第4話 初日:外敵の察知
「ほっ!!」
ごっ、ごっ、ごっ。
〜〜〜〜
スキル経験値990加算
スキル経験値990加算
スキル経験値990加算
〜〜〜〜
木を殴り続けて数時間が経った。
無痛薬の効果は半端ではない。
拳が血まみれになろうとも、何も痛みを感じないのだ。
皮が剥け、血が流れ落ちてなお、俺の拳の勢いは弱まらない。
しかし、痛みがないだけでダメージは着実に積もっている。
このままでは拳が砕けて使いモノにならなくなるだろう。
「しかし、問題はねえ」
薬師のカバンから空き瓶を取り出す。
近くにある川で水を掬う。
その瓶を握って――。
さっき気付いた俺のもう1つのスキルを使う。
「薬師スキル”回復薬生成”」
瓶が緑色に輝く。
その瞬間を狙って思いきり上下にシャカシャカと振りまくる。
ガラスに入っている水が薄緑色の液体に変わった。
その液体を、ボロボロの右手にじょぼじょぼと振りかけると――
「回復!! 問題なく、治す!」
あら不思議。
捲れあがった皮も、零れ落ちていた血も全部元通り。
まるで時間が巻き戻るような勢いで傷が治っていく。
いや、回復薬凄いな!!
傷がみるみる治っていく。
それになんとなく、気分も良い。
スッキリ爽やかって感じだ!
なんだろう……回復薬について
冷静に考えるとコストが水だけでこんなに強い薬作れていいのか?
調合とかゲームシステム周りはチェックしてない。専門外だ。
……まあ、役に立つから、ヨシ! か?
こんな感じで、毒手&無痛薬&回復薬のコンボで俺は順調にスキルの経験値を貯めていた。
【……素晴らしい。これこれ、こういうのが見たかったんですよね! 異世界に来て責任のなすりつけ合いを行うVtuberの会議とかよりも、スキルの訓練を黙々とするプレイヤーの美しい事!】
「……何か言ったか?」
【あっと、いえいえ、私はチュートリアルですので。また何かあればいつでもお声掛けください】
あいつ、多分チュートリアルじゃないだろ。
その後もひたすら無心で、木を殴って薬作ってを繰り返す。
すると……目の前に文字が浮かびあがる。
~~~~
・固有能力”毒手”スキルが進化。手から分泌される毒の量が増加しました
・薬師スキル”回復薬作成Ⅰ”が強化しました。薬効のある薬草や素材を混ぜる事で回復薬の効果を強める事が可能です
~~~~
「おっと?」
これは予期せぬ幸運だ。
毒手スキルだけでなく、薬師スキルまで強くなったぞ。
強化と進化……何が違うのだろうか。
毒手の方は意識を集中すると、手から緑色のオーラ? が浮かぶようになった。
絵面は最悪だな。
この毒手で顔とか触ったらどうなるんだろうか。
薬師スキルの方は……実験が必要そうだな。
内容から考えると手間をかければかけるほど良い薬が作れそうだが……。
「まあいい、この調子でスキルを鍛え続けるか――ひっ」
ぞわっ。
思わず悲鳴を上げそうになる寒気が背筋を伝う。
なんだ、今のは……。
~~~~
”外敵の察知”・発動
スキル説明:周辺に存在する脅威を感知する。迫害され、追放されし者が後天的に得た第六感
~~~~
「……外敵?」
嫌な予感しかしないんですが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます