2章 新たなる戦剣の誕生1

学園長室の扉を開けると、そこには主人公の父の姿があった。学園長は驚いた表情を浮かべると、声を張り上げた。


「義兄さん!」

父がゆっくり振り返り、穏やかに微笑む。


「久しぶりだな、康介。」

その言葉に学園長は感極まった様子で父に抱きついた。


「おいおい、ちょっと苦しいぞ。」

和やかな空気が一瞬流れる中、巧太郎が前に進み出て、静かに呼びかける。


「父さん……。」

その声に気づいた父は、息子を見て目を閉じ、力強く抱きしめた。


「強くなったな、巧太郎。」

学園長が少し落ち着きを取り戻し、真剣な表情で問いかける。


「義兄さん、この2年間……特に義姉さん主人公の母のあの時から、何が……?」

父は静かに深い息を吐き、そして重い口調で話し始めた。


回想シーン:語りて父


「始まりはあの日だった。」

父は目を閉じ、静かに語り始める。

母は巧太郎を庇い、敵の攻撃を受けて重傷を負った。その場で母は、父に黒い石のことを話した。

「もう一度姫島に行って調べてほしい。」

と力を振り絞り、そう告げた後、意識を失った。


その時、巧太郎は初めてその力を覚醒させたが、その反動で気を失ってしまう。

妹の榛奈は、母の前で泣きじゃくりながらも、父の服を握りしめていた。


すぐに母の戦友たちが駆けつけ、その中には医療に特化したスペシャリストもいた。

彼らの協力で、母と巧太郎は迅速に病院へ運ばれた。


父と榛奈が駆けつけた病院では、母は6時間にわたる手術と、疑似戦剣ぎじせいけんの力を用いた医療処置によって一命を取り留めた。

巧太郎も翌日に目を覚まし、父とともに家に帰ることができたが、その時、父は決意を固めていた。


病院での一連の出来事を経て、家に帰った夜、父と巧太郎は静かに向かい合った。父は深呼吸をしてから話し始めた。

「巧太郎、長男として役割を教えておく。」

父の目は真剣そのものだった。


「長男はお父さんの代わりなんだ。もしお父さんに何かあれば、妹とお母さん、そして家を守れるのはお前しかいない。」

と言った、巧太郎はその言葉に驚き、一瞬視線を落としたが、やがて顔を上げた。父の真剣な目を見つめ、決意を固める。


「わかったよ、父さん。約束する。」

その言葉に父は頷き、さらに続けた。


「だからこそ、お前を楓のもとに預ける。楓ならお前を一人前に育ててくれる。そして修行もつけてもらえる。」

巧太郎は一呼吸おいて、


「わかった。」

と静かに力強く答えた。その答えに、父の目にはわずかに安堵が浮かんだ。


次の日

「俺が姫島を調べ直し、黒い石の真実を突き止める。」

そうして、父は旅立つことになったのだ。


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