第四章 ママの匂い
【まもる16歳】
【2016年 7月20日】
礼子の寝室で。
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今、僕はママの寝室にいる。
一人ベッドに座り、甘い匂いに包まれながら。
同窓会に出かけているママはいない。
僕は時々、こうして寝室に忍び込んでいた。
ママとはもう何年も一緒に眠っていない。
中学生になる前にママから告げられたから。
『もう、大人なんだから一人で寝なさい』
(そ、そんな・・・)
『ごめんね・・・』
狼狽える僕の気持ちを読み取ったのか、ママが小さく呟いた。
『でも、もぅ・・駄目だから・・・』
寂しげに見つめる瞳が潤んでいる。
あの日から何度も見せる表情だ。
今から思えば確信が持てる気がする。
そう、あの夜。
ママは大人になった僕を知ったのだろう。
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