第5話 間違って噛んじゃった

ある夜、マリアの母の布団の中に忍び込んだ。

母はまだ起きていて、


「晴ちゃんどうしたの?寝れない?」と声をかけてくれた。

でもこのくすぶりを上手く伝えられなくて胸の中で震えていた。


母は母なりに僕の不安や寂しさに向き合ってくれて包み込んでくれた。





―――――――――中学一年生。


暫くして無事マリアと二人、入学式が終わって学校にも通っていた。


以前同様、マリアの番犬として立ち回っていた。

でも二人きりの時は少しずつ少しづつ変わって行った。


夜になるとマリアに脱がされ、

まだ残る痣や痕にキスをしていく。


優しい夜が続いていた。

マリアのおかげで少しづつ凍てついた氷が溶けていく感じがした。


でもその裏で何か物足りなくて寂しくて…。

でも言語化出来なくて…。




そんな時、マリアが何を間違ってか晴太の体を噛んだ。

すると…晴太は嬉しそうな声を上げて体を震わせた。


「ごめん、間違って噛んじゃった。」と晴太の背中に触れながら耳元で囁く…。


そのまま…力の抜けた晴太を抱きしめた。


「晴太今イったでしょ?」

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