第4話 土曜日の出来事~明日の予定にて~
翌朝、カーテンを閉め忘れて寝てしまったために眩しい朝日で目が覚めてしまった隆司はインストールし終わったのを見て、美咲が起こしに来るまでにPCの電源を落として、狸寝入りをしていた。
すると美咲が軽くノックして部屋に入ってくると、ベッドへ上がってカーテンを触っているのを薄めを開けてみていた。
実のところ、隆司は心の中でつぶやいていた。
「おぉ~・・・今日は水色ですかぃ!・・・ちょい食い込んでるのがたまらん~」
などと心の中でつぶやいていると、美咲がベッドから降りると、目をつぶっていると、美咲が肩を揺らしてきた。
「おにいちゃん、朝だよぉ~。早く起きて」
わざと眠たそうな顔をして目を開けた。
美咲はもう制服姿でいた。
「んーーー、おはよ、かわいい妹様よ~」
「ま~た、そんなこと言って~。早く制服に着替えちゃって。昨日、着替えないで寝ちゃったんでしょ~」
「今日は生徒会で早く集まる日なんだから、いつもより早く学校に行かないとダメなんだから」
今日は生徒会で先生も来て話し合いをする予定だった。
以前から校則について先生から見直しを言われていたのだ。
各生徒からは規則が厳しすぎるという声もチラホラあったらしい。
「おぉ~、そうだったな・・・規則の改定だっけか。そういえば、その件について三紀子に伝えるの忘れてたな~。昨日、ライン交換したから、ちょっとかけてみるわ」
「えへ・・・えへへへ・・・」
「おぃ!朝から変態ぶるな!ってか寝ぼけてるのか?俺だよ、隆司だ。他のやつだったら、どうすんだっての」
「あっ・・・隆司君、おはよぉ~。実は明け方までゲームやってて、さっき寝たばかりなのよぉ~。朝早くからどうしたの?」
隆司は生徒会の仕事があることを伝えていつもより早く来るように言うと三紀子は慌てた様子なのがうかがえた。
ラインをしながら制服に着替えているようにも聞こえた。
隆司と美咲は朝食を食べると学校へと向かった。
「美咲~、手をつないでいくかぁ~」
「もう、またそんなこと言って~。早くしないと杏子先輩も途中で待ってると思うよ」
丁度、目線に杏子が見えてきた。
隆司は美咲の手を握って小走りで杏子のところへ行った。
「おぅ!杏子・・・っておまえ髪の毛少し赤みくしたのか・・・いい感じじゃんか」
「あ、おはよ~。うん、昨日さ隆司が描いてくれた私の絵が赤毛だったから、いいかなぁ~って思って。美咲ちゃんもおはよ~」
「杏子先輩、おはようございます~。その髪の色、とっても似合ってますよ。今度、一緒に読モの応募しませんか?」
「ありがと。暫くはこの髪型で行こうかな~」
杏子は髪をいじりながら少し照れくさそうにしていた。
と、杏子の後ろには三紀子もいた。
「おぅ、三紀子。徹夜おつかれさん。ってか、おまえ朝から変態笑いするな!」
「あ、隆司君・・・だってぇ~。寝て10分しかたってなかったんだもん・・・プレイしてたから余韻が残ってて・・・美咲ちゃんもおはよう」
隆司たちは自然と学校へ足が向かい、途中で蓮司と合流して、早朝から生徒会室へ集合した。
すると、教育顧問の先生は入ってきて、校則についての話し合いが始まった。
「先生は校則についてどの辺を改善したいんですか?」
と、隆司は先生に尋ねると、ごちゃごちゃと厳しいことを言ってきた。
当然と言えば当然。
ここは名門・竜ヶ崎第一付属高校という有名な学校だ。
校則の一つに野球部のみんなは丸刈りだ。
ただし、エースと4番バッターを除いてはだ。
エースのピッチャーはモテ男だ。
隆司とは面識はないが有名人の一人だ。
「う~ん・・・先生、スマホは確かにまずいですけど、両親から緊急の連絡とかあったときのためには、別に構わないのでは?授業中にゲームをする奴はともかくとして。授業中のラインは禁止した方が良いかもしれませんね。実際問題、既読スルーでいじめられる生徒も中にはいるみたいですし、なぁ、蓮司」
蓮司は風紀委員だ。
その辺は取り締まってはいるが隠れてやっている生徒も少なくはない。
そこで、珍しく蓮司から発言があった。
「スマホの件はなんとかします。それとスカートの丈が短すぎる生徒も取り締まっています。あまり厳しすぎるのもどうかと・・・」
「そうか?厳しい教育は当然だと思うがな」
そこで隆司と杏子が声をそろえて発言した。
「高校生活は一度しかない、唯一無二の3年間なのですから」
その後は淡々と進んで、結局、ラインとスカートの丈の見直しの身となった。
そして、生徒会にゆだねるという結果になった。
話がまとまると先生は生徒会室を後にした。
「ふぅ~・・・なげぇ話だったな。三紀子も初めてで固まってたしな・・・あははは」
「だってぇ~・・・あの先生は苦手なのよ~」
三紀子は困り顔で股に両手をはさんでモジモジしている。
相当苦手なのだろうか。
「なんだ?おまえ・・・股でも痒いのか?」
「ぶーーーーーー!あんたねぇ。三紀子は困ってるだけなのよ」
杏子が思わず口をはさんできた。
「おっと、そろそろ行かねぇとホームルームが始まちゃうぜ」
みんな、教室に戻ると、すでにホームルームが始まっていた。
先生は事情を知っていたため何も言わなかった。
その後、ホームルームは途中参加なのですぐに終わり休み時間となり、今日は丸一日テストという状況になっていた。
午前中は化学に数学に英語。
そして、昼休憩。
みんな、自然と生徒会室に集まった。
真っ先にいたのが三紀子だった。
「やだぁ~、そんなことまでしちゃうのぉ~・・・えへ・・・えへへへ」
三紀子は両手で顔を伏せながら奇妙な笑い声をあげていた。
「おぃ・・・おまえ、気持ち悪いんだってば」
真っ先に隆司が突っ込んだ。
幸い、杏子は一番後ろにいたので三紀子のことを見ていなかった。
「あ、隆司君、杏子ちゃん。お先しちゃった」
その後に続いて美咲と蓮司もやってきた。
蓮司は隆司の分のパンを買ってきてくれたらしい。
そして、珍しく美咲が頼みごとをしてきた。
「ねぇ、おにいちゃん。お友達に確か一眼レフ持ってる人いたよね?借りてきてほしいんだけど・・・おねがぁい・・・おにいちゃん」
おねだり顔をしてくる美咲の顔がたまらんと思いつつ隆司は引き受けた。
杏子が美咲に話しかけてきた。
「もしかして、それって今度の読モの応募用に撮るの?」
「あ、杏子先輩。そうなんですよぉ~。お友達のカメラが壊れちゃってぇ~。杏子先輩も一緒に応募しませんか?」
「え?私はいいわよ。それよりも、今日はティラミスを作ってきたからみんなで食べて~。あ、コーヒーも淹れちゃうね」
杏子は人数分のティラミスをテーブルに並べてハンドミルでコーヒー豆を挽いてコーヒーを淹れた。
三紀子はそれを見てかなり喜んでいた。
「美咲、ちょっと待ってろよ。いってくるわ」
と、隆司は走って教室へと戻っていくと浩平に話しかけた。
「わりぃんだけどさ、おまえの一眼レフ、少しの間貸してくれないか?」
「ん?なんだ隆司か。別にいいぞ~。ちょっと待ってな・・・ほれ」
浩平は一眼レフと交換のレンズまで貸してくれた。
一眼レフは値段はピンキリだけど、浩平のは、かなり高価なものだ。
レフ版なんかも持ってて本格的だ。
「悪いなぁ~。数日で返すから・・・あ、これ高いんだよな。6100万画素とか言ってたっけ?スマホと撮るのと全然違うのか?」
「そりゃ違うさ、シャッタースピードとかの操作もできるしな。それに6100万画素だ。かなりいいぜー」
隆司はカメラを受け取ると生徒会室へと走って戻った。
「はぁ~、疲れた・・・ほら、美咲。カメラとレンズを借りてきたぞ」
「わぁ~、ありがと~。おにいちゃん・・・これって6100万画素?すっごーい」
杏子は、どんな感じで撮るのとか、服装はどんなのとか興味津々に美咲に聞いている。
実は杏子もやりたいのではと隆司は思った。
「美咲はいつも友達に撮ってもらってるのか?」
「うん、同じクラスの子でカメラが趣味の子がいて、いつも撮ってもらってるの~」
隆司はふと思ったことがあった。
「そうだ、折角なんだしさ、みんなで記念撮影でもしないか?撮ったことないし、どうだろ?」
みんな、隆司の意見に賛成して生徒会室で撮ることになった。
カメラを適当なところにおいて準備を整えた。
「ほら、杏子・・・もうちょっとこっちに来いって。それじゃあ、はみ出ちまう」
「え?なんか恥ずかしいな・・・」
少し顔を赤らめて隆司とぴったりとくっついて、三紀子は杏子とぴったりくっついて、蓮司は背が高いから一番後ろで、美咲は隆司の前に来て、隆司は美咲の後ろから手をまわして撮ることになった。
タイマーをセットして数枚撮ると、隆司もみんなも楽し気に出来上がりを期待していた。
「明日、プリントして持ってくるよ」
と、隆司が言うとカメラをしまい込んだ。
その後はいつも通り、三紀子はにやけながらBL本を読み、隆司はCG集の下絵を描いていた。
もちろん隆司のCG集は18禁モノだ。
「杏子、見てみろ・・・ほれ」
「ぶーーーーー!!そんなの見せなくていいからってば!」
「ぶはっ!またか!きったねぇな~、だから顔面にコーヒーぶっかけるなって」
「あんたがそんなもん見せてくるからでしょうが~」
隆司はプロ顔負けの腕前だが、エロ過ぎる絵に杏子はいつも大げさに反応する。
その反応も隆司の一つの楽しみでもある。
「ん・・・?そういえば、今日って土曜日だな。ってことは、授業はないのか」
「なによ、いきなり。時差ぼけ?今日は半日授業よ。明日は日曜日よ」
隆司は深夜販売に行ってたので、曜日はわからなかった。
そんな隆司に杏子は答えた。
と、隆司は考え込んでいたら、美咲も日曜日と言ってきた。
「おにいちゃんってば、明日は日曜日だよ。だからカメラを借りてきてもらったのだけれども。それと、頼んでた衣装も出来るからお店に取りに行くの」
「そっか・・・・・んじゃさ、みんなで遊びに行かないか?かわいい美咲の衣装姿も見たいし~。美咲の写真撮ってくれる友達も誘ってみればいいんじゃね?」
ということで明日は、みんなで遊びに行くことになった。
珍しく蓮司も参加することになった。
杏子はお弁当を作ってくると張り切って言っていた。
三紀子も嬉しそうにしている。
美咲も誘ってみると言って生徒会室を後にした。
「んじゃあ、決まりな。予定は考えておくよ。美咲の撮影込みな。よーし、夕方まで生徒会室で下絵を描きまくるぞ~」
「じゃあ、私はコーヒーの追加を淹れてくるよ~」
三紀子はカバンから画材用紙と鉛筆にGペンとインクを出し始めた。
それを隆司が見ていて声をかけた。
「おっ!三紀子も同人誌描くん?ってか、いつもいつ描いてるんだ?見たことないぞ?」
「あ、うん。教室じゃ描かないもん。いつもは図書室の誰もいない端っこで描いているんだよ。今日は表紙絵を描こうと思っているの~」
「へぇ~・・・おっ!ならさ、おまえもCG集描いて共同しないか?」
三紀子はいつも手描きみたいでPCにはフォトショップなどは入っていないらしい。
出来上がったら、隆司がCGにすると申し出てくれた。
それに三紀子は喜んで、サッと隆司の前に来ると両手で隆司の手を握ると。
「えぇーーー!ありがと~。私、いつも手描きだから、とっても嬉しいよぉ~。今回は20枚くらいなんだけど大丈夫なの?」
「たったの20枚なら余裕だって、任せておけ。」
三紀子は初のCGで喜びを隠せずに飛び跳ねて喜んでいた。
いつもは画材屋さんに行ってパステルとかで色入れをしているらしい。
製本も自分でやっているみたいで部数も少ないと隆司に言っていた。
「なんなら、お得意の印刷屋さんがあるから、一緒にオフセット印刷してもらうか?その方が部数も増えるし、たくさんの人に読んでもらえるぞ。俺はいつも1000部は出してるから、そっちの方も任せておけ・・・って泣くほどのものかよ」
「だってぇ~・・・初めてだから嬉しくってぇ~。私のホームページにも紹介していいかな?隆司君の描いたイラストも載せちゃうよ?」
「おっ!それいいね~。俺はホームページは持ってないからな~。よろしく頼むわ」
ふと杏子を見ると、興味津々にカメラを手にしていた。
と、隆司は名案を思い付いた。
その名案は明日まで言わないでおこうと考えていた。
隆司はこっそりと美咲に耳打ちをした。
そのことも内緒にしておこうと二人で示し合わせていた。
「あっ・・・いっけなーい。私、衣装取りに行くから先に帰るね。明日はどこで待ち合わせするの?」
「あぁ、それな。決めておくか・・・う~ん、いつもの通学路の合流するところでいいんじゃないか?みんなもそれでいいか?」
みんなは揃って返事をして、蓮司はいつも別の場所だったこともあって、隆司は場所を伝えた。
「よーし、じゃあ、それで決まりな。時間は・・・そうだな、9時にしようか」
「じゃあ、私は張り切ってみんなのお弁当とお菓子を作ってくるわ」
時計を見ると、すでに夕方の時間になっていた。
「こんな時間だし、そろそろ解散するか~」
隆司は立ち上がってカバンを持って、出ようと思ったが急に立ち止まった。
杏子がすぐ後ろにいたのに気づかなかった。
ドン・・・
「いたぁ・・・なによ、急に立ち止まって~」
「いやな・・・三紀子、明日、出来上がった分のイラスト持って来いよ。預かってそのままCGにするからよ」
「いいのぉ~?んじゃぁ、徹夜して全部描いちゃうね!」
その後はみんなで生徒会室を出て、校門まで一緒すると、「また明日ね」とみんなが言った。
「愛しの美咲がいないと帰り道もそっけないもんだな~。明日の杏子の反応が楽しみではあるな・・・くくくっ」
家に着くと美咲はもう帰ってきていた。
「どうだ?手はず通りいったか?」
「あっ、おにいちゃん。うん!杏子先輩はびっくりするかな~?」
「まあ、そりゃあ驚くだろうな。明日が楽しみだな。俺は作業してから寝るから、明日も起こしてな。甘い声でよ・ろ・し・く!」
「もう・・・おにいちゃんってばぁ~。私、先に寝るね。おやすみ、おにいちゃん」
美咲は自分の部屋に入ると明日の準備を整えてからベッドに入った。
隆司はCG集の作成に取り掛かって、夜中までパソコンでCGにおこしていた。
「さて、そろそろ寝るか~。明日の三紀子のイラストも楽しみではあるな。凄いの描いてきそうだな。あいつのことだから」
隆司がベッドに入ったのは夜中というより、ほぼ明け方だった。
ベッドに入ると、そのまま爆睡した。
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