信仰対象など自分で良い

「なにもわからん。」

そう呟いた。


そう、彼はテスト勉強をしていた。いや、正確には「やってるフリ」をしていた。


いつも通り最初はやる気があったのだ。最初の2ページくらいは読んだ。



「まあ、いけるっしょ!」


そう自分に言い聞かせてスマホを手に取った。 その結果、気づけば深夜1時。 スマホの画面はもちろん勉強アプリのアイコンなどの影はなく、見覚えのある動画サイトが輝いていた。


今回ばかりは本当に焦っている(らしい)彼は冷蔵庫のエナシードリンクを一気に飲み干し勉強モードに突入


したかと思われたが流石限界大学生。そんなものでは動くはずもなく、返って眠気の来ないスマホいじりマシーンとかしていた。


そして、朝。


彼に残ったのは試験までの少ない時間とエナドリ切れによる睡眠欲。そして見続けた動画の記憶のみであった。

しかしただじゃ転ばないのが限界大学生。そこから彼は凄まじい集中力で勉強を始めた。だったら早くやれよとなるかもしれないが結局一番集中できるのはこんな時間だったりするのである。


内容に一通り目を通した彼はまるで全知全能の神にでもなったかのような風格で試験場に入り問題を解いた。「わかる。わかるぞ全てが。」

奇跡である。こんな勉強法が許されていいわけがない。だが彼は問題を解いて見せたのだ。


そして問題を全て解き終わり彼は立ち上がった。いや、起き上がった。

すっかり暗くなった空。消えた眠気。全てを悟った。


所詮彼は自国の神だったのである。

(追試で耐えました)

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