第3話 庭に……
作業用のつなぎを着て、庭の草むしりを始めた。
実家の庭は、元は日本庭園みたいだったけど、木を大分間引いた。維持ができなかったからだ。
それと……、半分を畑にした。
今は、ジャガイモを植えている。もう少しで収穫だ。キュウリなどの野菜も植えたけど、世話をするのが俺しかいなかった。
食費の節約になるかとも思ったんだけど、結局あまり収穫できずに枯らす結果になったので、野菜の栽培は諦めている。
「ジャガイモは、三人で消費すれば一年は持つはずだ。まあ、二毛作だけどね。おかずに、炭水化物もどうかと思うけど、食費の足しにはなっている。それと、果物だな。秋が楽しみだ」
数代前の祖先から、林檎を植えているんだけど、たいして世話をしなくても実を成してくれる。この樹だけは残したいと思っている。俺が引き継がなければならない。
「さて、雑草取りは終わりでいいかな?」
「わんわん……」
ん? なんだ?
声の方向を見る。
「野良犬? 家の周りには塀があるのに迷い込んだのか?」
子犬が迷い込んでいた……。
しかも怪我しているみたいだ。
「犬を飼う余裕は、ないんだよな……」
それと、畑を荒らされたくない。
家の外に連れ出すしかない。その前に怪我の手当てをしてやるくらいしかできないな。
犬って雑食だったか? 肉食だった気もする。ソーセージくらいならあげられるかもしれないけど……。餌付けしてしまい、居座られるのは困るな。
そう思った時だった。
想像もしていなかったモノが目に入った。
「……ゲート?
◇
とりあえず、小犬は保護して家の中に入れる。後ろ足から出血しているみたいけど、骨は折れていないみたいだ。消毒して、毛布の上に寝かせる。
それと牛乳を与えたら飲んでくれた。そして、眠ってしまった。
──ピンポーン
連絡した、警備会社が来たみたいだ。
「ゲートが見つかったと連絡があり、きました」
「こちらになります」
俺は、警備会社の社員を庭に案内した。
警備会社社員が、何かの測定器を使い始めた。
「……最下級の
ため息しか出ないよ。
だけど、今後
「せめて、
世界中で議論されている話だ。
増える一方なので、管理も大変なんだ。
いや、偶にだけど消える場合もあるんだったか。その方法が確立されなくて困っているんだったな。
そして……、高難易度
『適正者』の数も、そうそう増えない。
一般人が
警備会社の社員が帰って行った。
「ゲートに檻を被せただけって、どんだけ適当なんだよ……。これでも
ネズミの
ランク的にEランクの中でも更に下かもしれないな。
「くぅ~ん」
ん? 保護した小犬が、庭に出てきた? 後ろ足一本を使わないで歩いている。
「わんわん!」
仕草から、檻を外せと言っている……。
もしかして、この小犬は
今のところ凶暴さはない。
そうすると、犬系の
俺は少し考えて、檻を外した。
子犬の動向を見る……。
ダンジョンに触れると、吸い込まれるように消えてしまった。
俺は、装備を整えるために一度自分の部屋に戻った。
短銃をホルダーに仕舞い、ホルダーを腰に巻く。それと、学校指定のプロテクターとヘルメットだ。
最後に護身用の短剣だ。腰に装備した。
「とりあえず、フル装備だ。食料はないけど、飲み物は持った。短時間の探索にしよう」
俺は、庭に戻り
◇
「……ゲートって空間を歪ませるモノもあるんだな」
人が入れる大きさじゃなかったんだけど、ゲートに触れたら空間が歪んだみたいで入れた。
新発見かどうかも分からないけど、一般には出回っていない情報のはずだ。
中に入ると、助けた子犬がいた。
どうやら、俺を何処かに連れて行きたいらしい。それだけは分かる。
怪我は大丈夫なんだろうか?
子犬の先導で着いて行くと、
「……スライムか。まだ俺でも、対応できるかな? それと
魔法の弾丸で処理すれば、一発で倒せる。俺には散弾系の範囲攻撃がある。問題があるとすれば、弾数だ。俺は、絶好調時で20発が限界だった。実弾の拳銃が6発なのを考えれば、まだ使えると考えてもいいかもしれない。
ちなみに〈闘気〉系統は、スライムの核を破壊しないといけないので、剣技などの技術が必要となる。シュウは、槍の一撃で撃ち抜くけどね。動体視力と俊敏性が重要となってくる。
ハンマー系を得物とするのであれば、スライムは楽な相手でもあると聞いた。
まあなんだ、最弱な
──パン、パリパリ
一発で命中。スライムは、即死してくれた。
「わんわん!」
〈魔力〉が尽きても、まだ〈闘気〉が残っている。往復のことも考えないといけない。移動距離を考えて制限を設けるか。
子犬が、不思議そうに俺を見ている。
俺の行動が、遅過ぎるみたいだ。
「この先に、何があるのかな?」
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