相棒は片割れが強いからこそ成立すると思う。

「ついに買ってやったぞ、、」

「じゃーん!目覚まし時計!」


彼は目覚まし時計を買った。言うまでもなく購入の2日後以降この目覚まし時計が音を鳴らす日は来ないのだが。


「これ、絶対いいよな。アラーム音が波の音とか鳥のさえずりとか、絶対癒されるし。これで寝坊しないだろ」


と、無駄に豪華な説明文に踊らされ、速攻で注文。しかし、届いたその時計を見た瞬間、彼の期待は一気に粉々になった。どこにも音を設定する機能が見つからず、期待していた機能とはかけ離れたものだった。

彼は買い物が好きで、定期的に今回のような商品に目をつけては購入し大抵失敗に終わるのである。そしてこの瞬間、彼の人生における数多の「銭失い」パターンの中でも特に失敗作がまた一つ増えた。


とはいえ使わないのも勿体無いので次の日起きる時間にアラームをセットし眠りについた。

そして次の日、アラームは鳴り響いた。その音に呼応するように彼は目を覚まし、ついに寝坊問題を克服


できるはずもなく、日々スマホのアラームを即刻止めては寝坊を繰り返す彼にとって大きな目覚まし時計の音を止めるなど造作もないことであった。一切無駄のない動きでアラームを止めた彼は、再度自分の王国に潜っていった。


言うまでもないが欠席した。

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