第3話 メディアが伝えない現状
災害が発生すると、メディアはその被害をいち早く報じます。能登地震の際も例外ではなく、家屋が倒壊し、避難を余儀なくされた住民たちの様子がテレビやインターネットで広く伝えられました。しかし、時間が経つにつれてその報道は激減し、豪雨被害が重なった後の現状についても十分に報じられているとは言えません。
メディアが災害を報じるのは、ある意味で「その時の話題性」があるからです。しかし、話題性が薄れるとともに報道の数も減り、被災地の現実は人々の記憶の中から消えていきます。この状況が何を引き起こすかというと、被災地への関心の低下です。現状が分からない以上、国民はどのように支援すれば良いのか分からず、結果的に被災者が置き去りにされる形になります。
さらに問題なのは、メディアの取材姿勢です。災害直後、被災者や遺族に対して執拗にインタビューを求める場面が目立ちます。その中には、プライバシーや感情に配慮しない質問もあり、被災者の心をさらに傷つけることもあります。倫理的な問題を考慮せずに視聴率を優先する姿勢には、多くの人が疑問を感じているのではないでしょうか。
一方で、被災地の現状が報じられなければ、国民に情報が届かず、必要な支援が遅れるという問題もあります。この「伝えなければいけないが、配慮も必要」という難しい課題に対して、メディアはどのように向き合うべきなのでしょうか。現場に足を運び、被災者の声を拾い上げるのは重要ですが、それを伝える際には、誇張や偏見なく、事実を公正に報じる努力が求められます。
また、私たち国民も、メディアの報道に依存しすぎるのではなく、自ら情報を求めていく姿勢が必要です。現地のNPOや自治体の発信する情報に目を向けることで、メディアを通じて得られる情報以上の現実を知ることができます。情報の受け手である私たちが変わらなければ、メディアのあり方も変わらないかもしれません。
災害報道の難しさは理解しますが、それでも、メディアには「伝える責任」があります。被災地の現状を伝え、支援の輪を広げることが、報道の持つ力です。都合の良い情報だけを流すのではなく、現実をありのままに伝える。これが、被災者に寄り添う本当の報道ではないでしょうか。
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