第8話 永茉
夕日が徐々に沈んで薄暗い高校から出てすぐのまっすぐの通学路。
すすり泣く
高校2年の同い年で同じ地域に住んでいることもあり、仲良くなった。
彼氏になるまでに時間がかからなかった。
今日は、学校で嫌なことがあったとずっと泣くのを我慢していた永茉が、律に会った瞬間に感情が駄々洩れだった。
「何があったか知らないけど、そんなに泣くほど嫌なことだったの?」
「……」
泣く理由はさっぱり教えない。ずっと、すすり泣いて、セーターの裾で涙をぬぐう。
「まぁ、言いたくないなら、いいけど。永茉、ごめん。駅前のお店寄ってもいいかな」
こくんと黙ってうなずいた。律は、永茉の手を引いて駅前にできたばかりのカフェに行くことにした。期間限定のタピオカドリンクが気になっていたためだ。
「すいません、この抹茶タピオカドリンクまだありますか?」
「はい。あと、2本分ご用意できますよ」
「あ! 飲みます。その2本」
律が頼もうとする前に永茉が笑顔で手をあげて答えた。
さっきまで泣いていたはずの永茉がいつの間にかご機嫌になっている。
律は呆れながらも、代金を支払った。
「ありがとう。ごちそうさま」
律はほっと胸をなでおろした。
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