第15話 3日目:スキルツリーで遊ぼう
いくつか薬師スキルと組み合わせ出来そうなスキルもあるな。
俺はもう一度、スキルツリーに目を通す。
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毒手スキルツリー《達人級》
《使用可能
・大毒使い:使用可能な毒の量を大幅に増加する SP100000
・黒い血:血液に”毒”の性質を追加する SP20000
・毒沼操作:作成した毒沼の形態を操作出来る SP10000
・毒草プランター:あなたが育てる毒草は毒をふりまかない SP10000
・毒手切り替え:毒手スキルを片腕で使用できる SP50000
・毒蛇会話:毒蛇との会話が可能になる SP20000
・中和毒:薬や治癒術の効果を薄める毒が作成可能になる SP40000
・気化毒 :毒を気体化させる SP10000
・薄まった毒:毒の効果を薄める事が出来る SP10000
・毒の武器:武器に毒を付与できる SP60000
・毒分身: ある程度自律する分身を毒で作成する SP90000
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……今は自衛の為に戦闘で役立ちそうなスキルを選ぶか。
”大毒使い”……これは、マストだな。
どう使っても腐らないスキルはありがたい。
”気化毒”も扱いさえ練習すれば、格上殺しとか初見殺しに使えそうだ。採用。
後は……俺の心の中に中二が求めているスキルがある……。
よし、決めたぞ。
とりあえずはこの3つのスキルにしよう。
たくさん取りすぎて使わないスキルが出てくるというゲームあるあるは避けたい。
「スキルポイントを消費して、”大毒使い”、”気化毒”、それと――”毒分身”を追加」
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申請を受領
合計”200000”Pを使用し、大毒使い、気化毒、毒分身をスキルツリーに追加
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ぞぞぞぞぞ。
身体が熱い。
血液が震えて、内臓が身体の中で踊っているような感覚。
だが、不快感はなくそれどころか少し心地いい感じだ。
【順調にスキルホルダーとして成長されていますね! 他のプレイヤーの方にも見習って欲しい所です! それでは、引き続き楽しい異世界生活を!】
チュートリアルの声が消える。
あいつスキルの説明とかする気ねえな……。
「自分で色々試してみろって事か……」
その後、とりあえず新スキルの運用を試す。
少し触ってみた感じ、やはり結構使えそうだ。
大毒使いは、スキル名と説明がそのままの効果だな。
シンプルに扱える毒の量が増えている感じだ。
毒手スキルを使用した瞬間。緑色の毒液が手から溢れる。
パーティープレイだと完全に引かれそうだが、1人プレイなので問題なし。
そして、残り2つのスキル。これは予想外の当たりかもしれない。
「気化毒」
目の前に非常に分かりやすい緑色の霧のようなものが現れる。
このスキルを使用している間は、この毒の霧をある程度自由に操作できるようだ。
開けた場所だと脅威ではないが、閉所でこんなの使われたら最悪だな。
それに――
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大毒使いにより、”気化毒”で扱える毒の量が大幅に上昇しています
麻痺毒スキルにより、気化毒に麻痺の効果を付与出来ます
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既に手に入れていたスキルとの相乗効果により、気化毒が強化されている。
スキルには恐らく相性のようなものがあるな。
それを考えると、エルマが夢で教えてくれる毒手戦闘術、”装”、”集”、”変”。
あの3つの技術も、スキルのコンボに繋がりそうな気がする。
そして、3つ目のスキル。
毒分身。
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大毒使いと気化毒の効果により、貴方は分身を爆発させる事が可能です
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試しに一回、毒分身を使ってみた。
目の前に俺そっくりの分身が現れる。
いや、これ、精度すごいな……
もっと毒感あるスライムみたいなのが出ると思っていたんだが……。
服の質感とか、遠目で見たら見分けつかないぞ。
「えっと、毒分身、俺とタボから10mくらい離れろ」
「……」
分身がこくりと頷き、指示通りに離れる。
すると、視界にまたメッセージが流れた。
~~~~
大毒使いと気化毒の効果により、貴方は分身を爆発させる事が可能です
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爆発……か。
なんか力を入れてハッってやれば爆破させる事が出来そうな気がする。
スキルって不思議だな。
身体が使い方を知っているって感じだ。
「よし、やるか――発ッ!!」
「!」
一瞬だった。
分身が一瞬で膨張し、毒煙と衝撃波を放って爆破する。
毒の風に吹き飛ばされそうになるのを踏ん張ってなんとか耐える。
「たぼたぼ! わふ!!」
タボは凄く嬉しそうに、走り回っている。
毒喰らいを持つ俺も毒の風にさらされようとも特に影響はない。
だが……。
「うわ……これは……」
分身が爆破した爆心地は地面がえぐれ、毒沼が形成されている。
え……殺意高すぎね?
衝撃波に、毒の爆風、地形の汚染……。
完全にソロプレイ用の必殺技だな。
毒を無効化出来る俺達だからこそ、使えるスキルだ……。
「毒喰らいのスキルを持っていなかったらやばかったな」
「たぼたぼ、わふ!」
スキル……想像以上に奥深いな。
選択によっては、諸刃の剣にもなり得る。
だけど、これは俺の牙だ。
髑髏騎士やムカデの様な外敵との戦い。
味覚薬レシピのような入手の際に戦闘が発生するであろう事態。
この世界では、まずは戦えないと話にならない。
「わふ! わんわん!」
「うお! あははは、なんだ、タボ」
タボが俺にじゃれついてくる。
うん、仲間はいないが、可愛い毒属性の犬もいる。
頭数に入れたくないが、怪しい師匠ポジの家族を名乗る不審者もいる。
なんとかなるさ。
俺はこんな感じで、タボと一緒に異世界の森生活を進めていく。
毒手スキルの鍛錬を行いつつ 薬師スキルで薬草を探したり、回復薬をコツコツ作ったり……。
朝はスキル鍛錬、昼は食材探しと薬草探し&回復薬の備蓄作成。
夜はタボと一緒に、枯れ葉や柔らかい草を敷き詰めたベッドで眠る。
眠っている間は、植物園でエルマの茶飲み話に付き合ったり。
毒手戦闘術の基本3術。”装”の練習を続けたり。
そんな日常を過ごして一週間が経った。
そんなある日。
そう、俺がこの異世界にきて、10日目。
事件が起こった。
俺は知らなかったんだ。
自分の事で精いっぱいだった。
結論だけ言おう。
俺のせいだ。
俺のせいで多くの転移者達が命の危機に瀕していた。
1000人のVtuber達も含めて。
まず、空から傷付いた竜が墜ちてきた。
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