第5話 ぶらぶら

二人はしばらく歩いて、草原の奥にある小さな村にたどり着いた。村は静かで、穏やかな風が通り抜けるだけの場所だ。村の広場には数人のプレイヤーが集まり、アイテムを交換したり、談笑したりしている。


「ここが休憩所か。」零士は目を細めて周囲を見渡した。


「うん。ここで少し休んで、次のクエストを考えようか。」青雨が答えた。


彼女は軽く肩にかけたスナイパーライフルを持ち直し、広場に向かって歩きながら言った。「少し休むのも悪くないわね。あのボス戦、結構エネルギーを使ったから。」


「まあ、俺もだな。」零士は少し苦笑し、青雨の後を追った。


広場に着くと、数人のプレイヤーが彼らに気づき、軽く会釈をした。その中には、先ほどの戦闘で見かけたプレイヤーたちもいる。


「お、青雨だ!さっきの戦闘、かっこよかったぞ!」ひとりのプレイヤーが声をかけた。


青雨はその声に軽く手を挙げて応えた。「ありがとう。でも、あの戦いはちょっと手を抜いてたから。」


「手を抜いてたって、あんなのどうやって手を抜けるんだ?」別のプレイヤーが笑いながら言った。


青雨は楽しげに笑いながら、「まあ、あれくらいは普通よ。」と軽く答える。


零士はその会話を静かに聞きながら、青雨の冷静な反応に感心していた。彼女はゲーム内での自分の立場をきちんと理解しているようだった。


「ところで、次はどこに行く?」零士はその場の雰囲気を見ながら、話題を変えた。


青雨はしばらく考え、やがて指を広場の端にある掲示板に向けた。「ここにいくつかクエストがあるみたい。難易度もさまざまだし、私たちのレベルに合ったものを選んで行こう。」


「了解。」零士は頷きながら掲示板を確認した。


掲示板にはいくつかのクエストが並んでいるが、目立つのは「討伐:影の魔導士」というタイトルのクエストだった。このクエストは、最近発生した魔物の影響を取り除くために、影の魔導士を倒すというものだ。


「影の魔導士か。レベル高めだけど、報酬はかなり良さそうだな。」零士はそのクエストの内容を見て、青雨に尋ねた。「どうする?」


青雨はそのクエストをじっと見つめ、「これに挑戦してみましょうか。」と決意を込めて答えた。「私たちなら、きっと大丈夫。」


「よし、決まりだな。」零士は頷き、青雨とともに掲示板からクエストを受注した。


「それじゃ、行こうか。」青雨が軽く微笑んで歩き出すと、零士もすぐにその後ろを追いかけた。


二人は新たな冒険に向けて、再び進んでいく。ゲームの世界での時間は流れ、彼らの絆が少しずつ深まっていくことを感じながら。


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Bullet Sword Magic Online ―怒りと青の交錯― @LAINtyuni

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