10日目~回復薬密売ビジネス

第34話 10日目:新スキルと最初の仲間 



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 スキルツリーの進化条件達成

 ☆伝説の敵を倒す

 ☆スキル経験値の累計1000000を突破する


 スキルツリーが"達人級"から"求道級"に進化します

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 毒手スキルツリー《求道級》

 《使用可能SPスキルポイント”1000000”》

 

 ・翡翠眼:視線を媒介に毒手スキルを起動可能な変異をもたらす SP800000


 ・黒い血:血液に”毒”の性質を追加する   SP20000


 ・毒沼操作:作成した毒沼の形態を操作出来る  SP10000


 ・毒草プランター:あなたが育てる毒草は毒をふりまかない SP10000


 ・毒手切り替え:毒手スキルを片腕で使用できる  SP50000


 ・毒蛇会話:毒蛇との会話が可能になる    SP20000


 ・中和毒:薬や治癒術の効果を薄める毒が作成可能になる SP40000


 ・毒刀瑠璃丸:挑神戦争にて存在した毒刀"瑠璃丸"を召喚する SP400000


 ・薄まった毒:毒の効果を薄める事が出来る    SP10000


 ・毒の武器:武器に毒を付与できる    SP60000


 ・銀の毒:不死者によく効く銀の毒を生成する    SP500000

 

 ・毒ニンジン:苦痛を伴わない毒を生成する   SP100000


 ・媚薬毒:対象を発情させる毒を生成する SP400000


 ・毒腺:指先に毒を射出可能な変異をもたらす SP600000


 ・毒触手:背骨と後腰骨に毒を纏った触手器官の変異をもたらす SP800000


 ・毒牙:歯に毒を纏う変異をもたらす SP700000


 ・五毒将軍謁見"⚠︎危険スキル"五毒将軍に謁見が可能となる SP1000000

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「だいぶ……スキルが剣呑な雰囲気になってきたな……」


 湯煙に包まれる視界の中でも、メッセージはよく見える。


 フランシスを斃したご褒美、たんまりの1000000にも及ぶスキル経験値。


 使わない手はないだろう。


 カポーン。

 湯煙、濃く。

 肩まで浸かった茶色の湯。入浴中だ。


 疲れが、お湯に溶けていく。

 強張っていた筋肉も徐々に解けていく気がする。


「はア~、にしても妙な事になったものだ」


「ワン!」


 ここは、家の地下にある大浴場。


 妙な空気になって場が固まってしまったところを、デクが気を利かせてこの場所に導いてくれた。


 大樹の中に家があり、さらには温泉旅館顔負けの岩風呂があるとはな。


「異世界、すげえ~」

「わふ!」


 大きな岩風呂のすぐ隣の小さな壺風呂にタボが入っている。


 犬なのに、風呂好きとは珍しい。

 まあ、この犬、もうなんでもありだ。



「さて、どうしたものか……」


 風呂に浸かりながら、この後の事を考える。


 野宿問題は正直、解消された。

 

 デクは快く、この住処を俺達に提供してくれるらしい。


 この家、かなり豪華だ。

 大広間、治療室、大浴場……それにまだ見ていないが、食堂や地下室に寝室、その他他にも部屋があるらしい。



「もうホテルだよな、これ……」


「わんわん!」


「……タボ、お前一体、何者だ?」


「きゅ~ん」


 壺風呂から顔と前足だけをぴょこんと出したドッグが首を傾げる。


 この場所に案内したのはタボだ。

 デクとタボ、そしてフランシスは恐らく旧知の仲なのだろう。


 ああ、もう正直だいたいの予想はついている。


 ・タボの事をフランシスもデクもパーラハーラと呼んでいる

 ・エルマ、植物園の女もタボの事をパーラハーラ3世と呼んでいた

 ・フランシスの言葉、陛下という存在

 ・厄王軍

 ・毒手や”装”に対しての、フランシスの反応


 これらの断片的な情報から察するに――。



「エルマ……あの不審者、一体何を企んでいやがる……」


 植物園の夢、不審者、変態。

 おおよそいい印象がないあの女には何かがある。


「厄介な奴に目をつけられた可能性があるな……」


「わんわん!」


「タボ~、これ以上厄介ごとを増やすのはやめてくれ~。俺はもう生き残る事で精いっぱいだ~」


「わん!」


 返事だけは凄く良い。

 タボが、ぽちゃんと壺風呂に浮かび始める。

 こいつ、入浴の仕方を知っていやがるな……。


「まあいい……今は……温泉に集中するか……」


 色々な事があった。疲れた、今だけは何も考えたくない。


 お湯の暖かさに意識をゆだねる。

 トロトロの湯は、肌によくなじむ。


 そうか……考えたら入浴なんて本当に久しぶりだ。


 基本、小川の水を浴びるで全部済ませていたしな……


 しばらくの間、湯の暖かさにまどろむ。


 ――アンタさ、昔からデリカシーないよね。

 ――アンタみたいな男、いちばん嫌い

 ――アンタ、本当最低ね。


「…………」


 しばらくぼうっとする。

 何故か昔の友人の言葉が頭に浮かぶ。

 だが、今この世界で生き残る事に関係はない。



 ――陛下の業でお前は一体、何を為す?


 自分で手に掛けた奴の最期の言葉。


 何を為す……か。


 俺は生き残りたい。

 こんな訳の分からない状況で死ぬ訳には行かない。


 ……何故死ぬ訳には行かない?

 目標があるからだ。


 私は作家になりたい、いや、作家になりたいのではない。


 物語が書きたいんだ。

 ふと、そう思ったんだ。

 …………きっかけが何かあったような……。



 ――いいわよ、別に。じゃあ、約束。アンタが書く物語に、アタシが――。





「あ、あの……」


「うお!」


「おわ! 大丈夫スか!? その、トモムラ先生!」


 滑って潜ってしまった浴槽から顔を上げる。

 そこにいたのは……。


「あ、あの……スンマセン、急に。えっと、その……」


 真っ白な彫刻のような肌に、ほっそりとした身体。


 腰に白いタオルを巻いた美少年がそこに。


「隣、いいスか?」


 ……どうして。

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