第14話 3日目:スキルツリーを選ぼう

 ◇3日目◇



「素材感知Ⅰ」



 目を瞑る。

 真っ暗な瞼の中に、ぼうっといくつかの光が見える。


 その光は目を開いた後もしばらく残っている。

 光が灯る所に、食物がある。


 薬師の職業スキルのおかげで今の所、食料は問題ない。


「お、なんだ、この草……素材か?」


 果物以外にも素材感知に反応して輝く草がある。

 そよ風に揺られる黄色い花を咲かせる草だ。

 それを適当に摘んでみると……。


 ~~~~

 昼だまり草:レアリティSR 

 

 説明:昼の間にのみ花を咲かせる薬草の一種。

 秘境にのみ咲く花とされており、教会はこの草の採取を禁止している。

 古くはしあわせ草などとも呼ばれていた。

 幸せを薬で得ようなど、それは教会の教えに反するものだ。


 効能:回復薬に混ぜる事で薬の再生能力を大幅に高める

 副作用:薬への依存を高める・薬師職業は無効

 ~~~~


 薬草の説明が視界に文字となって流れる。


「ほお~!」


 これ、いいな!

 味覚薬レシピ探索の際に役立つかもしれん。


 そうだ、回復手段もきちんと確保しておかないとな。

 薬師スキルで回復薬を量産しておくか。


 無限のビンとか言う、気付いたら自動補充される地味チートアイテム万歳だ。

 おかげで回復手段だけは確保が非常に容易だからな。



「わふ!! わふわふ!」


 それともう1つ発見。

 おそらくこの素材感知スキルは、タボと情報を共有する事が出来るっぽい。 


 俺が感知した端から果物を咥えて持ってくるという事がもう5回以上も発生した。

 このスキルは仲間と共有が出来るのだろうか。



「それとも、お前が特別だったりするのか?」


「たぼたぼ?」


 タボのほっぺの肉をぐにぐに弄る。

 うーむ、可愛い。

 多分世界一可愛いドッグだろう。


 果物を軽く水洗いし、皮ごと口に放り込む。

 食感やみずみずしさは素晴らしいのに……。


「やっぱ味はしないか……」


 これ、地味にストレスだな……。

 この味覚がないという状態、良くないぞ。



「わふ?」


 タボが、果物を前にお座りしている。

 エルマのしつけがよかったのか。

 彼は絶対に俺より先に食べ物に口をつけない。



「よし」


「わふ!」



 俺が許可を出すと、嬉しそうに吠えて果物をほおばりだす。

 う~む、フルーツドッグ……。

 そろそろ肉でも食べさせてあげたい所だが……。


 この森、以外と他の生き物見かけないんだよな……。

 いや、たまに外敵の察知が作動するから、いるにはいるんだろうけど……

 どれも、やばそうな奴ばっかなんだよね……。


 少しでも外敵の察知が発動した瞬間にその場を離れるようにしている。

 おかげで、昨日も今日も危険な目には遭っていない。



「やはりこの世界。何をするにも、ある程度の戦力がいるな」


「わん!」


 今日は初日と2日目で貯めたスキル経験値を使っての戦力拡充だ!

 まずは、ステータスを確認するか。



「ステータス」


 ~~~~


 名前:友村友人(ともむら ともひと)

 性別:男


 区分:先行プレイヤー

 配信:無し


 レベル:10


 生命力: 50 (全職業平均120)

 魔力 :  I(全職業平均100)

 速度 : 50 (全職業平均100)


 筋力  :20   (全職業平均100)

 頑丈  :20   (全職業平均100)

 器用  :40   (全職業平均100)

 カリスマ:05   (全職業平均50)


 固有スキル :毒手 E級スキル 規模スキルスケール:対人スキル 

 スキルツリー覚醒済


 変異    :無痛症、不感症、魔力点穴強制開門

 隠し種族  :有り

 隠し技能  :複数有

 職業クラススキル:《薬師》薬効判定Ⅰ 素材感知Ⅰ 回復薬生成Ⅰ 外敵の知らせⅠ 

 称号    :追放者

 所属勢力  :無し

 所持品   :薬師のかばん(容量小)、無痛薬(伝説)、無限の空き瓶(遺品)

 装備    :追放者のフード、薬師のローブ、革の旅ブーツ

 友好勢力  :無し

 ペット   :毒牙のガルム(恩人)

 敵対勢力  :一二神教(害虫扱い。見つかったら駆除される)教会騎士団全般(討伐対象)

 信仰    :無し

 ロールプレイ:”0” 自由に生きる事が可能

 嗜好    :犬だいすき人間


 ~~~~


 相変わらずの雑魚ステ。

 だが、初日と比べると少し違う箇所もあるか……。


 ……魔力は、これ、1か?

 エルマのパンチが関係しているのか?

 変異の欄には、強制開門とか書いている……。


 今日の夜、あいつに何をしたのか確認しておいた方がいいな。


 肝心のスキルツリーに人差し指を向ける。

 ぴんぽーん、耳の中でまたいつもの音が響いた。



【こんにちは、3日目にして早くもスキルツリーシステムの本格運用とは、素晴らしいです!】



「うわ、出た」



【そんな嬉しそうな声出さないで下さい! テンションが上がってしまいます! スキルツリーシステム、リストオープン!!】



 〜〜〜〜

 毒手スキルツリー


 ・毒喰らいⅠ:毒を食物として消化可能

 ・毒調合Ⅰ :体内に吸収した毒素を材料にオリジナルの毒を調合可能

 ・毒解析Ⅰ :触れた毒の効果を即時、解析する

 ・麻痺毒Ⅰ :生成する毒に”麻痺”の効果を付与する

 ・毒の高揚 :毒手スキルを使用している際、テンションが上昇する

 〜〜〜〜



【ここまでが現在習得済のスキルです! そして、スキル経験値が100000を超えたので、達人クラスのスキルツリーをご用意致しました!】


「お?」


【ふふふ、コストは非常に重いですが、その効果は強力です。また薬師スキルと組み合わせて使う事が出来るものもありますので、振ってどうぞ!】


 ~~~~

 毒手スキルツリー《達人級》

 《使用可能SPスキルポイント”207910”》

 

 ・大毒使い:使用可能な毒の量を大幅に増加する  SP100000


 ・黒い血:血液に”毒”の性質を追加する      SP20000


 ・毒沼操作:作成した毒沼の形態を操作出来る   SP10000


 ・毒草プランター:あなたが育てる毒草は毒をふりまかない SP10000


 ・毒手切り替え:毒手スキルを片腕で使用できる  SP50000


 ・毒蛇会話:毒蛇との会話が可能になる      SP20000


 ・中和毒:薬や治癒術の効果を薄める毒が作成可能になる SP40000


 ・気化毒:毒を気体化させる            SP10000


 ・薄まった毒:毒の効果を薄める事が出来る    SP10000


 ・毒の武器:武器に毒を付与できる         SP60000

 ・毒分身: ある程度自律する分身を毒で作成する SP90000

 ~~~~


「うお……一気に増えたな」



 リストを見た瞬間、かなりのスキルの多さに目を剥く。

 どれを選ぶべきか……。





 あとがき


 お世話になります、しば犬部隊です。

 辺境薬師をご覧いただきありがとうございます。


 ブクマして引き続き続きをご覧ください。

 また☆を3つ入れて頂きありがとうございます。

 評価者の方で連載を続けられております。


 ありがとうございました。

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