第2話 届かない支援の現実

能登半島を襲った地震と豪雨災害から数か月。被災地では、いまだに生活再建の目途が立たない状況が続いています。政府は災害公営住宅の整備や家屋の公費解体、インフラ復旧などを掲げていますが、現場から聞こえてくる声は、「支援がまったく足りていない」というものばかりです。


特に問題なのは、支援の遅れによって二重、三重の困難が被災者にのしかかっていることです。例えば、地震で住まいを失った人々が、仮設住宅への入居を待つ間に豪雨の被害を受け、さらに生活環境が悪化したというケースも少なくありません。地震の復旧すら進まない中で、豪雨対策が優先されるという矛盾。支援の優先順位が混乱し、どちらの問題にも十分に対応できていないのが現状です。


さらに、政府が掲げる支援策がどれほど現場に届いているかは疑問です。たとえば、災害公営住宅の整備が進められていると言っても、その具体的な計画や完成までのスケジュールは明確に示されていません。また、被災者への直接的な生活支援も不十分で、多くの人が生活費のやりくりに苦しんでいます。


一方で、災害対応に割くべき予算が、選挙対策や不要な事業に使われているという批判もあります。これに対して政府は「復興支援を進めている」と説明しますが、現地の声と乖離しているように思えます。被災者が望むのは、抽象的な政策ではなく、具体的かつ迅速な行動です。


被災者支援の現場に足を運ぶボランティアやNPO団体は、限られたリソースで必死に対応していますが、彼らの活動だけでは限界があります。必要なのは、政府が真に主導的な役割を果たし、的確な支援を行うことです。しかし、その動きは遅く、被災地には「見捨てられた」という失望感が広がっています。


災害が起きたとき、最も大切なのは早期対応と十分な支援です。それがなければ、被災者は再び立ち上がる力を失ってしまいます。支援が届かない現実の中で、何が問題なのか。政府の取り組みの遅れが、復興をどれだけ妨げているのか。この状況を直視することが、真の復興への第一歩になるでしょう。

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