第1章 究極生命体爆誕
第4話
ルルアが倒れてから1週間後の明朝……。
「ん……あ、れ?」
目を覚ますと、自分の体に明らかな変化が起きていることに気が付いた。
「胸が苦しくない……。それになんだかすっごく、体が軽いような。」
さっきまであんなに苦しかったのに、今はどこもなんともない。むしろ今までで一番元気かも……。
「あ!!そういえば…て、テンタは?どこに行っちゃったんだろ。」
周りを見渡してみるが、この山小屋の中にテンタの姿はなかった。きょろきょろと顔を動かして探していると、するはずのない他の人の声が後ろから聞こえてきた。
「おはようございます!!
「うえっ!?」
驚いて後ろを振り返ってみるけど、そこには当然誰もいない。不思議に思っていると、ボクの視界の下からニュルリと見覚えのある形状の生き物が姿を現した。
「て、テンタ?テンタなの?」
「はいっ、テンタでございます!!」
「しゃ、喋れたんだ。」
テンタが言葉を話せるという事実に驚いていると、それについてテンタが説明してくれた。
「実は、私が言葉を話せるようになったのには理由がありまして……
「腰?」
テンタに言われた通り、自分の腰のあたりに手で触れてみると何か尻尾のような物が生えているのがわかった。
「へ!?な、なにこれ!?し、尻尾?」
「いえ、尻尾ではございません。これは私…テンタの
「えぇ!?どど、どうなってるの!?」
「落ち着いてください
状況がまったくわからなくてあたふたしていたボクに、そう優しく声をかけながらテンタは一体ボクの体に何が起こったのか説明を始めた。
「まず第一にご理解していただきたいのが、
テンタが語ったその説明にボクは驚きはしたものの、すんなりと納得できてしまった。
「……そっか、なんとなくそんな気はしてた。」
「ご理解いただきありがとうございます。」
「死んだはずのボクが生きてるってことは、テンタがボクに何かしてくれたんだよね?多分……。」
「不躾ながら、
自分自身が死んだことはすんなりと理解できたのに、テンタが何を言っているのかは難しすぎてまったく理解ができない。
「詳しく説明させていただきますと、
「えっと、ボクの心臓がテンタになっちゃったってこと?」
「そういう認識で問題ありません。そして私が
ボクにもわかるように説明をし終えると、テンタは頭のような部分をしゅん……と申し訳なさそうに垂れた。
「
「謝ることなんてないよテンタ。だってボクはこうやってまだ生きていられるんだから。」
「
眼もないのに、テンタは粘液のような、涙のようなものを体表面からボロボロと溢れさせた。
「慈愛の女神のようなその優しさに、ただひたすらに感謝いたします
ボクのことをまるで神さまのように崇めてくるテンタに、思わず歯痒くなってあることをお願いした。
「あ、あのさテンタ。その
「し、失礼しました。ではなんとお呼びすればよろしいですか?」
「普通にルルアでいいよ。」
「ではルルア
「う~ん、もうちょっと気軽に呼んでくれていいんだけど……。」
「いえ、ルルア様に敬意を示すためにもここは譲れません。どうかご容赦ください。」
「テンタがそこまで言うなら……うん、わかったよ。」
こうしてボクはテンタと一心同体になって、新しい人生を歩むことになった。
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