花珠姫物語

天藍

海のエストレリャ



 はるかむかし、まだ神々が地上にいたころのお話しです。世界で一番広い海の真ん中に、ちいさな島がひとつ浮かんでいました。


 その島は五つの入海と五つの岬を持ち、五つの塔に暮らす五人の姫君が、それぞれを司ってらっしゃいました。島の真ん中には一つの城があり、もう一人の姫君が五つの塔と五人の姫君、五つの岬と五つの入海を眺めながら暮らしていらっしゃいました。スープに浮いたクルトンのように小さな島でしたが、人々は豊かに暮らし、争いのない平和な島でした。


 星の形をしたその島を、人々は海のエストレリャと呼んでいました。


 はるかむかし、まだ神々が地上にいたころのお話しです。


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