第六章 好きすぎて
【まもる12歳】
【2013年 3月15日】
礼子の寝室で。
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「もぅ・・しょうがないわねぇ・・・」
仕方なさそうに私は呟いた。
「えへへ・・・」
息子が嬉しそうに笑みを浮かべている。
「来年から中学生になるのに・・・」
「だって、今夜は凄く寒いんだもん・・・」
拗ねる表情にキュンとなる。
「あったかぁーい・・・」
布団に潜り込んできた息子は無邪気に声を出した。
見上げる両目はクリクリに大きくて。
瞼の下が腫れぼったいのは私に似ている。
でも、強い遺伝ではない。
私の姉、実は従妹だったから。
私の父と母はかなり年齢差があって子供が中々、できなかった。
だから姉を遠い親戚から養女として迎えたのだ。
皮肉なことに数年後に私を母が身もごる。
だから、守と私の血縁関係は薄い。
そう、結婚も許される。
それでもDNAが同じなのだろうか、ふっくらした頬と大きな瞳は私に似ている。
私は飽きることなく息子の顔を見つめてしまう。
大好きな天使の顔を。
「ねぇ、ママ・・・」
彼も同じ気持ちなのかジッと見つ返してくれる。
「僕、ママが大好きだよ・・・」
「まもるちゃん・・・」
囁く声が愛おしい。
ギュッと抱きしめて私も囁きを返す。
「ママも・・大好きだよ・・・」
柔らかい感触に全身で幸せを噛み締めている。
ずっと。
そう、ずっとこのまま。
守ちゃんを抱きしめていたい。
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