第六章 好きすぎて

【まもる12歳】

【2013年 3月15日】


礼子の寝室で。


※※※※※※※※※※※※※※※


「もぅ・・しょうがないわねぇ・・・」

仕方なさそうに私は呟いた。


「えへへ・・・」

息子が嬉しそうに笑みを浮かべている。


「来年から中学生になるのに・・・」

「だって、今夜は凄く寒いんだもん・・・」


拗ねる表情にキュンとなる。


「あったかぁーい・・・」

布団に潜り込んできた息子は無邪気に声を出した。


見上げる両目はクリクリに大きくて。

瞼の下が腫れぼったいのは私に似ている。

でも、強い遺伝ではない。

私の姉、実は従妹だったから。


私の父と母はかなり年齢差があって子供が中々、できなかった。

だから姉を遠い親戚から養女として迎えたのだ。

皮肉なことに数年後に私を母が身もごる。


だから、守と私の血縁関係は薄い。

そう、結婚も許される。

それでもDNAが同じなのだろうか、ふっくらした頬と大きな瞳は私に似ている。


私は飽きることなく息子の顔を見つめてしまう。

大好きな天使の顔を。


「ねぇ、ママ・・・」

彼も同じ気持ちなのかジッと見つ返してくれる。


「僕、ママが大好きだよ・・・」

「まもるちゃん・・・」


囁く声が愛おしい。

ギュッと抱きしめて私も囁きを返す。


「ママも・・大好きだよ・・・」

柔らかい感触に全身で幸せを噛み締めている。


ずっと。

そう、ずっとこのまま。


守ちゃんを抱きしめていたい。

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