第7話 明莉

「あー、明日も忙しくなるなぁ。まずは、宿題終わらせよう」


 勉強机の前で、ぶつぶつと呟く明莉あかりは文化祭実行委員に任命されて、準備追われる。英語の課題をすぐに終わらせては、学校での作業では追いつかない。

自宅に道具を持ち帰って裁縫を始める。

3年2組は、メイドの喫茶店を開くことになり、衣装を担当していた。メイドのひらひらスカートを作るため、おしゃれに縫い合わせていた。


「あれ、将来デザイナーの仕事もいいなぁ」


 明莉は楽しいことに夢中で、みんなが喜ぶ顔が見れればいいと思っていた。学校の行事や、勉強に熱中して、恋愛に関しては興味はこれっぽっちも持たなかった。


 翌日の教室にて、徹夜してまで、作ったものをクラスのみんなにお披露目すると、目の前で明莉がパタリと倒れた。過労に気づかずに、限界を達していた。

 教壇の上で、明莉の上半身を腕で支えたのはもう一人の文化祭委員の湊介そうすけだった。


「全く、自分ひとりで抱えすぎだろ。俺、保健室連れていくわ」

「湊介、頼むわ。絶好のチャンス到来だ」

「うっせーー」


 冷やかしを受け、湊介は明莉をお姫様抱っこで連れていく。

 明莉は湊介に気づいて、顔を真っ赤させ、慌てておりた。


「大丈夫」

 しどろもどろだ。

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