第8話「特別研究部門、始動!」
「料理ギルド特別研究部門...略して『魔食研』、正式に始動します!」
ギルド長の宣言から一週間後。店の看板の下に、金色の新しいプレートが輝いていた。
「まさか、この店がギルドの研究部門になるなんて...」一郎は今でも信じられない思いだ。
「一郎さーん!新しい研究員さんが来ましたよー!」
エマの声に振り返ると、そこには...
「はじめまして。魔法学院からやってきましたリリアと申します」
銀髪のポニーテールを揺らす少女。白衣のような上着に、フリルのついたスカート。完璧な姿勢で挨拶をする。
「私、魔力と食事の関係を研究していまして...くしゅんっ!」
突然のくしゃみ。リリアの周りに星型の光の粒子が舞い散る。
「あ!魔力くしゃみ仲間!」エマが飛びつく。
「えっ、あの、ちょっと...」リリアの形式ばった態度が一気に崩れる。
「くしゅん!」
今度はエマの虹が、リリアの星と絡み合って、まるで天の川のような光の帯を作り出した。
「おお」店主が感心する。「魔力くしゃみの共鳴現象か」
「これは研究対象ですね」一郎もメモを取り始める。
「あ、あの!」リリアが真っ赤な顔で抗議。「私は真面目な研究者であって...くしゅん!」
今度は星型の光が天井まで届き、キラキラと降り注ぐ。
「わぁ!綺麗!」エマが目を輝かせる。
「まるでイルミネーションですね」一郎も見上げる。
「も、もう!研究の第一歩が魔力くしゃみなんて...」リリアが膨れっ面をする。
...と、そこに第一号の客が。
「すみませーん。今日のランチは...うわっ!なにこの綺麗な光!」
続々と客が入ってきて、店内は瞬く間に騒がしくなる。
「写真撮っていいですか?」
「デートで使いたい!」
「雰囲気最高!」
「えっと...」リリアが困惑する。「これって、集客効果...ですか?」
「おめでとう!」店主が肩を叩く。「君の研究、早速実践に役立ってるぞ」
「そ、そうでしょうか...くしゅん!」
星と虹の光のショーは更に華やかさを増す。
「あ!」エマが思いついた顔。「これを使って新メニュー作りません?『星空スープ』とか!」
「そうですね」一郎も調理台に向かう。「魔力の光を料理に閉じ込められれば...」
「ちょ、ちょっと待ってください!」リリアが必死に制止する。「まずは理論的な研究が...くしゅん!」
「理論より実践です!」エマが楽しそうに包丁を握る。
「あ、私の研究が...」リリアの声が虚しく響く。
そんな中、一郎は密かに思った。
(賑やかになったな...でも、これはこれで良い雰囲気かも)
店内は星と虹の光に包まれ、笑い声が響く。魔食研の船出は、予想以上に華やかなものとなった。
...ただ、誰も気付いていなかった。
店の外で、黒い服の人影が店の様子を何やら記録している事に。
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