、慎重に鉱石を回収した。

3人は小屋に戻り、父は通信機で明日島を出ることを伝えた。食事を終えた3人は小屋内をきれいに片づけ、就寝の準備を整えた。


翌日、ボートで帰ると、陸に着いた父は2人にお礼を言った。

無事に戻れたことを伝えると、母の戦友たちは笑顔で頷き、それぞれ帰路についた。

父は早速研究室に向かい、取ってきた鉱石を調べ始めた。

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